敵の大将の首が欲しかった
しかし、相手から目の届かない距離から仕留めても
自分に納得がいかない。
周りの兵からは歓声が上がっている。
幼い頃から、狩りに出て弓の扱いはうまかった
おかげで父親からは己にだらしない粗暴がありつつも
きちんと評価を受けて育ててもらった。
元々普通の器におさまっているのが嫌で
狩りで競争をしていた隣町のドイルと2人で始めた傭兵稼業だった。
どんな戦いにでても金は稼げるが、いつも自分を指揮する将校に
不満をもっていた。 今回も同じである。
自分の隊の将校は馬上からあれこれ指示するが
対した用兵もできず、最初に1500人いた大隊は150人あまりにまで
減っていた。
今回の戦で傭兵として参加したこの部隊は、大隊の将校はさておき
これまで所属した部隊よりもそれなりに戦える兵力がそろっていたのである。
にもかかわらず、その優秀と見えた部隊をたった半日でここまでの状況にした
相手の将軍は何者なんだ?
その興味から本陣の大将と思われる男の肩に矢を突き刺した
その大将は大剣を使う、上半身甲冑、特に肩の部分が動きやすい形にしてあり
両手をしっかり振り上げられるように改良されたものだ。
あの金髪を後ろに流し、悠々と座っている男の鼻をあかしたい
そして、願わくば自分のもっている軍略と用兵術がどのくらいの差があるのか知りたい。
「おい!貴様!士気を乱す気か!勝手に相手の本陣に矢など
射掛けおって!どうせやるなら仕留めるくらいしたらどうなんだ!」
自分が抱えた部隊をここまで壊滅的な状態にしておいて
部下のやったことにしか目がいかないのか。
カスファーの不満はこれまでにないくらいの頂点に達していた
これほどの兵力を無駄に死なせるなど指揮官失格である
(戦ってみたい・・・戦えば自分の持っていた見えない不満の正体を
暴くことができるかもしれない)
その頂点にまで達した不満と敵の大将の興味から
気づけば脇に抱えていた槍を両手に構え
一瞬のもと、将校の首を落としていた。
兵隊たちが息をのみ槍を持ったカスファーを見る
気が触れたのか、怒りに駆られてやってしまったのか
「お、おい!カスファー!なにか考えがあってのことだろうな!?」
「なぁ、ドイル・・・俺はあの敵の大将と戦いたい、
そして勝ちたいんだよ
命を俺に預けてくれないか、この戦に勝てなくても
やれるとこまでやってみたいんだ」
「仕方ねぇ、今更だが狩りで獲物を追い込む時の誘導は
おまえのほうが上だ、喧嘩じゃお前に負けたことはないが
、そういうときの相棒、俺がしっかり支えてやる。
それに見てみろ、あちらさんも俺たちと同じ兵力で
やり合うつもりだぜ」
「それを見て俺は戦ってみたいと思ったんだ、その言葉を聞けて良かった」
二人の会話を見守っていた兵士たちが口々に戦いの意思をみせた
あの将校に皆不満を持っていたのである。
「もう金はもらえないぞ、カスファー」
「あのまま負けていても一緒さ、金が欲しくて始めた傭兵じゃないだろ」
「ああ、そのとおりだ」
眼前に迫った敵を見て、カスファーは胸が高鳴るのを感じていた・・・。
---- see you next time.........................