初めて見たときから恋に落ちていた。
部屋の中が、水のイオンでいっぱいになる。
むきだしの腕も、髪も、頬も。
肩も。胸も。足も。
つつまれていく。絶え間ない流れ。
泳いでいく。進んでいく。
からだが軽くて、みずみずしくて。
部屋の空気が、すべて海。
水の波紋が、ぐんぐん大きくなって、
あふれそうに、こぼれそうに、
まわりながら、揺れる。
* * *
初めて見たときから恋に落ちていた。
吉井春樹さんつながりの、さちのはさん の切り絵作品。
ゼロアーティスト仲間のmakiさん のフェイスブックでその美しいフォルムが紹介されていて、
(こんなに美しいものがこの世にあるのか!)
と感動して、さっそくブログを見に行ったところ、希望すれば残暑見舞いを送ってくださると書いてあった。
で。三度くらいしか会ったことがないのに、速攻申し込んだ。
しかも。
額に入れて飾りたいので、送料は負担するので封筒で送ってほしいとリクエストした上、職場と家の両方に飾りたいので、できれば二枚…… などと、どこまでも厚かましい大阪のおばちゃん浜田。
だって、さちのはさんの魚は、守護神のように素敵なんだもの。
私は二十代のころから水族館フリークで、魚が大好き。
誕生日が二月でうお座だということもあり、さかなグッズはお守りみたいなものだ。
* * *
マンションのポストに封筒を見つけて、どきどき。
切手を見て、さちのはさんの心くばりに感動。うお座の切手なのだ!
すぐに開けたい気持ちをおさえつつ、エレベーターに乗って、家の鍵を開け、きちんと、ハサミで開封した。
(わぁ! 3D!)
今にも、魚がくるりと反転して、水しぶきをあげながら、こちらに向かって飛びだしてきそうな躍動感だった。
水の波紋が、ぐんぐん大きくなって、あふれそうに、こぼれそうに、まわりながら、揺れる。
心やさしい さちのはさんは、わたしのリクエストどおり、自宅用と職場用に作品を二枚入れてくださっていた(!)
一枚は、机の上のパソコンのモニター画面の傍に。
とりいそぎ、もう一枚は、明日までは整理ダンスの上の白い壁に。
机に戻って、キーボードを叩きながら、ふと。気づいた。
(部屋の空気が…… ちがう)
部屋の中が、水のイオンでいっぱいになる。
むきだしの腕も、髪も、頬も。
肩も。胸も。足も。
つつまれていく。絶え間ない流れ。
泳いでいく。進んでいく。
からだが軽くて、みずみずしくて。
部屋の空気が、すべて海。
ふと見ると、机の上の魚と、整理ダンスの上の魚は、微妙な対角線で干渉しあっていた。二匹だから、場が生まれる。
(この推進力はなんだろう?)
どこまでも気持ちよくて、
どこまでもぐいぐい進んでいく……。
* * *
魚の名前は、「ベラ」だと思っていた。
さちのはさんのブログに、魚の名前が書いてあったのだ。
ベラは、雌として成長したあと、雄に性転換する。
雌としても雄としても生きる。
ポストカードのベラは、まさに、雌から雄への転換の瞬間なのではないかと思った。流れるように水をくぐり、女性性と男性性の過渡期を泳ぐ。
まさに、両性具有の力を持つ一瞬をとらえた姿……。
そう思うと、自分の中にみなぎり、みそぎのように浄化されていくものがあった。
空想の中で、どこまでも、水をまとい、水になじみ、受け取り、手放し、悦び、愉しむ。
(すてきー!!)
と思い、もう一度、さちのはさんのブログを確認したところ、「ベラ」ではなく、「ベタ」だった(爆)
(え……)
さっそく、「ベタ」の画像を確認した。
確かに。
さちのはさんの、この作品の魅力になっている、ヒレの動きと繊細さは、ベタの魅力だ。
ベラもきれいな魚ではあるけれど、ベタの華麗な舞には叶わない。どうして、ベラだなんて思い込めたのだろう? おそるべし。
だけど、「雌から雄への転換の一瞬」という空想は、とても楽しかった。
* * *
初めて見たときから恋に落ちていた。
部屋の中が、水のイオンでいっぱいになる。
むきだしの腕も、髪も、頬も。
肩も。胸も。足も。
つつまれていく。絶え間ない流れ。
泳いでいく。進んでいく。
からだが軽くて、みずみずしくて。
部屋の空気が、すべて海。
水の波紋が、ぐんぐん大きくなって、
あふれそうに、こぼれそうに、
まわりながら、揺れる。
さちのはさんの魅力に、今後も目が離せません。
村松先生の「天才! 大人のアート塾」 に来てほしいなあ(笑)
浜田えみな
今年の夏は、いただきものが多く、「暑中見舞い」「ブレスレット」「ペンダントトップ」なども、アメブロで活躍されているアーティストさんからいただきました! 追って、紹介していきますねー。

