男子ゴルフのブリヂストンオープン最終日の21日、最終18番で谷口徹が離れ業を決め、約100メートル後ろでプレーする1打先行の藤田寛之に見せつけた。「19回の中で、最も奇跡に近い優勝」と谷口も驚いた。
第3打は左ラフからピンまで109ヤード。「ラフからの方がまっすぐ飛ばせていたのでピンを狙った。逆光で球筋を追えなかった」と谷口。グリーンを幾重にも囲むギャラリーの大歓声が最高潮に達し、直接カップインしたことがわかった。年がいもなく両手を握って何度も跳びはね、同組のすし石垣と走り回って大喜び。「怖いと思わせていたイメージが壊れちゃったよ。プレーオフがあると気づいて、慌てて深呼吸を繰り返した」と笑った。
一方藤田は「バーディーで優勝と思い、3打でグリーンに乗せようと思ったら歓声が聞こえた。急にイーグルなんて言われて……」。この動揺が3打目のアプローチを狂わせ、ピン横7メートルを残した。入ればプレーオフのバーディーパットも外して勝負がついた。
賞金王争いは約1億2000万円で首位の43歳藤田を、3000万円差で谷口が追う。残り5試合。「同世代でゴルフもうまいから、活躍を励みにしている」と谷口。今季20戦中、20~30代の日本選手勝利はわずか4。谷口と藤田の合計勝利数5を下回る。「本気度が甘い」と心配する2人。苦言を薬にしてほしい。