『六人の男たち』 ディビッド=マッキー作 なかむらこうぞう訳 偕成社 1975
むかし、六人の男たちがいました。
男たちは、平和に働いて暮らすことのできる土地を求めて、長い間、歩き続けていました。
長いこと探し回った末、ようやく、六人はよく肥えた土地を見つけ、そこに住みつくことにしました。
みんんがせっせと働きました。
畑を耕し、家を建て、次第に金持ちになっていきました。
ところが、だんだん金持ちになるにつれて、六人の男たちは、心配になり始めました。
泥棒がやってきて、せっかくのたくわえたものをさらっていきはしないかと、気になりだしたのです。
そこで男たちは、高い塔を建て、敵を見張ることにしました。
少しでも怪しい物音がすると、そのたびにかけていっては、塔にのぼってみるのでした。
そのうち、みんなは、そんなことをするのに飽き飽きしてきました。
ある日、相談の結果、それでは自分たちの財産を守るために番兵をおこうと、いうことになりました。
六人の男たちは、みるからに強そうな六人の兵隊を雇いました。
これからは、なにかめんどうなことが起こると、その兵隊たちが出かけてゆけばよいのです。
ところが、泥棒どもは、いっこうにやってきません。
兵隊たちは、なにもすることがないので、すっかり退屈して、ただごろごろ寝そべっているだけです。
六人の男たちは、また心配になってきました。
今度は兵隊たちが戦い方を忘れはしないかと、気になりだしたのです。それに、なにもしない兵隊にお金を払わなくてはいけないということも、悩みの種でした。そこで男たちは、なにかいい方法はないかと、あれこれ考えました。
近くに、他の人たちが住んでいる農場がありました。
六人の男たちは、それに目をつけて、その農場を乗っ取るために、平和に暮らしていたそこの農民たちは、さっさと逃げていったのです。
この戦いで、兵隊たちは力のほどを示したし、おまけに土地は増えるしで、ようやく六人の男たちは、心配がなくなりました。
ところが今度は、もっと強く、もっと金持ちになりたいという気持ちが湧いてきたのです。
まもなく、兵隊たちは、近くにある農場という農場を次々と、ひとつ残らず占領するように命令されました。これらの農場の農民たちの中には、抵抗して殺されるものもありましたが、降参して六人の男のために働くことを承知するものもありました。
六人の男たちは、ますます多くの土地を占領し、ますます金持ちになるにつれて、もっともっと大勢の兵士を雇わなくてはならなくなりました。
この軍隊は、さらに多くの土地を占領し、とうとう六人の男たちは、この地方を大きな川のところまで治めることになりました。
降参したくない農民たちは、川を渡って、逃げていきました。
そして川の向こう側で、せっせと働き、幸福に暮らしました。
この人たちのたった一つの心配は、あの六人の男たちの軍隊が、川を渡って、攻めてくるのではないか、というものでした。
そこで、この農民たちは、敵を防ぐために、みんなが力を合わせることで決めました。そして二つのグループに分かれました。
二つのグループが、かわりばんこに、戦争のための訓練をしたり、畑を耕したりするのです。
こうして誰もが、敵の攻撃にそなえました。
六人の男たちは、川岸に一人の番兵を立てました。
すると川の向こう側でも、同じように、一人の番兵を立てました。
しばらくの間は、なにごともなく、おだやかに過ぎました。
両方の番兵は、手持ち無沙汰でした。
ところがある日、一羽のカモが川に飛んできました。
両方の番兵が、それを見ました。
両方の番兵が、それを狙って、矢を放ちました。
が、両方の番兵とも、失敗しました。
それた二つの矢は、うなりを発し、川を横切って飛んでいきました。
すると、両方の番兵とも、自分が敵に狙われてたのだと思って、ラッパを吹いて、危険を知らせました。
両方から完全に武装した軍隊が繰り出され、大きな戦いが始まりました。
川の上と、川の両岸で、激しい戦いが、何日も続いて、そして・・・・・・
戦いが終わったときには、生き残っているものといったら・・・・・・
ただ、川の両側に、六人の男たちがいるだけでした。
川の両側の六人の男たちは、それぞれ反対の方向に立ち去り、平和に働いて暮らすことのできる土地を求めて、歩き続けるのでした。
おしまい。