『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』
1985年 アメリカ
《スタッフ&キャスト》
監督・脚本 マイケル・チミノ
原作 ロバート・デイリー
脚本 オリバー・ストーン
撮影 アレックス・トムソン
音楽 デヴィッド・マンスフィールド
出演 ミッキー・ローク/ジョン・ローン/アリアーヌ・コイズミ/レナード・テルモ/レイ・バリー/キャロライン・カヴァ/エディ・ジョーンズ/ジョーイ・チン/ヴィクター・ウォン
《解説》
全米を揺るがせた、空前のバイオレンスドラマ!
元刑事が書いたベストセラー小説を基にしたクライム・アクション、ミッキー・ローク演じるタフな刑事とジョン・ローン演じる若き中国系マフィア、2人が命懸けで全面対決するさまを、大迫力のガン・バイオレンス
中国文化のエキゾチックなムードで味付けし、白熱のクライマックスまで高いテンションで駆け抜ける、ロークもローンも本作で当時の人気スターに仲間入り
《物語》
春節を祝うチャイナタウンのレストランでチャイニーズマフィアのボスであるジャッキー・ワンが殺された、チャイナタウンを仕切るワンの葬儀は盛大に行われた
その葬儀の最中にも殺人が起こる、そこに駆け付けたスタンリー・ホワイト刑事、ベトナム戦争に従事し、犯罪の多いチャイナタウンの取り締まりを開始
手始めに新しいボスとなるハリー・ヤンに会いに行き、そこには長老たちと一緒に若いジョーイ・タイもいた、ジョーイは殺されたワンの娘婿で、ハリーは中国は2000年の伝統に従っていると言うが、スタンリーは今のアメリカの法律に従えと
それによってスタンリーは部長からチャイナタウンの昔からの了解事項を無視するな、ルイス刑事は昔からのルールを守って穏便に進めろと忠告
家に帰ると妻のコニーがスタンリーを横柄で自己中心的で恩着せがまし男だと罵りケンカが絶えない毎日だ、スタンリーは女性記者のトレーシーをハリーのレストランに誘い、そこで犯罪の一掃をしたいので報道で手伝ってくれと頼む
そこに若者が2人マシンガンを乱射しながら入って来て大勢が殺される、スタンリーはトレーシーを庇いながらも反撃するも逃げれてしまう
この事態に本部長が観光客が大勢死んで市長からお叱りの電話を受けた、ルイスとスタンリーを呼び、穏便に済ませたいルイスに対してスタンリーは早い解決をすると言い、本部長も了承する
ジョーイがレストランを襲撃した2人を見舞い、それはジョーイの子分のロンの手下でロンに2人を始末させ、死体はもやし工場で見付かる
ワンを殺させたのもハリーのレストランを襲撃させたのもジョーイで、イタリアンマフィアや身内の旧体制派を容赦なく粛清して勢力を拡大
これまでの事件の裏にはジョーイが絡んでいると見たスタンリーは過激な捜査でジョーイを追うが、署内では孤立してしまい更に過激な捜査で死者を出してしまう、ジョーイとの対決が刻一刻と近付いていく
《感想》
チャイナタウンでの利権争いによる抗争なのですが、この中心にいるジョーイ・タイが狡猾なんです、演じるのはジョン・ローンで雰囲気ありましたね
まずは自分の妻の父親ワンを殺害、ワンはチャイナタウンを長い間仕切っていたのでそれなりに平和だったんです、野心を持ったジョーイが裏で動き出すんです
次にボスとなったハリーのレストランを若者2人にマシンガンで襲わせます、観光客が大勢死んでチャイナタウンの治安は一気に悪化、市長も激怒します
このチャイナタウンに赴任してきたのがスタンリー・ホワイト刑事なんです、演じるのは「白いドレスの女」のミッキー・ロークで、ちょっとはみ出し者って印象です
まずは賭博場に乗り込んでハリーの居場所を聞いてハリーや長老に脅しをかけます、商売代を払わない者をすぐに殺す、それは中国のしきたりのように説明するハリー
ここまでチャイニーズマフィアと警察は持ちつ持たれつでやってきたんです、ルイスはチャイニーズマフィアを刺激せずに穏便に済ましてきた結果がコレなんです
スタンリーは家庭でも問題を抱えています、妻のコニーが排卵日なのにスタンリーは帰ってこない、それに私を抱こうともしないと、子供の欲しいコニーと何か上手くいかないんです
そんな時にスタンリーは女性記者のトレーシーと犯罪撲滅で手を組むことになるのです、報道でチャイニーズマフィアを追い詰めようと、しかし自分も中国系アメリカ人なので葛藤はあるようです
トレーシーを演じるのはアリアーヌ・コイズミで、中国人はアメリカで市民権を得ることができず、トレーシーの父親は日本人の妻と結婚して市民権を得たと
これらのことでアジア系アメリカ人を差別していると言われましたが監督のマイケル・チミノは反対し、逆にアメリカの暗部を見せていることに批判されているとね
妻のコニーとの不仲もあってスタンリーはトレーシーとの仲が深まり不倫関係となります、その頃、ジョーイは麻薬の供給量を増やすために東南アジアに出向き、商売敵の生首を手土産にする残酷ぶり
スタンリーがチャイナタウンを一掃しようと躍起になっているのですが、そんな彼の暴走もあって妻のコニーは殺され、潜入捜査を命じられていた訓練生のハーバート・クォンも壮絶に殺されます、そしてトレーシーも3人の男にレイプされます
怒りに震えるスタンリーはジョーイに掴みかかりボコボコにしてしまうのですが、女殺し屋3人に邪魔をされるも1人を射殺、スタンリーも容赦しません、ラストには一騎打ちとなるのです
前作「天国の門」で興行的に大失敗したマイケル・チミノ監督がみごとにカムバックし、久々に骨太の演出を見せた、監督と共同で脚本を担当したのがオリバー・ストーン
「天国の門」は製作費1100万ドルでスタートしたもののマイケル・チミノの完全主義とオスカー監督の余勢もあって製作費は4400万ドルまで膨れ上がり、そして3時間39分の「天国の門」はプレミア上映で観客からも評論家からも総スカンを食らう
公開は延期となり、翌春に2時間29分まで尺を詰めて公開されたものの製作費の10分の1も回収できず大失敗、ユナイテッド・アーティスツは経営危機となり60年に及ぶ歴史に幕を閉じた
そんなマイケル・チミノ監督が5年ぶりに表舞台へと復帰したのが本作なんです、それでも製作費2400万ドルに対して興行収入は1800万ドルとマイケル・チミノ監督の名誉挽回は失敗となりました
若きドンに率いられた世界最強の犯罪組織チャイニーズ・マフィアと対決するベトナム生き残りの刑事! それが『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』です。
ミッキー・ロークがここから怒涛のセクシー俳優として飛ぶ鳥を落とす勢いとなるのですが…。
更に過激な:続・裏237号室の『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』のレビューはこちらです。


















