ジャッカルの日 | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

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タカによるA級からZ級映画まで、榮級は絢爛豪華な超大作、美級は美しい女優や映像美、死級は禍々しい阿鼻叫喚、出級はあのスターの意外な出演作、イイ級は耽美なエロティシズム、Z級は史上最悪なクソ映画、その全てをレビューと少しの競馬予想と日常の出来事

 

 

 

 

 

『ジャッカルの日』

 

 

 

 

 

1973年 イギリス・フランス

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督 フレッド・ジンネマン

 

原作 フレデリック・フォーサイス

 

脚本 ケネス・ロス

 

撮影 ジャン・トゥルニエ

 

音楽 ジョルジュ・ドルリュー

 

 

 

出演 エドワード・フォックス/アラン・バデル/トニー・ブリットン/シリル・キューザック/マイケル・ロンズデール/エリック・ポーター/デルフィーヌ・セイリグ/オルガ・ジョルジュ・ピコ/デレク・ジャコビ/ジャン・マルタン/ミシェル・オークレール/モーリス・デナム

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

ド・ゴール暗殺計画をひっさげてジャッカルがやってくる!

 

フランスのド・ゴール大統領暗殺を請け負った孤高の殺し屋ジャッカルと、彼を阻止しようとする警察の戦いをドキュメンタリータッチで描いた社会派サスペンス

 

フレデリック・フォーサイスの同名小説を原作に、「地上より永遠に」のフレッド・ジンネマン監督がメガホンをとった、殺し屋ジャッカルを「遠すぎた橋」のエドワード・フォックス、ジャッカルを追う警視ルベルを「007 ムーンレイカー」のマイケル・ロンズデールが演じた

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

1962年8月フランス、アルジェリアの独立を認めたド・ゴール大統領は軍部など、右翼過激派の恨みを買った、彼らの地下組織は連合してOASと名乗った

 

政府転覆を狙ってド・ゴール大統領暗殺のテロ活動を行ったが、現役軍人による暗殺計画はことごとく失敗し、軍人たちは逮捕され、主犯のバスチアン中佐は銃殺

 

 

OASは治安当局によって根絶させられ、主要メンバーたちは国外逃亡する他なかった、OASの指導者ロダン大佐は潜伏先のオーストリアで組織外のプロ暗殺者を雇う

 

やがて逮捕歴のない超一流のイギリス人男性、コードネーム・ジャッカルが選ばれた、ロダン大佐は我々はテロリストではない、アルジェリアで死んだ兵士と入植者のために戦っていると

 

 

ジャッカルは世界一警備が優秀なド・ゴール大統領を暗殺すれば一生追われる、もう仕事は出来なくなるので報酬は50万ドル、前金で25万ドルがスイス銀行の口座に振り込まれたら取り掛かる

 

OASが資金を集める間、ジャッカルは図書館などでド・ゴール大統領を徹底的にリサーチし、ヨーロッパを移動しながら特注の狙撃銃を依頼、パスポートや免許の偽造も抜かりない

 

 

その頃、フランス政府は実行部隊を使いOAS幹部を拉致して拷問、その結果、OASが外部の暗殺者ジャッカルを雇ったことを知る

 

OAS側は大統領官邸の役人の1人にハニートラップを仕掛けて愛人関係となって情報を引き出す、フランス官僚のトップたちが対策会議を開き、捜査はルベル警視に一任された

 

 

ルベル警視はジャッカルの正体を洗うべく世界中の警察に問い合わせ、どうやらイギリス人だと分かった、イギリス警察に協力を求め、ジャッカルの正体が判明

 

 

その情報を元に不審者の入国を阻止しようとするが、ジャッカルは巧妙に南フランスから入国した後だった、懸命な捜査もむなしくジャッカルはパリに入り、その日を待つのだが

 

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

70年代には暗殺映画が真実と虚実を織り交ぜて様々な作品が作られました、そんな中でも燦然と輝く傑作と思っているのが本作です、イギリス人作家のフレデリック・フォーサイスの原作にフレッド・ジンネマン監督に白羽の矢が立てられました

 

ナチスドイツからフランスを取り戻した英雄的軍人のシャルル・ド・ゴールでしたが、59年に大統領就任後に植民地のアルジェリアの独立を認める方針が軍部の極右勢力に不興、暗殺計画となり6回も狙われてます

 

 

本作のオープニングでド・ゴールの車列を狙った暗殺未遂事件のその後から、フィクションのジャッカルが登場します、現実とフィクションが重なり合うのでドキドキしますね

 

ジャッカルを演じるのは当時は無名の俳優だったエドワード・フォックスで、彼を追うパリ警察のルベル警視にはフランス映画の名脇役のマイケル・ロンズデール

 

 

本作を撮るにあたってスター俳優は排除したそうです、観客が認識してしまいそうなネームバリューのある俳優はかえって邪魔になってしまうようです

 

ジャッカルがOASに依頼されてオーストリアに入るのですが、そこから綿密な計画が練られていくのがなんだかリアルな感じがしましたね

 

 

ド・ゴール大統領を暗殺すれば一生追われるので殺し屋稼業は引退せざるを得ない、だから報酬は破格の金額を提示、OASは銀行強盗をして50万ドルを用意

 

特殊な狙撃銃を依頼し、完成すると市場で瓜を買って郊外で射撃練習をして銃を微妙に調整して命中率を上げていくんです、ライフルのようですが小型なのです

 

 

暗殺よりも難しいのが逃走なのです、なので偽造パスポートも抜かりなく、それでいて逃走経路も考えて射撃の日時も考えるのです、これまでにかなり時間を要しています

 

フランス政府はOASの幹部を拉致して拷問、それでジャッカルの存在を知ることとなります、そしてルベル警視に捜査を一任します、ジャッカルの正体がチャールズ・カルスロップと判明するのです

 

OASも大統領官邸の役人にデニースという女性がハニートラップを仕掛けます、そこそこ年配の役人なのですが若い美女には弱いのですね、デニースを演じるのはオルガ・ジョルジュ・ピコ

 

 

イタリアから南フランスから入ったジャッカルなのですがそこで拷問されたOASのことを知らされて車でイタリアに行こうかパリに行こうか迷った末にパリに向かいます

 

 

そこのホテルで知り合ったモンペリエ夫人と一夜を共にするのですが、フランス女性は夜中に忍び込んだ男を受け入れるのですね、演じるのはデルフィーヌ・セイリグ

 

 

ラストにはジャッカルは式典に登場したド・ゴール大統領を狙うのですが、撮影はド・ゴール大統領が死んだ2年後なのにド・ゴール大統領を演じたアドリアン・カイラ・ルグランを本物だと間違えるパリ市民もいたとか

 

 

 

 

 

 

大画面に展開する衝撃! それが『ジャッカルの日』です。

 

 

 

 

 

ハニートラップってどんな男も巧みに操られてしまうのですね、仕方ないね。