シャッターアイランドとインセプションの奇妙な類似点について。 |   EMA THE FROG

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シャッターアイランドとインセプションの奇妙な類似点について。

◆主演がレオナルド・ディカプリオ
◆奥さんが怖い、そして死亡している
◆奥さんを中心とした妄想に憑かれている
◆仲間や相棒に対して重大な隠し事をしている
◆現実と非現実をいったりきたりするような物語
◆クラシック、またはクラッシックぽい荘厳な音楽
◆夢オチ(厳密に言えば違う可能性はある)

僕はこの2本の映画を続けて見ちゃったもんで、この2作品が(恐らく偶然)とてもよく似ている事に驚いた。中でも、主人公が奥さんの幻影に日々悩まされ、それが原因で物語があっちやこっちに揺れ動く様子はソックリだった。そして何より、この2作品はどちらも「シックス・センス的」というか、オチだけは絶対誰にもバラさないでね!というスタンスの作品なのだけど、そのオチ自体もまたソックリ。てゆうかそもそも、主演が両方ともディカプリオ。顔が同じなのはもちろんだが、切れ者だが直情的(そして奥さんには滅法弱い)という役柄の性格までもが似ているわけで。

しかし繰り返すがこの類似は「偶然」だろう。その制作期間や公開時期がカブっている(シャッター~の公開は2010年2月19日、インセプションは2010年7月13日)という話をするまでもなく、スコセッシとノーランという実績ある監督が互いの作品をパクるメリットは何もない。「原作はどうなんだ?」という話にしたって、確かにシャッターアイランドの原作・小説『シャッターアイランド』@デニス・ルヘインは2003年作品で、それを読んでインセプション的な話を思いついた人もいたかもしれない。しかしノーラン監督がインセプションの構想を練り始めたのは小説発売よりも前の約10年前。……まあ、どうしてこんなに鼻息荒く(誰も口にしていない)「パクリ説」を否定してんのかよく分からないけど、とにかく言いたいのは、「この2作品は似ていて、そして、それぞれ面白い」という事です。

特にシャッターアイランドの方は、先に触れた原作本(デニス・ルヘイン著)も買ってしまうくらい好きになりました。原作を読むと、スコセッシ監督がかなり忠実に原作小説を再現しているのがよく分かる。多分彼も、この小説が大好きなんだろう。むしろ小説に書かれていない部分まで、その世界観を損なうどころか二倍にも三倍にも豊かにする形で映像化してしまっている。一般的に映画っていいうのは原作をかなり端折って製作されてしまうものだけど、今作に関して言えば小説より映画の方が情報量が多い気がしたな。とはいえ映画小説どちらもオススメです。個人的には、映画→小説という順番のほうがいいと思う。小説の映画化、というより、映画の小説化、という印象が強い作品だもの。

そして忘れちゃいけないのが、作品中、コーリー医師の部屋で蓄音機から流れている曲。主人公の相棒チャックが「ブラームス?」と聞くと、テディが重々しく「マーラーだ」と答える曲。彼のいた部隊がダッハウの収容所を襲撃したとき、自殺しそこねて苦しむ副司令官が血まみれで苦しむ部屋で、悲しげに、そして残酷に流れていた曲。

僕はこの曲を聞くと、心臓がガシッと掴まれる。涙が出そうになって、でも悲しくはなく、興奮する。

グスタフ・マーラーの『ピアノ四重奏断章<イ短調>
Quartet for Piano and Strings in A Minor