『軍師官兵衛』第29回「天下の秘策」感想 | のぼこの庵

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大河ドラマの史上最高傑作『独眼竜政宗』(1987⇒2014再放送)と近年の最高峰『平清盛』(2012)の感想です。
ついでに『江~姫たちの戦国~』(2011)、『八重の桜』(2013)、『軍師官兵衛』(2014)、『花燃ゆ』(2015)の感想も。
あとは爺放談?

本能寺の変から中国大返しに至る高松城周辺の状況を一回かけてじっくり表現したことで、見応えのある回となりました。

秀吉と官兵衛が、安国寺恵瓊と小早川隆景を調略し、清水宗治を犠牲にして、迅速に毛利との和睦を成し遂げたという展開でした。

毛利側が本能寺の変を知っていた上で秀吉の中国大返しに協力し恩を売った、という説も興味深いところです。

官兵衛が自ら恵瓊に本能寺の変の情報を伝えたのは、信長の死が遅かれ早かれ毛利側へも伝わると考えた上で、短時間で作戦を遂行するために恵瓊を抱き込む賭けに出たということですね。

まあ、「上様が明智に殺された」ことは例によって秀吉陣中でだだ漏れでしたし、黒田ファミリーの情報統制の甘さも相変わらずでしたから、官兵衛の考えも当然でしょう。

清水宗治切腹の場面もよかった。
(官兵衛Loveのセリフは余計でした)

神君伊賀越えのシーンも家康家中の結束を示し印象的でした。
(いらんものが同行していないのは何よりでした)

安土、美濃、姫路の様子もしっかり伝えられていました。
(みんなテンパっている中で光さんだけ妙に落ち着き払っているのが不思議です)

しかしなあ、

官兵衛「清水殿は腹を切らせるにはあまりにも惜しいお方。されどそのお命こそが織田と毛利両家の和の証となり、この乱世を終わらせるのでございます」

お~ま~え~は~仁先生か~。

あまりにも未来人的。この先の展開を全て知っている者の発言です。

それにほいほい納得する小早川も小早川。

こういうことを臆面もなくやるから、この作品を正当な大河ドラマとは呼べないんですよね。

相も変わらず「天下のため」「乱世を終わらせる」という金科玉条に頼る安直さも鼻につきます。

とは言いながら、今回は総じてよかったですよ。
あくまでジュニア大河のレベルで。