職場の昼休み。奥さんのむすんだ、大きなおむすびをほおばりながら、再任用職員のSさんが、台風情報を見ながら、ぶつぶつつぶやいている。

 

「墓に迎えに行かなあかんが、13日が台風やったら、線香が消えてしまうから、1日早いが12日に行かなしゃあないな」

 

(墓に迎えに行く?)

 

お盆には、お墓参りをすること、ご先祖さまが帰ってくることは知っていたけれど、きゅうりの馬に乗って、戻ってくるのだと思っていた。

 

心を向けたときにいつでも、先祖故人はそばにいて、守ってくださっていると感じているので、迎えに行くという概念がなかったことに気がつく。

 

Sさんによると、お盆の迎え日に、お墓の掃除に行き、線香に火をつけてお参りしたあと、その線香とともに、ご先祖様といっしょに帰るという。

 

ゆらゆらとたなびく、お線香の煙に乗って、ご先祖様一同が、野辺の道を家へとたどる様子が浮かんで、頭の中は、「日本むかしばなし」の世界!

 

「その日は、ご近所のかたたちみなさんが、お墓にお迎えに行かれ、お線香を携えて、ご先祖様といっしょに、おうちに帰られるのですか?」

「そやな。時間は、ばらばらやけど」

 

(保育園のお迎えみたい!)

 

徒歩圏内に先祖代々のお墓がある土地に、ずっと暮らしているSさん。

子どものころから、ずっとそうしてきたのだろう。

 

電車や車で何時間もかかる霊園から、お線香の火を絶やさずに帰ってくることはできない。

私も、私の子どもたちも、お盆に、そのような光景に出逢ったことがない。

 

宗派によって、地域によって、慣習は違うだろうけど、人々によって継がれてきたものを、絶やさずにいることの大切さを思う。

 

浜田えみな

 

3と7のつく日は、「みなえみ日和」

おもてなしの心を投稿しています。

 

 

みなえみ日和1 

 

 

 

みなえみ日和2

 

 

みなえみ日和3

 

 

みなえみ日和4

 

 

みなえみ日和5

 

 


みなえみ日和6