スペインで生活していて驚いたことのひとつに、「経験者優先社会」があります。たとえ掃除婦や皿洗いといったシンプルに見える職種であっても、「未経験歓迎」などという求人はほとんど存在しません。


掃除婦=ホテル清掃経験者


掃除婦といえば家庭の掃除を思い浮かべるかもしれませんが、実際にはホテル清掃員のことを指す場合がほとんどです。

そして多くのホテルは「ホテル清掃経験者のみ」を条件に掲げています。

つまり、「家で掃除をしていました」レベルでは応募すら難しいのです。


さらに現場ではフロントスタッフとのやり取りが欠かせないため、スペイン語も必須。

「言葉を使わなさそうに見える仕事」でも、実際にはコミュニケーション力が問われます。


皿洗いでも経験が求められる


日本なら未経験者枠が豊富な皿洗いの仕事も、スペインでは違います。

やはりレストランやバルでの実務経験があるかどうかが重要視され、履歴書に「即戦力」として書けなければ門前払いです。


学歴よりも職業訓練 


この背景から、スペインでは大学の学位よりも職業訓練学校(Formación Profesional, FP)が重視されます。

FPを修了するには必ず数ヶ月のインターン(Práctica)を無給で行う必要がありますが、その経験こそが「現場での即戦力」として評価されるのです。

インターン先にそのまま採用してもらう人もいれば、その経験を他の企業に売り込む人もいます。


外国での職歴の扱い


日本を含む他国での職歴は、スペインでは「参考」程度。

「スペインで即戦力として働けるかどうか」の判断材料には直結しません。

そのため、外国人がスペインでキャリアを築くには、無給インターンや非公式雇用(ネグロ)を経由して経験を積むケースが少なくありません。


まとめ


スペインで働くには、以下の3つが欠かせません。


現場での経験


スペイン語力


職業訓練(インターン)による証明


日本のように「未経験からの挑戦が歓迎される」社会とは違い、スペインは「経験がすべて」の社会。

だからこそ、まずは「経験を積む環境に飛び込む」ことが、最初の一歩になるのです。