くるりコンサートホールツアー2025Voyage
@福岡市民会館
2025.2.11
長らくお世話になったこのホールも3月に閉館が決定。私はこれまでにくるりの他にもクリープハイプやリップスライムといった邦楽アーティストのライブのために何度も来たが、その数は圧倒的にくるりのそれが多かったと思う。最後だというのが感慨深いとくるりのメンバー(ここではサポートメンバーも含め)が仰るように、私もまた同じことを思っていたし、最後のここでの思い出がくるりで良かったなと思った。以下、当日のレポをつらつらと書く(超長文)
15時。物販先行販売のために会場到着。既に待機列が出来ており、私の前に50人くらいは居たように思う。寒い日だったがなぜか準備に時間がかかっているようで、やや薄着で来てしまった自分を省みながらようやく20分頃販売開始。実際に見るTシャツやパーカー、アクスタの可愛さ!絶対買わないと思っていたアクスタの購入を決意。Tシャツとパーカーのサイズで延々迷っていたところ、靴下(オレンジ)のレディースサイズ完売がアナウンスされる。早い、早すぎるぞ!!終演後ほとんどのグッズが終売していたのを見ると、そもそも発注数が少ないとみた。売れ残るよりいいよなァ。そんなことを思いながらやっと私の番が来たのでロンT(黒・L)とパーカー(黒・2XL)とアクスタを満を持して購入。計16000円。アクスタはスタンダードかシークレットの2種で、私はスタンダードのものだった。シークレット欲しさに大量買いしてる人も見かけたが、コレ沢山あってもどうしようもないよな、など余計なお世話。シークレットがどんな絵柄だったのかを誰でもいいから見せて欲しいところだが、くるりのファンはマナーができてるので今のところSNSではひとつも探すことができなかった。
18時、開演。先にカルテットのみなさんがスタンバイされている中、くるり(とはもはや5人)入場。たしか最初に、こんばんは水先案内人のくるりです、と言った繁の軽めのMCがあったように思う(敬称略)。今回のテーマはVoyage。海外で多く曲作りをしているくるりが、改めてそういった曲をセトリにして音楽旅行をするというコンセプト。このコンセプトを聴いた時、真っ先に思い出したのが7th「ワルツを踊れ」。そのリリース時のツアーもオーケストラを従えたホールツアーだった。私がくるりを好きになった年の翌年にリリースされたそれはウィーンで制作されたもので、その異国情緒感じる独特な音楽の佇まいに胸を撃ち抜かれたものです(メアドはこれにならって作りました、そういう文化あったよね昔ってね)。それまでの私のイメージでは、日本人アーティストがわざわざ海外でレコーディングする理由を、海外の気圧とかよう知らんけど録音上のメリットがあってのこととしか思っていなかったんです。でもこのアルバムったら、聞こえてくる和音も旋律も明らかにウィーンナイズされている。くるりってここまで素直にその土地の空気に合わせて音楽作れるのかよ、と思いました。私、ここまでオーケストラと融合したJロックを聴いたことがなかったと思います。
そんなわけで、今回のツアーは絶対にワルツからの選曲が多くなると思っていたわけです。1曲目はハイリゲンシュタット。2曲目サンタルチアをはさみ、ブルーラヴァーブルー。そしてアナーキーインザムジーク。予想通り!実に痺れる!これメロディは関西っぽいんやけどねぇと演奏後にふわーっと話す繁のMCのゆるさよ。おマサシ(佐藤さん)は、「今日来たところだからまだ福岡を感じてないんやけど…お客さんの顔見ていまはじめて感じたなって。顔とか、息とか。」時にヒリつくような緊張感すらある本編とのギャップが、彼らの魅力だと毎度思います。
