如何なる業に因ってか |   EMA THE FROG

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VANSという靴のメーカーがあるわけです。今ではABCマート始めどこの靴屋でも取り扱っているので知らない人はいないと思いますが、数あるモデルの中でも僕は『ERA』と『SK8-Hi』が大好きです(ちなみに後者はスケートハイと読みます。SK-「eight」でスケートですね)。履き潰したものも含めれば10足以上、今履いているERAのブラックは3代目です。

9月に車を購入して以来めっきり徒歩での移動が少なくなってきた僕ら夫婦ですが、さんざ書いている様に今は奥様運動推奨キャンペーン中なので日曜、歩いて駅前まで行き、そごうの地下で自然食バイキング食べたり、オーロラモールで奥様のショッピングのお供したり、スタバでチャイラテ飲んだり、中古なのにバカ高商品満載のラグタグをひやかしたり、とにかく結婚前エマもいなかった頃には当然だった所謂「歩きまくりデート」を老体に鞭打ち敢行してきたわけですが、それにしても何にしても、VANSの靴ってのは元来ソールが非常に薄いわけです。

今ではクッション性の高い分厚いソールのモデルも多数発売しているようですが、ことERAやSK8-Hiみたいに、ファンの圧倒的な支持を得ているがためにもうずっとモデルチェンジをしていない(できない)モデルに関しては、マジでガチガチのベニヤ板履いて歩いているようなもんです。数時間も歩けば、足の裏はもちろん脛の中ごろにまで疲労感が蓄積し、ただ普通に歩いているだけなのに「痛い」というような酷い状況になるわけで、また、「ご主人様だけに痛い思いはさせられないぜ」何ていっちょ前に自己犠牲精神なのかは知りませんが、靴自体の耐久性も最悪ときております。最高でも1年、通常なら半年ほども履いていればソールに穴開きます。決まってかかと部分から。

履き心地も耐久性も最悪。それが分かっていてなぜ同じモデルを買い続けるかって、これはもうデザイン性以外に理由はないわけで、要するに「だってカッコいいじゃん」という事です。僕の場合同じく「その方がカッコいい」というだけの理由で29センチとかのブカブカサイズをわざと買うんで(ほんとは26~26.5)、余計に履きづらく、ソールの減りも激しいんでしょう。

そこまで分かってて履いてるんで誰に対して文句でもないわけですが、「歩きまくり」が久々だった事もあってなかなか大変でした。とは言え隣では大きなお腹を抱えた奥さんが文句も言わず一生懸命歩いているわけで、なんていうか、なんていうか。家に戻って一息ついたら当然エマ姫が「ねえパパ、そろそろ散歩の時間じゃないでしゅか?」とオネダリするというよりは「忘れているようなので厚意からお知らせしてあげてるんですが」といった風情でアピールしてくださり、いつもの空き地へ行ってみれば、雨のせいでできた冷たい冷たい水溜りにも全く素足のまま果敢に挑戦している弱冠1歳数ヶ月の娘の姿が目に入り、なんていうか、なんていうか。

幼稚園の卒園アルバムに先生方が寄せてくれた「人生に対するアドバイス」の中に、思いやりに溢れつつもなぜだか威圧的なこんな言葉がありました。

「人にやさしく、自分に厳しく」

嗚呼、H先生。僕はVANSを買い続ける事でのみ、自分に対する厳しさをギリギリのラインで保てているのやもしれませぬ。ベニヤ板みたいなあのソールは、きっとお釈迦様が僕を何とか人間として存在させるために与え給うた、裏返しの愛なのでございましょう。

という事で、僕は如何なる業によってか、VANSを買い続ける事になるようです。南無。