もう少しでひらきそうな蕾が幾つもあり、これから開くと思って待っていたけれど、開くことはなく、ぽっかりとひらいた蓮の花を観ることはできなかった。

2日~3日目の一番美しい蓮の花は、到着したころには、すでに閉じかけていたのかも。

 

それでも、硬い蕾から、やわらかくふくらみ、空に向けてひらきかけている花弁は、とても美しく、ひょうたん池のまわりを歩き回って、いろんな場所から、同じような写真を、何枚も撮影。

 

雲が晴れ、太陽の光が差してくると、池一面がきらきらと輝いて、花びらにも透明感が宿り、別世界の様相。ずっと見ている光景なのに、また、立ち止まってみとれてしまう。スマホを取り出してしまう。

 

(本文より)

 

◆きっかけ

◆蓮の開花

◆ひょうたん池

◆藤田邸跡公園~あみじま茶屋

◆藤田美術館

 

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◆きっかけ

 

蓮の花を観に行ってきた。観に行ったきっかけは、佳世さんの投稿だ。

まだブログを書いていないけれど、6月中旬に2人で宇治の萬福寺を訪れたときに、境内の池一面に広がる蓮を見て、「咲いたら。きっとすごい」と思っていた。

 

7月に入り、佳世さんが〈蓮が咲いているところを観たくて、思い立ち、再び萬福寺を訪れたけれど、今年は開花が遅くて、咲いていなかった……〉という投稿をあげているのをFBで読み、4年前に観に行った、大阪市都島区にあるひょうたん池の蓮の花の美しさを思い出し、それ以来、行く機会がなかったので、行くことに決めた。

声をかけたところ、ご一緒することに。

 

蓮の花の開花時間を調べると、開花するところを観るなら、朝8時~(7時~という説も)、咲いているところでよいなら、9時~、午前中には閉じてしまうと書かれていた。

 

時間があれば、そのあとお茶でも…… と思って、近隣のカフェを調べると、改修工事のため、2017年から休館していた藤田美術館が、2022年にリニューアルオープンしていて、美術館併設のお茶処「あみじま茶屋」が、とても素敵な感じだった。

 

美術館の展示も、大好きなジャンルなので、終わってから行くことに決定。

 

心配していた雨は、明け方まで土砂降りだったけれど、朝には上がり、曇りの予報だったので、予定通り、朝9時に最寄り駅改札で待ち合わせをする。

 

駅の出口からすぐの「藤田邸跡公園の門」が開いていれば、その中を通って行くのだけど、門が開くのが10時からのため、大川沿いからひょうたん池へ向かう。(少し遠回り)

 

おそらくこのあたり……というところまで来たけれど、ガマの穂が生い茂っていて、池が見えず、場所を間違えたかと思っていたら、ガマの向こうに蓮が広がっているのが見えて、一安心。

 

 

 

ひょうたん池のあるあたりは、毛馬桜ノ宮公園といい、大川沿いに天満橋まで、癒しスポットとなっている。

ひょうたん型のくびれたところに、橋がかかっていて、一面の蓮池の両側を見渡すことができるし、池のすぐ水際まで近づくことができるので、間近で、美しい花弁やつぼみを観じることができる。

 

帰宅してから調べたことを書いておく。

 

◆蓮の開花

 

蓮の開花は4日間ということで、開く時間、閉じる時間も異なる。

 

1日目は、大きくふくらんできたつぼみの先を、ほんの少しだけ開く状態。このときは、8時ごろには閉じてしまう。

 

2日目は、もう少しひらいて、チューリップのような状態になり、9時ごろに満開に。受粉を誘うため、花は色鮮やかで美しく、やさしい香りが漂っている。

 

3日目は、9時ごろ最大に開き、受粉しためしべは、黒っぽく変化し、花の色も退色。花はとじかけたまま夜を迎える。

 

4日目は、朝7時ごろには開き、8時ごろから散り始め、昼頃にはすべての花弁が落ちてしまうとのこと。

 

花弁が散ったあとの、緑のシャワーヘッドみたいな花托は、中の種をしっかり育てるために、土からの栄養と、太陽の光を浴び、やがて種が大きくなってくると、下を向いて、池の中に種を落とし、翌年まで眠りにつくという。

 

◆ひょうたん池

 

ということで、蓮の花が美しいのは、2日目から3日目の受粉前で、8時~9時となる。

 

行く前に、ここまで詳細に調べておけばよかったのだけど、午前中は開花していると書かれたものが多かったので、ひょうたん池に到着したのが、9時15分前後だった。

 

もう少しでひらきそうな蕾が幾つもあり、これから開くと思って待っていたけれど、開くことはなく、描いていたほどよくひらいた蓮の花を観ることはできなかった。

2日~3日目の一番美しい蓮の花は、到着したころには、すでに閉じかけていたのかも。

 

