演歌『天城越え』真実のストーリー | のぼこの庵

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大河ドラマの史上最高傑作『独眼竜政宗』(1987⇒2014再放送)と近年の最高峰『平清盛』(2012)の感想です。
ついでに『江~姫たちの戦国~』(2011)、『八重の桜』(2013)、『軍師官兵衛』(2014)、『花燃ゆ』(2015)の感想も。
あとは爺放談?

「誰かに盗られるくらいなら貴方を殺していいですか」

『天城越え』は、石川さゆりの代表曲と言ってもいいでしょう。
私もよく聴きます。

でも、
あの歌詞がハッピーエンドのラブストーリーだったとは知りませんでした。



(作詞家吉岡治氏の談話より)

『天城越え』、難しいって言う方多いですね。
歌う人も多いけど。


あれはね、前段として『さざんかの宿』(大川栄作)があるんです。


不倫の歌なんだけど、普通は男がメインで女性が付いて来て、別れたり、別れ切れなかったりして…、僕はそれを逆にしたんですよ。


「くもり硝子を手で拭いて、あなた明日が見えますか」
 

これは誰に聞いているの?ってよく聞かれます。
「女でしょ」という答えが多いんですがこれ、男なんです。

後ろから背中に「ここに来てしまったんだから仕方ないでしょ」という風な声の掛け方なんです。

従来の耐えて忍ぶ、日本の女性のそれは良い処ですが、現代の女性は経済的にも精神的にも自立して拮抗していますから。

だからそれを逆にしたんです。
新しい愛の形に。

珍しかったんだと思う。
たまたまそれが当たって、成功して。

そしたら皆が、「不倫」を書いてくれって。
それで石川さゆりに書く事になったんです。

それが『天城越え』なんです。

あれは実は三人いるんです。
本妻と愛人と男と。

愛人と男がいる処に本妻が殴り込みをかける。
そこで「あなたを殺していいですか」という言葉が出てくる。

そして愛人は逃げ出してしまう。
喧嘩していたはずの二人は仲直りして「あなたと越えたい天城越え」なんです。

松本清張さんの小説とは全く別です。

松本清張さんの『天城越え』は有名な小説ですし、田中裕子さんの手拭を吹き流しにした姿は印象的ですが。
全く別のストーリーなんです。



「あなたと越えたい天城越え」は、
これからの人生も、あなたと一緒に山坂(やまさか)越えた
い。
一緒に苦労がしてみたい。
という女心だったのですね。