音楽136 〜HeatWave | Remember Every Moment

Remember Every Moment

Live your life filled with joy and wonder!
(人生はチョコレートの箱、開けてみるまで分からない…。)

Talkin' to Me (Mark Ronson Sunshine Remix)  Amerie

エイメリーは2005年頃に"1 Thing"という曲をヒットさせて、当時ゴールドプレイのクリス・マーティン等、影響力のあるミュージシャンが好んで聴いている曲として挙げていたことで記憶があるR&Bシンガーです。韓国系のミュージシャンはいまや世界的に人気のあるアーティストを生んでいますが、その走りはもしかしたらこのエイメリーかもしれません。



この曲は特にシングル・カットされたわけではないですが、その"1 Thing"のB面に収録されていて、ブルーノ・マーズの"Uptown Funk"、エイミー・ワインハウスのプロデュースで有名なマーク・ロンソンがリミックスしています。オリジナルのアルバム・ヴァージョンは今ひとつ魅力に欠けますが、こちらはのちにK-Popがブレイクする予兆のようなものを秘めた好リミックスです。


Change the World  Eric Clapton

最近、New York Timesに「今年のグラミー賞には、ロック・カテゴリーのノミネート曲にギター・ソロが1曲もない」という記事が出て、大いに論争の種になったらしい。これもしばしば書いているように、ギター・ソロはパンクの時代からそもそも退屈なもので、中でもベルボトムのジーンズを穿いて「泣きのギター」を弾く長髪のギタリストは最も時代遅れなイメージだろう。

このプロファイルに当て嵌まるのが、最近来日していたエリック・クラプトン氏だ。クラプトンといえば日本人が大好きな表現「3大ギタリスト」の一人にして最も知名度のある人物だが、今回そんなに来日が話題になった感じがしないのは、時代の流れと無関係ではないだろう。

クラプトン氏の全盛期はもちろん60年代から70年頃だが、90年代に入ってMTVのアンプラグド企画を経て再評価されたのはしっかり記憶にある。90年代のクラプトン氏はかつてのように「ブルースをバリバリ弾きまくる」代わりにアコースティック路線の"Tears in Heaven"、そして当時のR&B界最大のヒットメイカー、ベイビーフェイスのプロデュースで"Change the World"をヒットさせて、時代の象徴たるグラミー賞をしっかり受賞しているのだ。

この曲の間奏にも、大したことのないギター・ソロはある。しかし、アコースティックなサウンドは当時の流行りであったのと、60年代のリバイバルブームがあったので、それはすべて好意的すぎるくらいに受け入れられた。自分が敬遠していたのはそのサウンドが身の毛もよだつほど嫌いな桑田佳祐のそれと近い感じがしたからだが、売れ線に走ったという批判もあったクラプトン氏がこっそり注入したブルース由来のフレーズが、実はカントリーのカヴァーであるこの曲をロックのカテゴリーにしている。

もう一度聴いてみたくなったのはその辺の絶妙なブレンドと、時代がいい意味で変わったせいだろう。その頃のおじさんたちは死に絶えるかまたは力を失い、若者は当時を知らないのだ。


Every Time I Close My Eyes / Talk to Me (Live)   Babyface

こちらもしばしば取り上げているベイビーフェイスの『ザ・デイ』に収録されている曲で、"Every Time I Close My Eyes"は軟弱の代名詞、ケニーGのサックスをフィーチャーしたバラード。"Talk to Me"は「チェンジ・ザ・ワールド」のお返しにクラプトンに参加してもらったアコースティック曲。前者はベイビーフェイス版"I Just Called to Say I Love You"といった感じで、もちろんもっとスローでシンセ色の薄い響きだが、たぶん歌詞がそんな感じにさせるのだろう。それに、同アルバムのハイライト、"How Come How Long"では実際にスティーヴィ・ワンダーと共演している。



90年代のR&B系ミュージシャンは軒並みインタビューでスティーヴィ・ワンダーとマーヴィン・ゲイの影響を語っていたものだが、ベイビーフェイスは今では影響を語られる側になっている。ケニーGはジョジョのせいでヌケサク扱いのままな感じだが。

