儚く淡い 姿だった


今宵の お月さまは


紅いような オレンヂのような




ほのかな色で 浮かんでた 


細くて 壊れそうで 無くなりそうで




ゆらゆらと 幻の焔のように 


消えて 現れて また消えて



風に流される 黒い雲の仕業だったか・・・










なぜよるはこんなにもやさしく


はるかなかぜがふくんだろう




とめどなく こよなく


いとしく


うつくしく そっと


いきをひそめてたたずむもの


とうめいで ほのかにただようはかなきもの




みえないのに かたちはないのに


なぜ かたりかけてくる・・・










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そう変わらない時間のはずの帰り道なのに、


そう変わらないくらいの方角の空なのに、


もうすぐ地上に落ちてしまいそうな太陽にうわぁ~って思う時と、


お月さまを見つけてやったぁ~って思う時があって、


天象の不思議だと思ってしまう


そうじゃないだろうと考えたりもしながら


車の、約進行方向の、どこかに見え隠れしながらの風景と、よく一緒に帰る




その日その日の太陽の形、姿、風景・・・


月のその日その日の形、姿、風景・・・


いつもなんで 


こんなに綺麗なんだろう、綺麗なんだろう、


と思いながら帰る










今日はほんとうに細くて細くて消えそうな三日月(?)さまだった

闇の中にひとつだけ灯る仄かな明かりのようで、

雲が通っていくのか瞬間に形を遮断されてしまいながら変わりゆく姿は

揺らめく焔のようでもあった



紅い月だった

オレンジかもしれなかった

そんな色だった




帰ってきて、

そして随分時間が経った夜の今、

どうなっているだろう、と

また空を見上げてみる





お月さまはいない、でも

暗い藍色の、海のような空に

白い雲が波のように広がり、その隙間はまるで

湖のように円く、静かに佇み、そこには星が輝く

まるで一艘、二艘の、舟のように・・・



星かと紛う小さき花を見つけた時のように

心は心は、高鳴ってしまう・・・







すると私は、

いつものところに戻ってしまう


遥かなようで

一点にすぎないような、

どこまでも果てしなく

続くようで だけど、

とても狭いところ





わかるようでわからないし

知っているようで知らないような そんな場所・・・









静寂が 聡明に息づいている

もうたしかに 秋の夜なんだ・・・






こんな夜は

やっぱりココで 書いてみよう・・・




大気の静けさに 虫の声や生活音のざわめきが

沁みていくように響き渡る でもとても 

ひっそりと しずかに・・・




夜に溶けてゆくのは気持ち・・・




素敵な 夜の空気がこんなに

うれしいのに 佇みが こんなに

大好きなのに どこか 

かなしいのは何故・・・






息ができないほどに思いつめてしまう瞬間と

すべてが遠のき、やさしさだけが霧のように降る瞬間がある


感動を何かと 誰かと 分かち合えるような気が


して そしてその


刹那が


此の世の空気の澱みが 微塵も


見あたらないような


純粋が


凝縮して 透明に 


きらっきらっと 輝いているような

気がして









ひとりでは越えられないと思った季節も 過ぎていったよ


成す術もなく 時の流れに哀しみが


削られるように少しだけ 動かされて運ばれてゆくのを




耳を澄ませながら繰り返し やっと息をしていた日々


心休まることは一度だって 一瞬だって


ないけれど


漣立つ心と共に 現実を生きていくことはできる


そう不幸でもなく 儚く現れる幸せを


見つけながら





人は誰しもそうして生きていくのではないか・・・





秋の夜風が大らかに 


吹き渡って私に


触れてくると そのやさしさに 


涼しさに








心が動く・・・



そして想いは


浄化されるように


遠のいてゆく・・・






 






夏の匂いがする 冷たい夜



冬の星座のような 星が輝いている



移り変わろうとする季節が



名残惜し気に 何かを悔いているように



曖昧に 心を 揺らしているように



でも それが真実  とでもいうように



きらめきが   瞬く 










いつからだろうね



わたしたちが自由で いられなくなったのは・・・








鳥たちも風も 夜の帷も



みんなみんなそうして 



この空を 翔けていくというのに・・・