黄昏時にリンボーダンス -9ページ目

黄昏時にリンボーダンス

主に映画の話と、時々海外ドラマと、あと愚痴。知り合いの誰にも教えていないという、意味あるのか?というブログ。

コメディ要素はちゃんとあります。ちゃんと気持ち悪いだけになってしまわないように上手いこと明るいタッチにしてはあります。けれどこれは気味の悪い作品です。面白い作品です。

生まれた瞬間から世界中の人たちにテレビ番組として一生を常に観られ続けている何もしらない主人公が、だんだんと作られた自分の周りの人々に不信感をもち、作られた世界(セット)から脱出するというお話です。

かなりぶっとんだ設定なのに、妙に真実味があって、だからすごく気味がわるいのです。

本作では、〝作られた出来事″だと全く知らない唯一の主人公を観て観客が楽しんでいるのです。現実世界でいうなら「ドッキリ」とかでしょうか。現実の私たちは画面の中であたふたするドッキリを仕掛けられている人物の様子を笑いながら(あるいはあきれる人も不快な人もいるかもですが)観ています。この作品を観ているとどうもトゥルーマン側に感情移入をして、番組制作側や楽しんでいる視聴者に不快感を感じるのですが、結局同じ状況では私たちは同じことをするのだろうなと思うのです。トゥルーマンに真実を告げて追放された女性は、彼と実際に触れ合ったからこその〝同情″でしょうし・・・。そう思うと観ている自分のことも嫌だなあとそこはかとなく思わせられます。

ラストシーンも一見ハッピーに見えます。しかし現実に初めて飛び出したトゥルーマンはこれから、今までの人生が「偽物であったこと」をどうにか受け止めて外の世界でどうにか生きていかなければならないわけです。かなりの苦労は必須だと思います。そして最後に番組の視聴者が「チャンネル変えよう」(うろ覚え、テレビガイドは?だったかも)と言うのです。これは視聴者は番組が終われば、その興味は別のところへ移るし、また次の番組もどんどんできるのだろうということが伺えます。第二のトゥルーマンがつくられる可能性だってあるだろうな、と。なんとなく気持ちが悪い余韻が残ります。






明るいコメディかと思ったのですが、けっこう重めの作品でした。音楽関係の映画って「夢見ようぜ!」っていうのが多いですが、本作は「身の程を知れ」といった感じでしょうか。

音楽的才があるらしいけれど常にお面をかぶったままのフランクと彼を中心とした個性強すぎな4人の仲間に、凡庸で夢見がちでSNSヘビーユーザーの今時の若者が加わることでだんだんと良くない方へ転がっていくストーリーです。

しかしなが、音楽的なことはさっぱりなので本当にフランクに才能があるのかどうか、彼らの曲が良いのかどうかはよくわかりません。どうもただの''珍味''のように感じます。作中でもわりと音楽がよいというよりメンバーの「おかしさ」をネタとして話題になったという扱いをされている気がします。前半の''閉じた''彼らの世界の中ではフランクはカリスマ性があり、また凡庸な主人公が彼らの音楽を「凄い凄い」と言うのでやや首を傾げつつも「どうやら彼らは才能があるらしい」と思わされるのです。しかしながら後半、凡庸な主人公によって''外の世界''へ引っ張り出された彼らは「その他大勢」として扱われ、殊更輝くでもない''其れなりの人たち''ということがなんとなく察せられるのです。

なんというか、切ない。世知辛くて辛辣な作品です。

表向き「凡庸な人間はやっぱり凡庸ななまま」って感じですが、とはいえその「凡庸な人」からみて「才能ある人」もまた実は大したことがないという表現をそこはかとなく感じるのです。

バンドメンバーはフランクを筆頭になにやらみんな精神的に不安定で、そのバランスを音楽を通してとっている様子です。なので彼らにとっては''有名になりたい''という欲はないのだな、と。フランクは「多くの人に受け入れられること」に一度魅了されますが、バンドのメンバーたちには既にずっと受け入れられていたと最後の最後に気がついたのかなと思います。そして、彼らはそれで満たさせるのだと。

お面を取った後のフランクの哀れな様子が凄いです。マイケル・ファスベンダーがかなりいい味をだしています。そしていい声。

後味は悪くないのですが、とにかく切ないです。

シリーズ2作目です。

また彼らを観ることができるのは嬉しいですし、面白いのですけれども、やはり1作目には到底かないません。

不満点は、新婦の弟が晴れやかだけれど指なくなっちゃってるあたりこれは本当の不幸なこと。あと、話が大きくやりすぎてカーチェイスとかに時間を割いていて小ネタが少ない。そして今度こそ一緒に!と思ったダグがやっぱり不参加なところ。

とりあえず、ブラッドリー・クーパーが格好いい。そしてどうもなぜアランがあそこまでフィルに懐いているのかよくわからない…。1作目でそんな懐くようになるきっかけのエピソードあったっけか…。