"Every Time I Close My Eyes"はいくつかヴァージョンがあるが、通常版といえるのがマライア・キャリーがバック・コーラスを入れているもの。"Talk to Me"にはオリジナル・アルバム同様クラプトンも参加していたベイビーフェイスの『アンプラグド』のライヴ・ヴァージョンがある。自分が聴いているのはエレクトリック・ギターのライヴ感の強いこちらの方だ。


I'll Make Love to You  Boyz Ⅱ Men

この曲はホイットニー・ヒューストンの「オールウェイズ・ラブ・ユー」と同じ期間のNo.1ヒット(14週)だったが、そこまでいい曲ではないし、ボーイズⅡメンのメンバー自体あまり歌いたくなかったらしい。まあ、何をやっても売れる時期というのはあるものだ。

ただ、ボーイズⅡメンは日本の歌謡曲にモータウン・ビートと同じくらい影響を与えたかもしれない。カルチャー・クラブにゴスペルの講座ができたり、ソウルやR&Bよりのヴォーカリストやグループが出てきたのもその頃からだ。

海外に目を転じてもっと最近では、ジャスティン・ビーバーが25年以上前のこの曲を歌ったらしい。ヒット曲にはやはり何らかの魅力があるのだろう。


Everything  MISIA

一仕事を終えて帰り道、夜の散歩をしながら武道館の方に差し掛かったとき、その日の武道館でコンサートをしていたのがどうやらMISIAだった。武道館から流れ出てきた人たちはかなりの数で、いつか観た小橋健太の引退興行以上の人波に巻き込まれた。全盛期はすでに過ぎているのに凄い集客力だなと思う一方、前々からなんとなく感じていたが、ミーシャのファン層は自分の年齢より上の人たちなんだな、と感じた。

MISIAの代表曲といえば、やはり「やまとなでしこ」のテーマ曲だった"Everything"だ。ミーシャも松嶋菜々子も歌声や美貌を神格化されていたような時期があったが、少し前の「やまとなでしこ」の再放送の視聴率を見ると、視聴者の反応も変わってきて、ドラマはそんなに今の時代に合っていないのかな、と感じる。(今だったら魚屋エンドの方が受けたりするのだろうか)。僕としてはあのドラマは途中から逃さず観ていたし、多少うざったいキャスティングがあってもメインキャストと脚本がぶれなかったので、DVDで何度か見直したこともあるくらいだ。何よりも、テーマソングはこのドラマのために作られている雰囲気がある。

テーマ曲の方がドラマを初めて観たような層にどんな風に響いたのかわからないし、武道館にミーシャを聴きに行くような連中はあまり好きではない。

しかしこれもクラプトンの"Change the World"同様、最近は普通に聴けるようになっている。そういえば、この曲は直前の90年代J Popに目立った高音域のパフォーマンスというのがなく、壮大なようで意外と抑制が効いている。これがこの曲の長寿の秘密なのかもしれない。


All I've Got to Do / Rock And Roll Music  The Beatles

僕は最近、我ながら人間的に成長した気がしている。上の人間にへつらう必要がないほどに強くなったし、肝心な所で野生のカンのようなものが働いて危機を回避するし、「無礼な」人間に対しても寛容でいられる(といっても、倍返し気質は相変わらずだが)。

成長すると、ある程度の異物は気にならないし、逆にこれまで避けていたものや低い評価をしていたものに客観的な興味が湧いてくる。アニメでいえばガンダム・シリーズの「アニメじゃない」ZZガンダムで、観てると確実におもしろい瞬間・エピソードがかなりあるし、人気の女性パイロット・ランキングにルー・ルカが入ってきているのに納得したりする。



そしてビートルズ。僕は10年ほど前、ジョン・レノンのような丸眼鏡を友人から勧められたのだが、ビートルズのメンバーの中ではやはりジョン・レノンが一番好きだ。知名度のあるビートルズの曲は「イエスタデイ」、「ヘイ・ジュード」、特に日本では「レット・イット・ビー」と、ポール・マッカートニーのイメージが強いが、初期のビートルズは質・量ともにジョン・レノンの作品またはヴォーカルが目立つ。