スコットランドで作ったという曲紹介から、さよなら春の日。私はこれを聴いたのはかなり久しぶり、もしかしたら初めて聴いた可能性もあるほど。サンタルチーアあたりで右隣の人が泣いていたのを横目に、早くない?!と思っていたのだがなぜかこの「昨日の方が雨降りでした」という歌詞に涙腺がゆるんで焦る。自分でも初めてで謎。ただこの日の演奏、なぜかわからんけど今までにないところで涙腺を刺激されるものが多かった。その後アマデウスからのGUILTYのストリングスでのつなぎが完璧!今回のライブのハイライトかもというくらい胸に残った。いつものライブツアーと違って明確なコンセプトがあるので照明やセットもいつもより凝っていて、ところどころ舞台を観てるような気持ちにもなった。あとそもそもGUILTYが好きなんだよな。すぐに忘れるわ/こんなこと。あの余韻が大好き。
T.M.Revolutionとは実は同期だという話から紆余曲折あってくるりの曲は時間について歌ってるものが多いんですと着地する岸田さんのMC。そのあとはくるりの歌う「時間」の曲が続く(セトリ参照)Remember meで無事涙腺崩壊。私、泣いてることをなんとなく気づかれたくなくて涙垂れ流しで聴く(自然乾燥待ち)。歌詞が時間のことを歌っているのは事実としてそうなんだけど、それ以前にくるりの曲と私の記憶が結びついてるんだよな。いわば人生。リメンバーミーは結婚式で使ったし、京都の大学生、リリース時とても好きでカラオケで歌ってたな、結構難しいんだよな、とか。飴色の部屋は何度も聴いてきたけど、私は大学生の時に行ったライブハウスツアーで目の前にいたチリチリのパーマの女性を思い出すんだ。ラーメンズの片桐さんみたいな髪型が鬱陶しかったという半ばネタ的なコラムをサークルの冊子に書いたら、先輩に褒められたんだよな。2012年の冬、のフレーズ。そう、ここでも泣きそうになる。everybody feels the same。ここまでみんな静かに着席していて、もう少し揺れたりしたいけど遠慮してます、な気持ちがここで溢れ出す。松本さんが手拍子を煽ってくれた。私は父が亡くなった2012年の記憶が音楽とともに蘇って泣きそうになりながら、みなで大きく手拍子する。「everybody feels the same」という曲を書いた岸田さんも多分宇宙人だと思うよ。
心の中の悪魔はコロナ禍に発表され、聴いた曲。デモが良かったのでちゃんとレコーディングせずにそのまま出したというそれは、今回カルテットの方に譜面を書き起こしてもらいやっと完成したと嬉しそうな繁。くるりはそうやってフェス1回でしかやってない曲もあるから…という話で、音博でやったりしても福岡の人は来れへんやろうから、と何気なく岸田さんが言ったのがなんだか嬉しかったのは、まぁ私だけだろう。こないだ職場の先輩と話していて、私が昔から遠征しない主義だと言ったらたしかに昔は今ほど遠征できなかったよねと言われたんだけど、20年前はまだ格安の飛行機もなかったし費用もルートも今ほど手軽ではなかった…というのを先輩との話で気付かされた。今は学生でも結構簡単に(と言ってもバイトとかしてるだろうけど)遠征してる印象。そんな中で、くるりは「遠征して当たり前」な感覚では決してなく「ここに来てくれてありがとう」な空気感であることを勝手に感じて嬉しくなったのであります(かなりニッチな感想)
その後、謎のお立ち台のようなものが登場。それに胡座をかいて小さな琵琶のようなものを抱える松本さん。…お立ち台が出てきて普通乗りますか?と繁が問うと、乗りません。と即答するおまさし。ウケる。琵琶のようなものはどこかの国のナントカという岸田さん私物の楽器でした(まじで思い出せん)。変な曲を作ったのでやります、と始まったのはLiberty&Gravity。まじで変な曲。だけどサビではダンサーがかっこよく踊れてしまいそうなクールなノリもあるよな。ファンファンのトランペットの旋律がバイオリンやチェロで再現出来てるのがとても良かった。というか逆。弦でやれるものをロックバンドが普通にやってたのがすごい。
