「献血」の定義 | That's where we are

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the Church of Broken Pieces
(アメリカ救急医の独り言と二人言)

毎日暑い日が続きます

セーターを着るような寒い日からの変化

春なんて殆どなかったような

 

気温が上がると外傷の患者が増える

救急の世界に入った時から聞いてきた話ですが

 

A Time Series Analysis of Associations between Daily Temperature and Crime Events in Philadelphia, Pennsylvania. Journal of Urban Health, 2017;

 

外傷が増える→輸血用血液の需要が増える

 

そんな需要を見越したわけじゃありませんが

ちょっと時間が開いたので

献血に行ってきました

 

普段でもゼイゼイいっている

ズンバ・ストロングのクラスの直前に

献血するものじゃないですね

もう、全然、クラスについていけない...

 

うちのERでは時々「血漿センター」という所から

患者がやって来るのですが

皆さま、「血漿を献血した(donate plasma)」

と、おっしゃいます

 

簡単に言ってしまうと血液の中には

・固体成分=血球と血小板

・液体成分=血漿

この二つがあり、血漿には

出血を止めるのに必要な凝固因子やら

浸透圧の調整に必要なタンパク質アルブミンとか

色々な成分が含まれています

 

「献血」とは赤十字でやるように

無償で行う善意の行為かと思っていたのですが

よくよく聞いてみると

彼女たち(なぜか男性にあったことがない)は

1週間に一回、この「血漿献血」に通っている

 

まあ、お若いのにずいぶん熱心に

慈善行為をされるのね

お遍路さんみたいに、何かの願掛け?

と感心していたら

 

「あれは寄付ではなくて

血漿を売っているんだよ」と同僚

 

献血じゃなくて売血なのね

 

血球が入った血液を「献血」することで

金銭的報酬を得ることは違法だけれど

血漿の「献血」でお金を得ることは

OKなのだそうです

一回につき20~50ドル支払われるのだとか

(血漿センターのサイトには

「献血に費やす時間に対して」の報酬とのこと)

週一回、2時間じっとしていてお金が入る

ある意味、バイト感覚?

 

需要があるからこういうビジネスが成り立つのですが

でも、これは「寄付(donation)」とは違うような

言葉をすり替えることで

意識下の猜疑心、後ろめたさを

消そうという魂胆がある様な気がするのは

私だけでしょうか

 

 

 

 

どくしゃになってね…

 


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