オリジナル曲を作り、演奏し、歌うという、プレスリーにはなく、今でもアーティストにはハードルの高いことをさらっと演っていたビートルズでも、初期のアルバムのうち2、4作目はカヴァー曲の割合が高い。そんな中、2作目の『ウィズ・ザ・ビートルズ』には荒削りのようで魅力的なジョン・レノンのオリジナル作品がある。既出の曲だと"Not a Second Time"、今回初出の曲がこの"All I've Got to Do"。非常にロックン・ロールのフィーリングがあるが、激しさではなく、スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ風のヴォーカルとドラミング、ハーモニーの魅力だ。

対して、チャック・ベリーのカヴァーである「ロックン・ロール・ミュージック」はストレートでパワフルなロックだが、非常に楽しんでいるのが伝わるし、ビートルズのリーダーはやっぱりジョン・レノンだということもよくわかる。僕は道玄坂を登り切った所にある俺流塩ラーメンにのりととろろこぶを大量に入れたものを食べながら改めてそう思った。


Intergalactic  Beastie Boys

90年代にバッハの「G線上のアリア」を使用したSweetboxの曲が流行ったが、ビースティ・ボーイズはそんな単純なサンプリングに走っていない。

この曲のサンプルはいくつかあって、ベースになっているのはレス・バクスターがクラシックの名曲をムーグ・シンセでカヴァーしたアルバムからのラフマニノフ作品。これにラップをのせているのだが、このフロウがムソグルスキーの「はげ山の一夜」をモチーフにしているというところか。

イントロのぶっ飛んだエレクトロニカ音は何なのか?これはどうもヴォコーダーを使ったエフェクトらしい。カニエ・ウェストの『イーザス』のオープニング曲より15年前にこんなサウンドを構築しているのはなかなか凄い。しかも、正確に答え合わせができないので、合っているのかわからない。


Heat Wave  Martha & the Vanderas / 

Street Fighting Man  The Rolling Stones

ローリング・ストーンズの自他共に認める代表作のベースになっているのは、間違いなくマーサ・アンド・ザ・ヴァンデラスの"Dancing in the Streets"だ。これが1964年で、"Street Fighting Man"が68年だから、イギリスのロック・バンドに与えたモータウン・サウンドの影響がいかに大きいかがよくわかる。ミック・ジャガーは80年代になってデヴィッド・ボウイとこの曲をカヴァーしているが、ヴォーカルとくせのあるメロディーはまさしくマーサ・リーヴスを色濃く反映している。


こちらはマーサ・リーヴス&ザ・ヴァンデラスの代表作「ヒートウェイヴ」。これも古臭いようで今聴くとめっちゃ斬新でいい曲です。あんまりイメージないですけど内容はラブソングなんですね。


「ストリート・ファイティング・マン」は明らかにオマージュ作なのだが、それにオリジナリティを出しているのはアコースティック・ギターのカセット・テープ録音と、ビル・ワイマンではなくキースが弾いているというベースライン。曲をリードするようなベースの音は聴いていて楽しいが、曲が進むにつれてシタールやタンブーラ、しまいにはシャハナイなるインドの笛が入ってカオスで多国籍なサウンドになっていく。


Brown Sugar  The Rolling Stones

『スティッキー・フィンガーズ』といえば、ジョジョのブチャラティのスタンドの方が有名になってしまった感があるが、なぜジッパーの能力なのかはもちろん元ネタたるローリング・ストーンズのアルバム・ジャケットにある。




CD盤ではわからないが、アンディ・ウォーホルの手がけたこのレコード・ジャケットは、ジーンズの部分に元々ジッパーが付いていて、それを下ろすとウォーホルのサイン入り白ブリーフがあらわれるというイロモノの代物だったのだ。

サウンドも、CDで聴いたらそんなに良さがわからない音だ。この曲のシンボルはキース・リチャーズの6弦を張らないオープンGチューニングによる「人差し指一本押さえ」を軸にしたギター・リフですが、ここでもアコースティック・ギターを巧みに使ってレコーディングをしています。