みんな待ってましたのブレーメン。これも涙なしには聴けません。アウトロでみんなで手拍子するところ今回もやったんだけど、なんかめちゃめちゃ速くなってて私思わずやめちゃった。昔こんなやりにくかったっけ?客がテンション上がってどんどん加速したんかな、とか。何にせよこれ今後も演奏の邪魔になるからしない方がいいのでは…とか思った、本当はしたいけどさ(ナウ弦DVDのブレーメン参照)。終わったあとの会場から沸き起こる拍手よ!!いつ聴いても素晴らしい名曲。そして最後、この曲をやらずして、と始まったのがジュビリー。私、この曲の良さに気づいたのが数年前。リリース当時は正直ピンと来なかった。でも今はわかる。いつもこの曲の終わりの歌詞に胸をつかまれる。
アンコール。取り急ぎカルテットなしの5人で出てきて、ありがとうと言う繁。今日はあまりやらない曲をたくさんやってるんですが、これもそんな曲だと言う繁の手にはハンドマイク。ハンドマイク=京都の大学生か上海蟹だと思ってしまうのでじゃあ上海蟹か?!と一瞬よぎったがあれめちゃめちゃやってるわ。正解はふたつの世界でした。でもなんでだろうか、ふたつの世界は私結構聴いた記憶があるな。それにしてもハンドマイク持つ繁、立ち姿含め味があってとても好きなんだよな。
この建物も閉館ですね、とすこし神妙な面持ちで話す佐藤さん。ここで最後に見たのがくるりだったなって思い出してくれたら嬉しい、という言葉に頷く会場。そこで佐藤さんの手がカゴを抱えた途端察するのが純情息子。そんなとき物があると思い出しやすいと思って~!!と恒例の物販紹介始まって天才かと思った。メンバーが奏でるBGMに合わせて即興で歌うおマサシ。クオリティ高すぎて笑った。佐藤さん歌うまいんよな。それにしても黒!ねずみ色!は笑う。関西の人はグレーをねずみ色と言うらしいです。見守る岸田さんの表情もまた、良かった。
オーラス、奇跡。イントロのアルペジオが聴こえたとき後ろの方からため息が聞こえてきたけどほんとうに同じ気持ち。もうこの曲は個人的にビートルズでいうレットイットビーだと思ってます。不動の普遍の名曲。毎回聴き入ってしまう曲だけど今回はなぜだか「来年も会いましょう」というフレーズがやけに耳に残った。そうだ、来年も会おうと言いながら私たちは本当に会いに来れたね。「奇跡」というこの曲のタイトルを改めて思う。今回のツアーは終始そんな感じだった。音楽旅行というコンセプトでくるりの歴史をなぞるようなものだったけど、それは私の青春とくるりの音楽の記憶を辿ることとイコールだった。あの時いつもくるりの音楽があった。何回聴いたかわからないほどの曲も、こんなこと言っていたんだという発見が今更あったりして。多分来てる人みんなそうやってたと思う。だからみんな、普通の顔して実は泣いてましたとか、普通の顔して最高に良かったって余韻に浸ってる。普通の顔してがポイントだよ。くるりのファンってそんなかんじ。みんな同じだ。2025の冬。くるり、本当にいいライブをありがとう。来年も会いましょう。今年でもいいよ。まだ始まったばかりだし。
ハイリゲンシュタット
Santa Lucia
ブルーラヴァーブルー
アナーキーインザムジーク
さよなら春の日
アマデウス
GUILTY
Remember me
京都の大学生
Time
スロウダンス
恋人の時計
everybody feels the same
taurus
飴色の部屋
キャメル
心の中の悪魔
Library&Gravity
La palummella
ブレーメン
ジュビリー
en
ふたつの世界
奇跡
