平清盛・源義朝の心裏:
「戦は終わった。朝廷に武士の力を知らしめることができた。これからは武士の発言力が高まる。武士の世を拓いて行くことができる。」
悪僧信西・後白河帝の心裏:
「させるものか。お前らの考えている事は、全部まるっとお見通しだ。」
前回「保元の乱」では数々の一騎討ちを堪能させていただき、
その余韻も長く続きました。
ただ、一部の腐ァンの方々には不評だったようです。
その穴埋めか、今回の悪左府頼長は悲劇の賢者として描かれ、
「痛いよ」もカットされました。
さて、
保元の乱で武士同士が敵味方に分かれて戦ったのは
平家にとっては、武士の力を強めるためでしたが、
悪僧信西は逆に、武士同士の争いで、
武士の力を弱めることを狙っていましたね。
「はて、何のことやら?」
武士の発言力は高まっても
決定権はない。
決定に抗う術もない。
清盛・義朝は、武士同士の戦ではない、
魑魅魍魎との政争に勝ち抜くことの難しさを、
思い知らされることになるのですね。
しかし、
それを勝ち抜いてこそ、
悪左府を凌いだ悪僧信西をもさらに凌ぐ
武家の棟梁にして歴史上の大悪役たる平清盛が出来上がるのです。
※頼長役の山本耕史は、「逃げていく頼長はみじめですよ。あんなにぴしっとしていた頼長が“ひーっ”とか“痛いよ”しか言わないんですから」と苦笑。「学があり正しきことを行うと、さっそうとしていたのに戦になったら何もできないどころか、この体たらく。すごい逆転ぶりで、かわいそうなんだけど、滅びゆく美学、カタルシスみたいなものがありますね」と言う。忠実から「お前はやり過ぎた」と突き放されたように、厳格な姿勢が反発を買ってきた頼長。「この場面で“ざまあみろ”と思われてもいいはずなのに、本当に悪者なのかどうか分からなくなってくる感じです。頼長も人間だったんだ、というふうに見てもらえたらいいですね」とのこと。(「北日本新聞」週間テレビガイドより)