ローリング・ストーンズといえば世界で最も有名なロックン・ロール・バンドですが、この曲にギター・リフとサックスのソロはあっても、いわゆるギター・ソロは事実上存在しない。だから、ロック=ギター・ソロというのは古い価値観の中でも正解というわけではないのだ。


California King Bed (Live)   Rihanna feat. Jennifer Nettles

こちらもJoJoに登場するスタンド「カリフォルニアキングベッドちゃん」の元ネタ曲。アコースティックなイントロのギターから導かれてはじまるロック形式のバラードで、R&B寄りのリアーナにギター・ヒーロー的なギター・ソロをフィーチャーしたパフォーマンスがあるのが新鮮です。



間奏からエンディングにかけて炸裂するヌーノ・ベッテンコートのギター・プレイはまさにギター・ソロのショータイムそのものですが、オリジナルでギターを弾いているのはヌーノではないので、ライヴ・ヴァージョンがベストということになります。

このライヴでリアーナとデュエットしているのはカントリー系の女性シンガー、ジェニファー・ネトルズ。間奏でヌーノもジェニファー側にいて弾いていますが、ヴォーカルでも主役のリアーナを喰うほどの存在感あるパフォーマンスをしています。


What A Wonderful World  Rod Stewart

オリジナルはルイ・アームストロングが66歳の時にリリースした曲。ストリングスをバックにしわがれた声で歌いあげるからこそ感動もひとしおな名作ですが、自分が聴いているのはロッド・ステュアートが『ザ・グレイト・アメリカン・ソングブック3』でカヴァーしたヴァージョン。こちらも流麗なストリングスにかすれ気味の美声、スティーヴィ・ワンダーの素晴らしきクロマティック・ハーモニカを添えたものです。

江國香織の『神様のボート』という小説で、「ロッド・ステュアートは私のおまもり」というフレーズが出てきますが、「素晴らしき世界」を美しく歌うためには少しかすれた声がポイントなのかもしれない。


If (Album version)  Chage and Aska

新曲としてはあの"Say Yes"以来となったシングル曲であるが、"If"といえば『GUYS』に収録のアルバム・ヴァージョンである。

『GUYS』は"no no darlin'"を擁する全体的にポップスというよりアンビエントな音像をもつアルバムで、"If"もシングル版は特にサビがロック風だったが、アルバムの雰囲気に合うように再録音されている。しかも場所はロンドンで、現地のミュージシャンの演奏だから音が日本っぽくない。サウンドの中心は『GUYS』以前から参加しているJess Baileyで、キーボードとアレンジはこのJessの音が決めているのだろう。特に終盤で入ってくるフルートのような音色のシンセのソロがなんとも言えない。ドラムはちょうどロンドンで流行っていたハウス風な正確さのリズムを叩いているが、これはニール・コンティというイギリスでもトップクラスの経歴を持つドラマー。



というように、"if"は当時のJ pop中でもかなり異質なセルフカバーなのだが、仕上がりはまさに「帰り道の風のよう」だ。飛鳥涼の詩はこの頃特に冴え渡っているが、サビの締めにあたる歌詞、


 僕はずっと君の味方さ


はやっぱり当時の皇太子様のプロポーズの言葉「雅子さんのことは僕が一生全力でお守りします」へのASKA的解釈なのかな、と思っています。一生守るとは言いきれないけど、君の味方でいるよ、と。


Bye.  J Dilla

サンプリング・ソースはアイズレー・ブラザーズの"Don't Say Goodnight (It's Time for Love) "。コモンとディアンジェロがラップと歌をのせたものの方が有名かもしれないし、単純にメロウなオリジナルを聴けばよいのかもしれない。でも、Jディラの『ドーナツ』のこのビート、このトラックだけの方が良い。


Say My Name  Destiney's Child

K-PopがJ-Popより「かっこいい」サウンドとされているのは、その源泉が90年台R&Bにあるからだと思う。日本の曲も、このサウンドを志向・意識した曲はだいたい高品質だ。サウンドもそうだがキーとなるビジュアルも、このあたりのものは今でも普通に通用するものが多い。



