『脳の構造から考える・・・・ 自然は何故持続可能なのか?』   Emileのコラム163 | 地球村研究室

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厳しい地球環境制約の中で心豊かに暮らすには?沖永良部島で実践しながら考えたいと思っています!!

 

 酔庵のオフグリッド計画、検討を始めてからもうすぐ1年になる。離島ゆえの問題、それは小さな発電所では売電受け入れの容量が小さく、すでに満杯状態で新規の太陽光パネル設置が認められない・・・・オフ・グリッドで、売電の意志は全くないものの、太陽が照りつければ、発電した電気が電池にたまる量を超えて溢れる可能性も確かにある。溢れれば、それが幹線に流れる(逆潮流)、多少でもその可能性があれば、設置許可が出来ないとのこと。詳しくは、2019年問題と併せて、このコラムで後日お話ししようと思うが、ともあれ、酔庵のオフグリッド計画をどのように進めるのか?電池を供給頂く、共同研究社のNECエナジーデバイスの皆様に来島頂き、打ち合わせ後、久しぶりに島内1週。快晴で気温30℃超え!大好きな半崎でのびのび!! 海も空も本当にきれいでした。この暑さを除けば、島は本当に素敵です!!

 

 持続可能な社会とは、『今を生きる私たち(子どもから高齢者まで)が、過去から学び、現在の知識やテクノロジーなどを統合することで新しい価値を生み出し、次の世代がより良い生き方・豊かさを実現できる社会』(石田)のことである。1992年ブラジルで開催された地球サミット(環境と開発に関する国際連合会議)で、多くの先進国が持続可能な社会の創成を約束した。それから20年、2012年にもう一度ブラジルに集まりその成果が議論されたが、残念ながら、多くの努力にもかかわらず理想と現実は大きく乖離するばかりで、このままでは次の世代に手渡せるものがますます希薄になり、持続不可能な世界に向かって速度を上げているとも言える状態である。なぜ持続的な社会が創れないのか、どこに問題があるのだろうか?

 

この地球上で持続可能な社会をつくっているのは、唯一『自然』である。自然は、完璧な循環をもっとも小さなエネルギーで駆動している。そこから何を学ぶことが出来るのだろうか。例えば、生物の中で圧倒的な種類と量を誇る昆虫の脳細胞数は10万-100万個程度であり、人間の1000億個とは比較にならないほど少ない。脳の進化は3層構造仮説(ポール・マクリーン)によれば、まず生命維持や縄張りなどの防衛機能を持つ爬虫類脳(第1階層 人間では脳幹と大脳基底核)が生まれ、続いて本能的情動や感情、行動につながる動機を生起させたり、種の保存機能を有する旧哺乳類脳(第2階層 大脳辺縁系)が生まれ、続いて言語機能と記憶・学習能力、創造的思考能力、空間把握機能などを中軸とする高次脳機能の中枢であり、ヒトと高等哺乳類において特に発達した知性・知能の源泉である新哺乳類(人間)脳(第3階層 大脳新皮質の両半球(右脳・左脳))が生まれた。昆虫は、第3階層を持たず、すなわち人間に比べ圧倒的にメモリー数が少ない。ではどうやって持続可能な社会をつくり出したのか? 実は昆虫にとって、メモリーは自然環境そのものなのである。昆虫にとって重要なことは、身体を持ち、動くこと(第1,2階層)で環境情報をメモリーとして得ているのである。すなわち、自然環境と一体となることが生きるための基本であり、自然環境をメモリーとして進化出来たともいえる。一方、人間は異常に進化した第3階層(メモリー層)を使って自己完結型の仮想社会をつくってしまったともいえる。ゲームの中で殺人も恋愛もでき、世界征服も可能である。際限のない快適性や利便性の追求やAI(人工知能)もその結果と言える。昆虫は自然環境を制約として受け止め、進化しているのに比べ、人間はテクノロジーを道具として環境の方を改変し続け淘汰を避けてきたともいえるだろう。

 

脳は判断の結果として身体が動くことによって、脳が働いていることを自覚する。例えば、寝たきりの人の部位を動かしてあげることで脳が役割を果たしていることを自覚し、病状が回復するなどの例は枚挙にいとまがない、動くことが極めて重要なのである。また、脳は色々なものをセンシングするが、意識に上るもの(第3階層)しか自覚しない。しかし、第3階層だけでの創造は自己満足と一方的な物質的負荷を発生させる、何故なら、環境情報は我々が知っている部分だけでは不足で進化はあらゆる情報を駆使しなければならず。意識に上らない(第1,2階層)情報(第六感もこれにあたる)も極めて重要であり、第1,2階層と第3階層の連続性が求められているのである。それはまさに自然と関わる、自ら動くことである。

モノから心へ、車から自転車へ、週末には自然の中へ、家庭菜園、DIY・・・ 今若者を中心にブームとなっているこれらの社会現象は、自然を基盤として行動すること(第1,2,3階層をつなぐ)への新しい潮流なのだろう。持続可能な社会創生の要件は、まさに依存から自立型の暮らしに向かうということなのである。