患者と共にやって来た美人猫
患者は入院が必要となったが
サービス・ペット以外は病棟へ入れない
アニマル・コントロールが猫を引き取ると聞き
喜んだのもつかの間
「明日まで引き取れない」
『今夜は猫を引き取りに行けないんですよ』
「来ていただけないのなら
多分朝3時ごろになるかもしれませんが
私が家に帰る途中に、持っていきますよ」
『いや、それも駄目です
シェルターには誰もいませんから』
誰もいないって...
あの、つかぬ事を伺いますが
そちら様が電話をしていらっしゃるのは
何処でしょうか?
『ここですか?
ここの住所は...』
それって、シェルターの住所と
全く同じやんか
『駄目なものは、駄目です
基本的にうちは、警察とか
消防隊とか救急隊からとかの
動物しか受け取らないのですから』
チラッと横を見ると
患者を搬送し、ストレッチャーに移している救急隊
「あ、救急隊ならここにいますよ
規則が『救急隊経由なら』ってことでしたら
ここにいる救急隊にお願いしてみますが」
『いや、それは困ります』
上司の方に掛け合ってもらえませんか?
そう言っても、そんな人はいません
僕が今、ここで仕切っているたった一人の職員です
の一点張り
(さっき、同僚に話した、とか言ったよね?)
「そうですか...
これって、フィラデルフィア・インクワイアー(新聞)が
喜びそうな記事ですよね
『入院要の状態であるにもかかわらず
たった一匹残された家族である猫の引き取り手がなく
病院を去らざるを得なかった老人
真夜中のフィラデルフィアで行き倒れ...』」
規則は曲げるためにあり
曲げるべき規則もある
臨機応変とはとても大切なこと
って言うか、聞けば聞くほど
ここ、本当に規則みたいなもん
あるんかしら?と思えてきた
新聞の名前を出すと
電話の向こうで冷や汗をかいている様子が伺われ
『上司に連絡してみます』
(いてるやん、いないはずだった上司)
上司に確認後、電話をかけなおすと
本当にいるのかな、「上司」
本当に電話、かけなおしてくれるのかな?
(その4に続く)
