昨日の一件でリップスライム熱に火がついた私、改めていろんな曲を聴いてみたの巻。蘇るあの日の衝動。冷凍都市の暮らし。行方知らずのアイツいつのまにか姿くらまし(向井秀徳)。私の中学3年時代はリップスライムでできています。



RIP SLYMEって、とてもスマートでオシャレだったと思う。90年代、日本でヒップホップが流行っていたのはなんとなく知っているけれどその頃の私はまだ幼く、超個人的なイメージを申せば当時バカ売れしていたEASTEND×YURIやスチャダラパーみたいなストリート系しかなかった。またはZEEBRAみたいなゴリゴリのお兄さん。私がRIP SLYMEを認識したのは中2の終わりで、OneのMVだった。こんなに哀愁があって、メロディーが印象的で、かつ身近であたたかい詞のヒップホップがあるのだなと、当時そういうふうに言語化はできなかったはずだけれど、そんな気持ちで彼らに興味を持ったんだと思う。







続くFUNKASTICで私は完全に掴まれてしまった。このMVでは清掃員としての5人が映される。とはいってもおそらく日本ではなくどこかの国の、バカ高いビル群の立ち並ぶような街のどこかだ。






そんな大都会でだれも目もくれることない清掃員。見てるのは監視カメラだけ。黙って掃除していると思いきや途中でユニフォームを脱ぐところが本当にカッコイイんである。そしてスタイリングがそれぞれ適格。それぞれのファンクといいましょうか、とくにPESのデカハットに三つ編みにステッキ、あとILMARIをオールホワイトにしたあたり最高。どこぞの貴族だかセレブだかなんだかわからないが、その正体を明かし歌いその場を荒らし、颯爽と去って行く姿は当時のリップスライムの「なんかすげぇ奴ら出てきた!!」な当時の勢いをそのまま表してる。




多分お茶の間にもバカ売れ認定されたのは楽園ベイベーが出てからだ。テレビにもめちゃめちゃ出てたし私もあらゆる歌番組で歌う彼らを観た(録画もした)。情熱大陸でとりあげられたのもこの頃だったと思う。もれなく私も大好きな曲だが、やっぱりどうしてMVが素敵だ。






とにかくリップスライムは映像がよく出来ている。5人の個性や空気感が素直に出てるしストーリーとしてのオチもある。この曲ではお前誰やねんと思わずツッコミたくなる見知らぬ5人が演奏している、というオチだけど、これだけのクリティカルヒットナンバーを当人がニヤニヤ客観視している構図というのがなんとも滑稽で、曲の世界観に”一気に売れちゃった俺ら”をフェードインしてくる巧みさがすごく好きだった。




そんな”一気に売れちゃった俺ら”を自ら風刺したのがBLUEBE-BOP。売れて調子に乗った5人がお寺に修行に行くというコンセプトで、最後めちゃめちゃ礼儀正しくなった5人、身動きもせずオープンカーで走り抜けるサマはシュールで今見ても可笑しい。




私、多分この曲が1番好きだったんだよな。ラジオ(ラジアンリミテッド)で初公開されたはずで、それをMDに録音して発売されるまでそれを聴きまくってた。同じくリップスライム好きな友達にどんな曲だった?と訊かれたときは、なんかこう結構早いテンポの…とかしかいえなかった。今思うとこういう音楽は人生で初めてだったんだと思う。ビーバップってなんなん?てかんじでしたし、どんな曲かと伝える語彙力もありませんでした(それはまぁ今もだが)。彼らを「スマートでオシャレ」と認識し確定させたのはこの曲だったように思う。彼らの雑巾がけは冗談じゃなく500回は見たしほうきを肩にかけて歌うペスの横顔にガチ恋したのも冗談ではありません本当です(怒)



ここに書いたのはほんの一部だけど、そんなふうにリップスライムの作品って音楽としても映像としてもとても丁寧に作られていたと思う。例えば、今はもうMVなんて検索すれば無料で見られてしまう。MV集を出してるアーティストも少ないのかもしれない(調べてないので知らんけど)。でも、リップスライムのMV集はいつも作品として面白かった。曲の終わりにちょっとしたオマケ映像があるんですよ。初期の方は、1曲ごとにメンバーが1人ずつ映し出され「彼がリップスライムのメンバーであるはずがない」といったテロップが入っていた。




ソークールなMVの後のふとしたユーモア。売れっ子だけど身近なお兄ちゃん感。別のMV集でも腹抱えて笑った映像があった。(説明するの非常に難儀なので是非お手に取ってご覧下さい)


これです



そういうのってリップスライムのサービス精神であり、大きな魅力のひとつだったと思う。で、何度でも言うがそれらがいつもスタイリッシュなんだな!ライブではおそろいの振り付けて踊ったりもしちゃうし。オシャレでユーモラスでキュートな稀有な5人だったんである。



最後になるが数ある彼らのMVの中でもソーキュートで大好きな作品を貼り付けておく。たった5分で5人の個性と雰囲気の良さとユニークさとスタイリッシュさと新しさとメッセージ性を盛り込めてるのが天才。ちなみにシングルではないのもミソです。