皆さん、こんばんは!(^-^)
今夜のブラックジャック先生の名言・・・
「おれは・・・・
おれという男は
はじめて人間を見殺しにした・・・・・」
(「あつい夜」より)
【「あつい夜」あらすじ】
ハワイの大農園を所有するダグラスは何度も殺し屋に命を狙われていた。
銃撃されて危篤になるたびにB・Jは彼を蘇生させる。これで三回目。
しかしダグラスには命を狙われる覚えはまったくない。
ただひとつ、ベトナム戦争の時に非戦闘員を殺したこと以外は--。
ハワイの農園主であるダグラス氏は、
この3年の間、命を狙われ続けていた。
犯罪組織に身を置いている訳でもなく、
命を狙われる理由が皆目見当もつかないダグラス氏は、
もはや警察の護衛すら信用できず、
致命傷を負った時には、
ブラックジャック先生にハワイまで治療に来てもらうように依頼していた。
そして、
今回狙撃されたのが3回目だ。
ブラックジャック先生はハワイに飛んできて、
現地の医師・ゴ・ウィン先生に容態を聞くと、
もう3分ほど前に亡くなったと言う。
しかし、
3分前ならまだ間に合うとブラックジャック先生は言い、
またしても奇跡的な手術でダグラス氏を蘇らせるのだった。
ゴ・ウィン先生は現地の警部に、
一体いつになったら犯人を逮捕出来るのか!?・・・と詰め寄るが、
警察もダグラス氏が狙われる理由が全く見当がつかず、
犯人像すらつかめていない状況だった。
ダグラス氏の過去といえば、
せいぜいベトナム戦争で戦った経歴があるくらいだという。
しかし、
今回もダグラス氏が助かったという情報は、
犯人の耳にも入っていて焦っているかもしれない、
そうなれば、
近いうちにきっとまた尻尾を見せるだろう・・・と睨んでいた。
そんな中、
ブラックジャック先生は、
ゴ・ウィン先生の自宅に招かれて一泊する事に。
ゴ・ウィン先生は今は独り身のようで、
妻と娘を10年前に亡くしたという話を聞く。
妻と娘の骨はダイヤモンドヘッドに眠っており、
”自分も死ぬ時はダイヤモンドヘッドで家族と一緒にハワイの土になりたい”
・・・と、
ゴ・ウィン先生はしみじみと語るのだった。
その後、
ダグラス氏は無事に退院。
退院祝いだ、とゴ・ウィン先生にすすめられ、
乾杯するブラックジャック先生。
しかし、
そのお酒には睡眠薬が入っていた・・・
眠りにつくブラックジャック先生を置いて、
ひとり出かけるゴ・ウィン先生。
行き先はダグラス氏の自宅だ。
自宅で、
命を狙われる恐怖に怯えているダグラス氏に向かって、
「人を殺した男が何を弱気な」・・・と言うゴ・ウィン先生。
失敬なことをいうなと反論するダグラス氏だったが、
ゴ・ウィン先生は、
「ベトナム戦争で敵でもない人間を殺してるはずだ」
・・・と詰め寄る。
そう言われて思い出したダグラス氏。
医者の家へ逃げ込んだ敵を追い詰めようとした際、
それを止めに入った看護師の女性とその娘を撃ち殺した事があったという。
だがそれも仕方のないことだった、というダグラス氏に、
「あんたは仕方のないことで済んだかもしれんが、
あの看護師と娘の肉親にしてみれば、
狂い死ぬくらいの悲しみだった」
・・・と言い、
自分がその時の看護師の夫だと告げる。
ゴ・ウィン先生は妻子を殺された後、
仇を取ろうとダグラス氏を探し回ったが、
そのうちベトナム戦争も終わってしまい行方知れずになってしまったと。
だが、その後もアメリカ中を探し回り、
ついに、
ダグラス氏がハワイで農園を営んでいる事を突き止め、
まずは近くの病院に勤めることにしたという。
病院に勤めていれば、
万が一ダグラス氏が担ぎ込まれても、
見殺しにすることが出来るからだ・・・というのだった。
そして、
今まさに銃を向けるゴ・ウィン先生に対して、
「今俺を殺したら殺人罪で死刑になるぞ!」
・・・と脅すダグラス氏。
しかし、
ゴ・ウィン先生は、
「そうだ
できれば戦争中におまえを殺したかった
戦争は人間の一人や二人殺しても罰せられん
だが・・・・
戦争が終わると とたんに殺人は犯罪になってしまう
こんな不都合な事があるのか!?」
・・・と、怒りをぶちまける。
そして、
「これは妻と娘の復讐だ!」 と告げた上で、
ダグラス氏に発砲。
異変に気づいて駆けつけたブラックジャック先生と警部だったが、
後一歩遅く、
ゴ・ウィン先生はとどめの一発を放ち、
復讐は果たされてしまう。
しかし、
警部の発砲により、
自らも深手を負うゴ・ウィン先生。
なんてことをしたんです!?・・・と警部にたしなめられるも、
「これは戦争じゃよ・・・警部さん・・・
戦争は・・・
ま・・・まだ・・・終わっとらん」
・・・とゴ・ウィン先生は言う。
そして、
ダグラス氏が完全に死亡しているのを確認すると、
手当をしようとするブラックジャック先生に、
「わしもこのまま死なせてくれ
妻のもとへいかせてくれんか・・・」
・・・と頼む。
ブラックジャック先生は「ダメだ!」と生きるように言うが、
ゴ・ウィン先生は、
「助けてもらってもどうせ殺人罪で死刑だ
医者の情けでかまわんでください・・・」
・・・と言う。
そして、
目を離しているスキに、
ゴ・ウィン先生は重傷の身で脱走。
”殺人犯”である彼を、
警察は総動員で追いかける。
そして、
しばらくして警部のもとに、
”ダイヤモンドヘッドの上の小さな墓地の前に追い詰めて射殺した”
・・・という報告が入る。
それを聞いて、
ブラックジャック先生がつぶやいたセリフが上の言葉。
愛する妻と娘の墓の前で射殺されたゴ・ウィン先生。
どんな想いで死んでいったのかと思うと、
ジワジワとこみ上げてくるものがあります。
医者として、
救える命を見殺しにしてしまった後悔と、
ゴ・ウィン先生が復讐を果たした今、
犯罪者として裁かれるよりも、
愛する家族のもとへいかせてあげたいという人としての情け、
その相半ばする感情の葛藤が感じられる、
ブラックジャック先生の苦渋のセリフかと。
最後の一コマ、
ダイヤモンドヘッドを無言で見つめるブラックジャック先生の後ろ姿が、
何とも言えず悲しげで印象的です。
今更自分が言うまでもないことではありますが、
やはり戦争なんて悲劇しか生まないんですよね。
そして、
目に見える終戦で全てが精算される訳ではなく、
戦争で被害を受けた人々や、
愛する人を奪われた人々の心の傷というものは、
永遠に癒される事はなく、
未来永劫苦しみしかないわけです。
ブラックジャック作品の中にも、
”戦争”が引き起こす悲劇を題材にした作品は多数ありますが、
その中でも個人的には特に印象深い話でした。
子供の頃の自分は、
通り一遍な平和授業よりも、
むしろブラックジャック作品を読んで、
”戦争と平和” について考えることが多かったですね。
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