西村賢太『苦役列車』と小説ブログの宣伝 |   EMA THE FROG

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昨年1年間はゲームと文章書きを1日1日交互にしてて、ほとんど読書っていうのはできてなかったんだけど。年明けから遅れ(?)を取り戻す如くいろいろな本を読んでいる。娘の寝静まった夜、リビングの隅にある、爆発した宇宙船のような前衛的なデザインのスポットライトだけを点灯し、IKEA製リクライニングチェアに体を預けて読む。元来読むスピードが非常に遅い上に、根気がないので、あまり思うようにページは進まない。村上龍の『歌うクジラ』は上下巻読み終えるまで1ヶ月くらいかかったな。いや、もっとか。

なのだけど、一番最近読んだ西村賢太著『苦役列車』は(非常に短い作品であるのが一番の理由ながら)2日で読んだ。ちなみにこれは第144回芥川賞受賞作で、まあその時点でなんというか、少なくともエンタメ的な面白さは皆無なのだと分かるのだけど。とはいえ僕は所謂「純文学」というのが嫌いじゃない。むしろ読書するようになった大学生初めから二十代半ばまでは、何がどうして、と自分でも不思議なほどエンタメ小説を嫌悪し、そして純文学を愛していたのだ。


ただ、川上未映子の『乳と卵』、津村記久子の『ポトスライムの舟』みたいな作品が受賞するようになって、なんか嫌になっちゃった。芥川賞たるもの、もっと悶々とした、ドロドロした、滑稽で、無様で、自己中心的な、そんな作品であるべきなのだとか、思って。

そういう意味でこの『苦役列車』は、純文学として非常に僕好みの作品であった。そして僕好みの純文学がいつもそうであるように、やっぱり自信満々に誰か他人にこの作品を勧めることなどできないのであった。

はてさて、そして、別に純文学熱がどうこう、という話ではないのだけど、ぼくの過去に書いた、悶々とした、ドロドロとした、滑稽で、無様で、自己中心的な小説たちを、このたびネット上で公開することにした。なんて、どだい宣言するほど大層なことでもないんだけど。


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西村賢太の、あまりにもな「さらけだし文学」に、ちょっと勇気を得た部分は、否定できないなあ。

苦役列車/西村 賢太

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