電験三種の簡易化は人手不足の決め手となるのか | 電磁砲発射!

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先日

 

という記事を書かせていただきました。知り合いの友人も法規で100点を取ったそうです。このようなこともあり、今回の第三種電気主任技術者試験の合格者は例年より多くなる予想です。

 

 そこで、今回はこの試験容易化で業界の人手不足は解消するのか考えてみたいと思います。

 

 結論から言えば、私は解消できないと考えています。先の記事でも述べましたが、今回の容易化で電気主任技術者の門戸は広くなったと思われます。国の方針としても間口を大きくして、少しでも人員の確保を目指していることがうかがえます。

 

 ところが、この電気主任技術者の電気保安業界や電気工事業界に新しい人材確保の土壌があるかといわれると、まったくと言っていいほどできていないのではないでしょうか?まず、これらの有資格者に対する賃金上昇が他の業種と差別化されていません。待遇も同様で、むしろ、ホワイトカラー層の賃金上昇で相対的に待遇悪化している感すらあります。これでは人は集まりません。

 

 また、試験合格者を一時的に増やしただけでは根本的な解決にならないことは、経済産業省産業構造審議会電気保安制度ワーキンググループでも言われています。

 

 

 では、試験受験者のどのくらいが電気保安事業にかかわっているかを考えると、上と同じ資料から約3割程度と言われています。この3割という数値ですが、一説では気象予報士試験も実際の予報業務に従事する割合は3割程度と言われています。今年の3種合格者を10,000人と予想すると約3,000人となります。しかし、これではおそらく退職者の穴埋めをする人員を確保する人数程度にしかならないのではないでしょうか。

 今回は受験者を昨年度並み、合格率を20%と想定して数値を出しましたが、今以上の合格率となるとさらに問題を簡単にする必要があります。それができるのかできないのか。

 また、3割が実際に業務に従事する人員ですが、これは受験資格が必要ない試験の中では高い方かと思います。

 

 とはいえ、試験自体の容易化は歓迎するべき事項ではあります。平成一桁台の試験は6科目から4科目へ移行した後ということもあり、当時としては合格しやすい試験でした。少なくとも人員の最低限の確保ができているのですから、この時代の試験難度に戻ったと考えれば今の状況は歓迎するべきことと思います。

 

 それ以上に必要なのは賃金の上昇と待遇改善です。先ほど、ニュースでもやっていましたが、このままではおそらく2024年問題を乗り切ることができない部分が多くなると思われます。そのためにはこれまでの常識にとらわれない改革が必要です。これまでの常識にとらわれた改革では、もはや必要とされる人員を確保できないのは運輸業や介護業を見てみると分かると思います。今ある土台を基礎から作り変えるほどのドラスティックな変革が必要な時代を迎えている、2024年問題が業界へ突き付けている深刻な課題なのではないかと思います。

 

 今回は以上です。