ロリータ | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

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『ロリータ』

 

 

 

 

 

1962年 イギリス

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督 スタンリー・キューブリック

 

原作・脚本 ウラジーミル・ナボコフ

 

撮影 オズワルド・モリス

 

音楽 ネルソン・リドル/ボブ・ハリス

 

 

 

出演 ジェームズ・メイソン/スー・リオン/シェリー・ウィンタース/ピーター・セラーズ/マリアン・ストーン/ロイス・マクスウェル

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

偉大か、不潔か、世界中の話題を浚った問題作!

 

巨匠スタンリー・キューブリックが、少女趣味を意味するロリータ・コンプレックスの語源となったウラジーミル・ナボコフの同名ベストセラー小説を映画化

 

田舎町で出会った美しい少女に心奪われた中年男が、次第に行動をエスカレートさせ、やがて身を滅ぼしてゆく姿を名優たちの共演で描き出す

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

ハンバート・ハンバートは荒れ果てた作家クレア・クィルティの屋敷を訪ねて来た、ハンバートはクィルティに娘のドロレス・ヘイズを覚えているかと聞くが、クィルティは酔っておりまともに会話にならず、ハンバートは銃を取り出してクィルティを射殺

 

 

4年前、ハンバートはニューハンプシャー州ラムズデールで過ごすことになった、オハイオ州のビアズレー大学でフランス文学の講義をするためにアメリカへとやって来た

 

ラムズデールで夏を過ごすための下宿を友人たちが紹介してくれた、田舎町のとある屋敷に下見にやって来たが。おしゃべりで品位に欠ける女主人シャーロットに困ってしまうハンバート

 

適当に断って帰ろうかと思っていたがシャーロットが自慢の庭を見てと言われ、そこで水着姿で日光浴を楽しむシャーロットの娘ドローレスを見た瞬間に目を奪われた

 

 

ロリータという愛称を持つドロレスはまだ13歳の少女、そのロリータに心奪われたハンバートはこの屋敷に下宿することに決めた

 

 

ハンバートは気になるロリータのことが心配で行動を監視し始めるが母親のシャーロットの方がハンバートにアプローチを開始してくる

 

 

ある夜に3人でパーティに参加するとそこに作家のクレア・クィルティがいた、ファンのシャーロットが話し掛けて一緒にダンスをしてご機嫌

 

 

ハンバートはロリータへの熱い想いを日記にしたため、やがてロリータと一緒に居たいがためにシャーロットと結婚、しかし夏になるとロリータは長期のサマーキャンプに行ってしまう

 

ある時、シャーロットに日記を読まれ、ハンバートの本心を知ったシャーロットはショックを受けて家を飛び出してしまい、そこで事故に遭って亡くなってしまう

 

ハンバートは300キロ離れたサマーキャンプまで車を走らせてロリータを迎えに行き、母親が亡くなったことを伝えるも泣き崩れるロリータ

 

 

そんなロリータを抱きしめて背徳感を噛みしめながらハンバートは彼女を守ることを誓うのだが

 

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

原作は1955年に出版されたウラジーミル・ナボコフのベストセラー小説なのですが、当時は中年男性の少女に対する恋愛感情はセンセーションだったでしょうね

 

ウラジーミル・ナボコフは脚本も担当しているのですが、それが長すぎて映像化すると7時間以上になることから監督のスタンリー・キューブリックがその中から2割ほどを使い、ほとんどキューブリックの脚本で撮影したそうです

 

主人公のハンバート・ハンバートを演じるのはジェームズ・メイソンで、その少女ロリータを見て衝撃を受けるほど心を奪われることなんてあるのでしょうか?

 

 

元々は結婚していたハンバートなのですからごく普通の性癖だったと思います、それがロリータを見た瞬間に心の奥底に潜んでいた性癖が前に飛び出してきたのでしょうか

 

ドロレス・ヘイズを演じるのはスー・リオンで、13歳なのですがどこか大人びた感じでそれでいて小悪魔的な魅力がハンバートの心を捉えたのでしょうね

 

 

原作はもっと年齢は下だったそうですが、当時の検閲と規制によって年齢は若干上がり、それによって冷めた感じの美少女に見えますね

 

 

1962年の作品なので性描写もなく、心理描写でエロティシズムを描いています、それでもハリウッドの自主規制やカトリック団体からの抗議があったそうです

 

 

キューブリックはハンバートとロリータの関係をもっとエロティックに強調できなかったと述べています、少女愛を暗喩させるのは難しかったでしょうね

 

 

たったひとりの少女によって人生を破滅させてしまう中年男ハンバートなのですが、それは彼にとっては幸せだったのかも、自分の近くにいながら手には入らない

 

ロリータは入院してしまうのですが、ハンバートが見舞いに行くとおじが現れて退院したと聞かされるんです、ここまで必死に愛してきたロリータが忽然と姿を消してしまうんです

 

それにおじとは誰なのか?、後にそれはロリータによって教えてもらうのです、その男クレア・クィルティはハンバートとロリータの関係を知ってロリータに興味を抱いたのです、演じるのはピーター・セラーズ

 

 

ロリータに近付いて心理的に彼女をこちらに向かせてハンバートからロリータを奪うことに成功するのです、ロリータが唯一愛したのはクィルティなのですがロリータは彼に捨てられたのです

 

それでオープニングのシーンへとなるのですが、ひとりの少女のために殺人を犯してしまうまでになってしまうのですが、ロリータを粗雑に扱ったことが許せなかったのでしょうね

 

 

 

 

 

 

スタンリー・キューブリックがタブーに挑む禁断ドラマ それが『ロリータ』です。

 

 

 

 

 

それにしても152分は少し長いような気がしましたね、緻密に描いた結果かな。