プロデュースはロドニー・ジャーキンスで、当時流行の変則ビートとそれに見合ったシンコペーションで歌い上げるスタイルの曲。90年代後期の最新鋭の新奇な志向のサウンドですが、これを一般化させたのがデスティニーズ・チャイルド=ビヨンセ。ビヨンセはソウルフルな歌唱もできますし、それが本質なのかもしれないですが、むしろ下手な技量の歌い手の方がマッチすることの多いティンバランド系その他変則のビート&メロディでも本格的に歌いこなしてしまうのが最もプロフェッショナルな所です。実際、ビヨンセはこの曲が嫌いだったみたいですが、拗ねずに仕上げてNo.1ヒットにしています。90年代は前半から中盤にかけてはリバイバル・ブームと言われていましたが、97年〜2000年頃の曲は今よりずっとクリエイティブで、普通に先を行っていると思います。


The First Night / Angel of Mine  Monica

ブランディーとのデュエット"The Boy Is Mine"が一番有名なモニカですが、そのほかにもヒット曲は複数あります。ジャーメイン・デュプリのプロデュースした"The First Night"も全米No.1ヒットで、ヒップホップ感覚のR&Bといえば自分にとってこの曲かもしれない。

元ネタはダイアナ・ロスの"Love Hangover"で、ジャーメイン・デュプリがサンプルしたのは開始10秒から20秒程度の部分で、1分ほどでディスコ・サウンドにチェンジすることで有名な原曲に対して、導入部のピアノとストリングスのちょっと不穏な感じのする部分とビートで構成しています。最初はジャネット・ジャクソン用のトラックを意図していたらしいですが、「ファースト・ナイト」というテーマからか、モニカの曲に落ち着いたようです。



"Angel of Mine"はエターナルが当時ヒットさせたばかりの曲のカヴァーで、これもロドニー・ジャーキンスがプロデュースして全米No.1に。エターナルのアコースティック・ギターのアルペジオっぽいアレンジの方がすっきりしてて好きな部分もありますが、モニカも原曲にない要素を足しながら歌っています。


Never End  安室奈美恵

遠い昔の沖縄サミットの曲。それだけに沖縄音楽の要素は入っていますが本体は基本的にTKミュージックで、イントロ(と間奏)の部分に沖縄っぽさが詰め込まれています。小室哲哉といえばサビがいきなり頭に来たり、イントロがヒット曲の構成要件だったりしますが、インストゥルメンタルな場合は結構実験的なことをやっていることが同じくらいです。



歌とダンスの他に、スタイル、髪型、メイク、雰囲気、媚びない感じ。これで結婚も出産も済ませた23歳くらいってのが凄いですね。最近、研修に来てる新入社員をたくさん見てまして、みんないい大学出て海外育ちとかもいるはずですけど、こんなオーラのある人はいませんね。


3Way  Teyana Taylor

カニエ・ウェストのバックアップで制作されたアルバムに収録の曲。カニエのプロデュースというのはかつてのパフ・ダディー型、さらに遡ればリック・ルービンのように、自分で楽器を演奏したりアレンジを施すタイプではない。要はアイデア提供のゴーストライティングみたいな感じなので、この曲での実作業者はロドニー・ジャーキンスなのだろう。

とはいえ、ほとんどが楽器のようなヴォーカルのラインと、オルガンのようなキーボードだけで演奏される構成や、元ドゥルー・ヒルのSisqoのソロ曲"How Can I Love U 2nite"の冒頭のメロディを引用したアイデアはいかにもカニエらしい。


Everything (It's You) Live  Mr. Children

オリジナルはギター・ソロが入るアメリカのフォーク/カントリー・ロック風の曲ですが、自分が聴いているのは小林武史のピアノを主体にしたアレンジのライヴ・ヴァージョンです。ざっくりしたロック風の曲をスローなピアノで切なく抑えて歌い上げる、というのはありがちアレンジですが、間奏のスライド・ギターからドラムを入れて、オリジナルのような雰囲気に盛り上げてからピアノで終わる、というのはドラマチックで、桜井和寿らしい色気があります。


「Stay3段活用」というコメントが見られますが、なかなか上手い表現です。