『ディレンジド 人肉工房』
1974年 アメリカ
《スタッフ&キャスト》
監督 ジェフ・ギレン
監督・脚本 アラン・オームズビー
撮影 ジャック・マッゴーワン
音楽 カール・ジットラー
出演 ロバーツ・ブロッサム/コゼット・リー/レスリー・カールソン/ロバート・ワーナー/マルシア・ダイアモンド
《解説》
「サイコ」「悪魔のいけにえ」「羊たちの沈黙」…多くのホラー&サスペンス映画のモチーフとなった、実在の殺人鬼エド・ゲイン、その実像に迫った実録ホラーの傑作
稀代の猟奇殺人鬼エド・ゲインが犯したおぞましい凶行を描いた作品として、伝説的な評価を受けている本作は、ジェフ・ギレンとアラン・オームズビーによる共同監督作、主演は「ホーム・アローン」でマコーレー・カルキン扮するケビン少年の隣に住む不気味な老人を演じたロバーツ・ブロッサム
エド・ゲイン事件には、ミイラ化した母との生活、全裸の逆さ吊り遺体、そして遺体の一部を使っての“作品製作”といった、その後のホラー&サスペンス映画に多大な影響を与えたショッキングな要素に満ちている、また後に「ゾンビ」「13日の金曜日」「マニアック」「クリープショー」などで知られることとなる特殊メイクの第一人者トム・サヴィーニが参加、ホラー映画ファンとしては見逃せない1本と言えるだろう
《物語》
エズラ・コブは10歳で父を亡くし、以後15年間、母のアマンダと農場を営みお互いに依存、アマンダが脳卒中の後遺症で寝たきりになるとアマンダのベッドを階下に移して介護を始めた
それから12年間、母の寝室の前で眠り、食事や入浴をさせて本を読み聞かせた、孝行息子に見えたが精神に異常をきしていたことが母の死で表現化した、アマンダは死ぬ間際に困った事があったらモーリン・セルビーを訪ねろと、彼女以外の女はみんなふしだらだと
母が死んだ事を受け入れる事が出来ないエズラは週に4~5回は墓を訪れ、部屋はいつ母が帰ってきてもいいように綺麗に整えていた
彼の孤独は広がり母を失った悲しみで精神が錯乱していく、そして遂には母の墓を掘り起した、エズラには母は埋葬したままの姿に見えた
エズラは掘り起こした母の遺体と生活を続けていくが補修の為に本を読んで防腐処理や剥製技術を学ぶが1年も経った遺体は簡単にはいかなかった
やがてエズラは本物の人体を使うことを思い付いた、かつての恩師である教師のジョンソン先生が亡くなり、頭部を盗み出したエズラは解体し補修に使う
友人のハーラン・クーツに勧められてモーリン・セルビーに会ったエズラは肉体を求めるモーリンをふしだらに感じて射殺、モーリンもエズラの食卓に並べられた
そしてエズラにある願望が芽生えた、それは女性との交際だ、目を付けたのは酒場の女メアリー・ランサム34歳だ、彼女の勤める店に通い酒を飲む、そんなある夜、メアリーの車をパンクさせて偶然を装って彼女を車でガソリンスタンドまで送ると言い車に乗せた
しかしエズラは車を自宅に向かわせてタイヤ交換の道具を取って来ると家に入って行った、時間が経っても戻って来ないエズラに痺れを切らせて家に入ったメアリー
そこでエズラは人間の皮を被りメアリーを襲い監禁、目を覚ましたメアリーは下着姿にされミイラの並ぶ食卓に座らされ食事をさせられるが隙を見て逃げ出すが、メアリーはエズラに撲殺されてしまった
次に目を付けたのはハーランの息子ブラッドの恋人サリー、金物店で働く彼女をライフルで撃ち、車で自宅に運ぶ途中で目を覚ましたサリーは森の中に逃げ込んだ
しかしサリーは鹿の罠に掛かり動けなくなっている所をエズラに射殺された、その頃警察は金物店で血痕を残してサリーが消えていることで最後の客であるエズラの家にハーランと共に向かう
そこにはサリーを解体し、ミイラに囲まれたエズラが笑っていた、それから数日後の夜にハーランと村人たちはエズラの家と納屋を焼いた
《感想》
みなさんはエド・ゲインという人物をご存じでしょうか?本作はそのエド・ゲインを描いた作品です、墓荒らしであり殺人者です、それに数々の映画やドラマに影響を与えています
ヒッチコックの「サイコ」に登場するノーマン・ベイツや「羊たちの沈黙」のバッファロー・ビル等が有名です、ちなみに「悪魔のいけにえ」の物語のモチーフおよび殺人鬼のレザーフェイスのモデルとでもあります
エド・ゲインは墓荒らしと2人の殺人で逮捕されました、警察が彼の自宅を家宅捜索したところ雑貨店経営の女性の死体がありました、首を切断され、逆さまに吊るされ胴体は引き裂かれて空っぽの状態だったそうです
全部で15人の女性の死体が見付かりどれも解体されていて一部はベストや食器・家具に加工され、また食用としても保存されていました
そのほとんどは墓から掘り起こしたものだとエド・ゲインは裁判で証言しています、酒場の女主人を殺害し、彼が殺したのはその2人だけ
2人を殺した墓荒らしのエド・ゲインがいまだに語られるなんて凄くないですか?、言っちゃ悪いけど2人を殺してる殺人者なんて世界中にごまんといますよ、なのにエド・ゲインなんです、アメリカの殺人史を代表する1人なのです
そんなエド・ゲインを描いたのが本作なのです、本作は1974年にアメリカで公開されて以降、長らくフィルムが行方不明に、日本で上映されたのは製作から約20年を経た1995年のこと
その頃にビデオでレンタルされたのですけどマニアックな作品なので近所のビデオ屋には並ばなかったので観る術なしでした、誰も手に取らないかも
そしてブルーレイ化されて観ることができました、冒頭で本作の原作者のような人の語りから始まる斬新な展開、その人が物語を説明してくれるんです
マザコン気味のエズラが母の死から段々と狂気に走っていくんです、さすがに大昔の作品なのでいくらトム・サヴィーニが特殊効果を担当しているとはいえその特殊効果は安っぽいものです
でもね、その特殊効果が気持ち悪いんです、ミイラとなった死体を食卓に座らせているなんてまさに「悪魔のいけにえ」のシーンと同じです
ジョンソン先生の頭を解体するシーンはさすがに気持ち悪いです、ここはトム・サヴィーニの手腕の見せ所ですね、ラストのサリーの解体シーンは血の色もちょっと明るいし、もう少しエグくてもよかった、実際のエド・ゲインの解体写真を参考にして胴体だけ吊るして欲しかったですね
数多くのホラー映画のモチーフとなった猟奇犯エド・ゲイン、その凶行を描いた伝説の実録カルトホラー、それが『ディレンジド 人肉工房』です。
これが傑作ホラーのルーツかと思うと感慨深い作品です、2025年にはネットフリックスで「モンスター エド・ゲインの物語」としてドラマ化されています。
更に過激な:続・裏237号室の『ディレンジド 人肉工房』のレビューはこちらです。































