ロリータ | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

タカによるA級からZ級映画まで、榮級は絢爛豪華な超大作、美級は美しい女優や映像美、死級は禍々しい阿鼻叫喚、出級はあのスターの意外な出演作、イイ級は耽美なエロティシズム、Z級は史上最悪なクソ映画、その全てをレビューと少しの競馬予想と日常の出来事

 

 

 

 

 

『ロリータ』

 

 

 

 

 

1997年 アメリカ

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督 エイドリアン・ライン

 

原作 ウラジミール・ナボコフ

 

脚本 スティーヴン・シフ

 

撮影 ハワード・アサートン

 

音楽 ステファン・R・ゴールドマン

 

 

 

出演 ジェレミー・アイアンズ/ドミニク・スウェイン/メラニー・グリフィス/フランク・ランジェラ/スザンヌ・シェパード/キース・レディン/エリン・J・ディーン/ジョアン・グローヴァー

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

少女は風船ガムとダンスと冒険に恋をし、男は少女だけを見つめた

 

かつてスタンリー・キューブリックが映画化に挑んだウラジミール・ナボコフの小説をリメイク、小悪魔的な美少女に心奪われる初老の大学教授に扮するのは、破滅的な役柄を得意とするジェレミー・アイアンズ

 

「ナイン・ハーフ」「危険な情事」のエイドリアン・ライン監督が、いわゆる少女愛の一般呼称とまでなった同名小説を忠実に映画化

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

1921年、フランス・カンヌ、ハンバートも彼女も14歳、少年にとって14歳の夏の出来事は一生心に刻み込まれた、2人はひと目で激しい恋に落ちたが、4カ月後彼女はチフスで亡くなった

 

彼女の死でハンバートの心は砕けた、だが大人になっても彼女の面影を探しつ求め続けた、甘い毒を知った傷口は決して癒せないのだ

 

1947年、ニューイングランド、アメリカのビアズリー大学でイギリス文学の教鞭を取るハンバートは新学期の前の夏休みにフランス文学のテキストを執筆するため田舎へ行った

 

 

亡き祖父の友人だという人に家を借りる約束だったが、その家は火事で焼け落ちてしまった、さらにその友人のシャーロット未亡人が部屋を貸してくれるという

 

 

その部屋があまり気に入らなかったハンバートは何かと理由を付けて断ろうとしたが、庭で見たシャーロットの娘である14歳のロリータに心奪われてしまう

 

 

ロリータはハンバートの少年時代の恋人のまさに再来であった、ハンバートは天災が起きて母親が地上から吹き飛び、すべての人間と共に抹殺される、そんな不謹慎な妄想に耽った

 

 

シャーロットとロリータは母娘仲はうまくいっておらず、サマーキャンプの後にシャーロットはロリータを規律の厳しい寄宿制の学校へ入学させるつもりだ

 

 

その後、シャーロットの愛の告白を綴った手紙を読んでハンバートは2週間後にシャーロットと結婚した

 

 

ある日シャーロットはハンバートがロリータへの想いを書き留めた日記を見た、逆上したシャーロットは道路に飛び出し事故に遭い亡くなってしまう

 

母の死を知らせるべくサマーキャンプに出掛けたロリータの元に急ぐハンバートは身寄りのなくなったロリータを連れ、アメリカ放浪の旅に出た二人は倒錯的なセックスに溺れていく

 

 

そのうちにロリータは興味本位から危険なニオイのするポルノ製作に関わるキルティという男と知り合う、ハンバートはロリータの心変わりを感じて過保護になるが、ロリータの気持ちはハンバートから離れてキルティと密会を繰り返す

 

 

ある日、体調不良で病院に一泊することになったロリータは病院を脱走してそのまま行方をくらましてしまうが数年後にハンバートの元にロリータから手紙が届く

 

ロリータはある青年と結婚して妊娠しており、お金が足りなくて困りハンバートに手紙を出したのだ、ハンバートはロリータの元に現れるが、あの頃の魅力は失せて粗末な生活をしていた

 

 

ロリータからキルティに弄ばれたことを聞かされてハンバートは怒りに震えて逆上しキルティの元に向かい、銃で彼を射殺して復讐を遂げるが、ロリータが愛した男はキルティだけだったと聞かされてハンバートは絶望する

 

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

キューブリック版の「ロリータ」はやっぱキューブリックだけあって当時はセンセーショナルだったんでしょうね、1962年にこの少女性愛を扱ったなんてショッキングだったかも

 

本作の魅力は何と言ってもロリータを演じたドミニク・スウェインにあると思ってます、初登場のシーンは彼女は濡れていて何気なくエロティックに見えましたよ

 

 

もちろん壊れそうな中年をやらせたらピカイチの「ダメージ」のジェレミー・アイアンズも素晴らしいですが、この中年男を翻弄する姿に惹かれました

 

 

そんなに大胆なセックスシーンがあるわけじゃないですが、スカートやワンピースを脚の付け根まで捲って座ってたりとなかなか挑発的です

 

 

原作のロリータは12歳ですがドミニク・スウェインが15歳ということで設定は14歳になりました、アメリカ人に14歳なんてもうほとんど大人の体やね、そのわずかに残る少女の面影が絶妙でした

 

 

彼女は本作以外の作品ではパッとせず、作品にも恵まれていませんね、素晴らしい美貌とボディの持ち主ですがもったいないですね

 

 

レビューではロリータと明記しましたが実際はドロレスで呼ばれるのはローでした、あちらの方は誰でも愛称で呼ぶのですね

 

 

母親が亡くなってからアメリカ放浪の旅に出ますがそこで2人はセックスしてしまいます、しかもロリータは初めてではなくサマーキャンプで経験済みだったんです

 

 

それからはロリータはハンバートを翻弄するばかりで、次第にハンバートの想いとは裏腹にロリータの気持ちは別の方向へ向いてしまいます、追いかけて願っても手に入らない悲しさが滲み出てます

 

 

結局、ロリータはハンバートから逃げて他の男の元に走ります、ハンバートも必死に捜しますが手掛かりも少なく諦め、数年が過ぎた時にロリータから手紙が届くんです、バカなハンバートはそこに会いに行くんです、情けない

 

 

結果的にハンバートは全てを失ってしまうんですが、それで良かったんかな?、女に溺れた男は結局は何も手に入れられません、可哀想でもありますね

 

 

ロリータはハンバートにはそんな女に近かったのかも知れませんね、でもこんなに年の離れた少女とセックスはして一時は願いを叶えたようなものですから納得しなきゃね、えっ、それは無理ですか?

 

 

ロリータの母親のシャルロットを演じるのはメラニー・グリフィスで、ロリータを翻弄するキルティを演じるのはフランク・ランジェラ、監督は「ジェイコブス・ラダー」のエイドリアン・ライン

 

 

 

 

 

少女性愛を描いて、世界中にセンセーショナルな話題を起こした小説をリメイクした問題作 それが『ロリータ』です。

 

 

 

 

 

1997年製作ですが少女性愛的な場面があるとして公開が見送られ、アメリカでは1998年、オーストラリアでは1999年まで公開されず、しかもR18での公開となりました。