それでも、硬い蕾から、やわらかくふくらみ、空に向けてひらきかけている花弁は、とても美しく、ひょうたん池のまわりを歩き回って、いろんな場所から、同じような写真を、何枚も撮影。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雲が晴れ、太陽の光が差してくると、池一面がきらきらと輝いて、花びらにも透明感が宿り、別世界の様相。ずっと見ている光景なのに、また、立ち止まってみとれてしまう。スマホを取り出してしまう。

 

 

 

 

 

蓮がとぎれた池には、鴨が泳いでいたり、小径には、すずめや鳩が群れていて、木陰にベンチもある。

お店が開く10時ごろまで、佳世さんとベンチで休憩。緑の川辺は、陽がかげっていると、とても涼しい。

 

 

 

 

◆藤田邸跡公園~あみじま茶屋

 

10時を過ぎ、藤田邸跡公園の大門が開いたので、公園の中を通って、お茶処へ向かう。

 

少しずつ整備を重ねていて、立ち入りができない区画があった藤田邸跡公園(現在も一部整備中)。久々に訪れると、ほんとうに緑がたくさんあるので、驚く。

森の中に迷い込んだような空間もあり、木々の中の道は、夏だということを忘れるくらい、ひんやりと涼しく、森林浴三昧。どこか遠くにリトリートに来たようで、心地いいし、わくわくするし、いつまでも包まれていたいほど。

 

 

 

 

庭園として整備されたエリアもあり、四阿(あずまや)もあり、何より、人の姿があまりなく、都会のオアシスとして、折にふれて訪れようと、心に刻む。

 

 

やがて、藤田美術館(裏手)があらわれる。

 

 

中に入ると、土間エントランスと呼ばれる、明るく開放的な空間に、蔵の名残りを残した美術館入口と、お茶処「あみじま茶屋」が広がっている。

 

メニューは、お茶と団子のセット。お茶は、煎茶・番茶・抹茶から選び、どれも500円。お団子は、焼き立て。香ばしいしょうゆ味と、素材と手作りの滋味が味わい深い餡子。

 

 

和のテイストと光。

ほんとうに、ぜいたくな空間で、質のよい、心づくしのおもてなしを受けた。

 

 

佳世さんとは、萬福寺の普茶料理をご一緒したときの「蓮」のご縁で、こうして再びお話ができて、豊かな時間を重ねることができた。

ご家庭のご用事で、佳世さんとはお別れして、私は、美術館へ。

 

 

◆藤田美術館

 

5月に、リニューアルオープンしたばかりの東洋陶磁美術館を訪れたときも感じたけれど、光や空間、たたずまいを大事にされていて、タイムスリップしたみたいな気持ちを味わえる。

 

 

どの作品も素晴らしいけれど、世界に3碗のみ現存しているうちの1碗である「国宝 曜変天目茶碗」と、毎週観ている大河ドラマでホットな紫式部と藤原道長の娘の彰子の姿や、教科書でよく目にしていた、藤原道長の姿が描かれた、「国宝 紫式部日記絵詞」を鑑賞できたことで、テンションMAX。

 

(あの道長は、ここに!)

 

「国宝 紫式部日記絵詞」は、平安時代にしたためられた紫式部日記を、鎌倉時代に絵巻物にしたもので、藤田美術館が所蔵しているのは、第1巻で、一条天皇に入内した藤原道長の娘 中宮彰子の親王誕生の祝の様子が描かれている。今回、展示されているのは、第4段目と第5段目

 

第4段目は、出産第7夜の部屋の様子で描かれている。

寝ている女性が中宮彰子で、その前に座る後ろ向きの女性が紫式部とのこと。

 

 

第5段目は、それから3ヶ月後、妻と子に会うために、道長邸に行幸される一条天皇の饗応の準備のため、藤原道長が池に浮かべた船の仕上がりを確認している様子で、この道長が、最古の道長像として、教科書などに掲載されているものだという。

 

 

 

その時代に描かれたもの、現存したものを、目の前に観ている不思議。

美術館や博物館、寺社仏閣や遺跡を訪れるときに感じる不思議。

 

美術館の最後の部屋は、蔵の窓から、絵のような緑の世界がのぞき、壁一面のガラスのむこうに、高野山光臺院(こうやさんこうだいいん)から移築された多宝塔(1679~1691の間の創建とされる)が姿を表す。

 

 

 

 

美術館の出口から、再び、藤田邸跡公園の世界へ。

 

大満足の一日。

 

浜田えみな

 

東洋陶磁美術館を訪れたときの投稿

 

 

 

萬福寺の普茶料理は、カミングスーン