『国宝』
2025年 日本
《スタッフ&キャスト》
監督 李相日
原作 吉田修一
脚本 奥寺佐渡子
撮影 ソフィアン・エル・ファニ
音楽 原摩利彦
出演 吉沢亮/横浜流星/高畑充希/寺島しのぶ/森七菜/三浦貴大/見上愛/黒川想矢/越山敬達/永瀬正敏/嶋田久作/宮澤エマ/中村鴈治郎/田中泯/芹沢興人/瀧内公美/渡辺謙
《感想》
ただひたすら共に夢を追いかけた
李相日監督が「悪人」「怒り」に続いて吉田修一の小説を映画化、任侠の家に生まれながら、歌舞伎役者として芸の道に人生を捧げた男の激動の人生を描いた人間ドラマ
主人公・喜久雄を吉沢亮、喜久雄の生涯のライバルとなる俊介を横浜流星、喜久雄を引き取る歌舞伎役者・半二郎を渡辺謙、半二郎の妻・幸子を寺島しのぶ、喜久雄の恋人・春江を高畑充希が演じた
脚本を「サマー・ウォーズ」の奥寺佐渡子、撮影をカンヌ国際映画祭パルムドール受賞作「アデル、ブルーは熱い色」を手がけたソフィアン・エル・ファニ、美術を「キル・ビル」の種田陽平が担当した
《物語》
任侠一家の立花組に生まれた喜久雄は15歳、組の新年会で興行主である立花に挨拶に来た歌舞伎役者の花井半二郎は余興で女形を演じた喜久雄の所作に目を奪われた
その後に対立し合う組の者が現れて抗争となり喜久雄の父・立花権五郎は銃で撃たれて死んでしまった、喜久雄は母・マツと半二郎によって命は助かった
その後に喜久雄は背中にミミズクの刺青を彫り、父を殺した相手に復讐を試みるが失敗、マツが亡くなって天涯孤独となった喜久雄は半二郎に引き取られ歌舞伎役者として生きることになった
半二郎の跡取り息子で将来を約束された御曹司の俊介と兄弟のように育てられてお互いに切磋琢磨し、芸に青春の全てを捧げてライバルとして高め合った
長崎から喜久雄を追ってきた幼なじみで恋人の春江の励ましで日々、修行に励む喜久雄と一晩中飲み歩いてそのまま舞台に上がる俊介
歌舞伎の興行を取り仕切る三友の社長の梅木は若い2人の才能を見込んで、喜久雄と俊介の初舞台を仕掛ける、まだまだ半人前だと言う半二郎だったがその公演は成功を収めた
しかし喜久雄は俊介の歌舞伎役者の血筋を求め、俊介は喜久雄の才能を渇望、そんなある日、半二郎が事故で大ケガをしてしまい、代役として半二郎は俊介ではなく喜久雄を指名したことから2人の運命は大きく動く
代役を見事に演じ上げた喜久雄だったがそれを見た俊介は喜久雄に圧倒されて席を立ってしまう、それを見た春江は俊介を追い、その後に2人は姿を消してしまい、8年後に喜久雄は半二郎を襲名するのだが
《感想》
やっと観に行くことが出来ました、ここ数年でどうしても観たかった作品で、どこを切り取っても美しい作品でした、歌舞伎の演目では相当修行したことでしょう
映画が始まって少年の喜久雄が余興で女形を歌舞伎役者の花井半二郎の前で披露したことで喜久雄の運命が大きく変わります、ここで抗争が始まって喜久雄は半二郎に引き取られます
半二郎を演じるのは渡辺謙で、喜久雄の才能を見抜き、生まれついての女形だと、晩年の半二郎は痩せて渡辺謙も恰幅が良かったのですが、めちゃめちゃ痩せて薄っぺらくて驚きでした
喜久雄の父親の立花権五郎を演じるのは永瀬正敏で、妻のマツを演じるのは宮澤エマ、なんだか絶妙なキャスティングだなと、あの永瀬正敏がヤクザの組長役をする時代が来るとは
立花喜久雄を演じるのは吉沢亮で、美しい顔を持つ喜久雄はメキメキと頭角を現して、それは俊介も嫉妬するほどの才能を発揮します、しかし血筋にこだわり俊介の血をガブガブ飲みたいと、順風満帆ではなく波乱万丈なんです
半二郎の息子で将来が約束された歌舞伎役者の血筋を持つ大垣俊介を演じるのは横浜流星で、彼も綺麗な顔立ちなのですが実力はもちろんあるのですが喜久雄の才能を悔しく涙するんです
少年時代の喜久雄を黒川想矢、俊介を越山敬達で、この2人も出番はそんなに多くはないのですがかなり修行したのでしょうね、様になってましたもん
喜久雄の幼なじみで恋人の福田春江を演じるのは高畑充希で、喜久雄を追って大阪にやって来るのですが、彼女の背中にも大きな刺青が入っているんです、吉沢亮と濃厚なベッドシーンもあります
芸子の藤駒を演じるのは見上愛で、初めてお座敷遊びをした喜久雄を見て、彼に決めたんです、喜久雄こそが一番になると、本妻ではなくて二号でも三号でもいいと、彼の子を産みます
半二郎の妻で俊介の母親の幸子を演じるのは寺島しのぶ、俊介が可愛いので喜久雄に強く当たるんです、半二郎の名前も全部奪ってしまうとなじります
歌舞伎の興行を取り仕切る三友の社長を演じるのが嶋田久作で、彼が喜久雄と俊介の初舞台を仕切ります、社員の竹野を演じるのは三浦貴大で歌舞伎なんかしょせん世襲だと冷めた目で見てるんです、でも喜久雄と共に成長し、喜久雄を救う立場となります
歌舞伎役者の吾妻千五郎の娘の彰子を演じるのは森七菜で、喜久雄を兄のように慕っていたのですが、男女の関係となってしまい、喜久雄は追放され、彰子は喜久雄に付いて行くのです
そして稀代の歌舞伎役者で人間国宝の小野川万菊を演じるのが田中泯で、初対面で喜久雄の才能を見抜き、喜久雄と俊介に化け物だと言わせてしまうくらいすごい女形です、もう歌舞伎役者にしか見えません
吉沢亮と横浜流星の「二人道成寺」や「二人藤娘」は息がぴったり合って見応えありました、この2人が演じた「曾根崎心中」は鬼気迫るものがあり、ラストの「鷺娘」は音楽も相まって鳥肌が立ちました、それぐらい圧巻でしたよ
吉田修一の小説を構想6年で覚悟を決めた李相日監督が映画化、吉沢亮がありきで撮影されました、吉田修一も喜久雄の舞台を無理は承知で見たいと思っていたら、吉沢亮を得てその夢が叶ったと
100年に1本の壮大な芸道映画 それが『国宝』です。
まさしく日本映画の歴史に刻まれる圧倒的な傑作です、彰子がその後にどうなったのか?



























