『ソウルメイト』
2023年 韓国
《スタッフ&キャスト》
監督・脚本 ミン・ヨングン
脚本 カン・ヒョンジュ
撮影 カン・グクヒョン
音楽 モグ
出演 キム・ダミ/チョン・ソニ/ピョン・ウソク/チャン・ヘジン/パク・チュンソン
《解説》
その秘密が私を強くする
香港のデレク・ツァン監督が手掛けた「ソウルメイト 七月と安生」を、韓国・済州島に舞台を移して新たに映画化、幼い頃からの無二の親友だった2人の少女のすれ違いや絆、切なくも温かく描いた友情の物語
ミソ役は大ヒットドラマ「梨泰院クラス」や映画「The Witch 魔女」で知られるキム・ダミ、ハウン役はドラマ「ボーイフレンド」のチョン・ソニが演じた
《物語》
鉛筆だけで描かれた超写実主義の作品が公募展で大賞に選ばれたが、作者名以外の情報がなく、正体不明の画家が大賞を受賞と話題となるもメールを送っても返信はなし
館長は専属契約をしたいと言い、モデルとなった女性アン・ミソを見付け紹介して欲しいと頼まれるが、幼い頃に遊んだだけで今は連絡先も知らない
その帰り際に同級生のハム・ジヌに声を掛けられた、久しぶりの再会に少し待っていてとジヌに言われたがミソはエレベーターに乗って帰ってしまう
1998年・夏、ミソはソウルから済州島の小学校に転校してきた、自己紹介の後に席に座るふりをして教室から逃げ出した、その自由奔放な姿にコ・ハウンは目を奪われた
岩で組まれた高台に座るミソを見付けて声を掛けたハウン、済州島という閉鎖的な場所で育ったハウンと、何度も転校を繰り返し、多くの出会いと別れを経験してきたミソは人に対しての付き合い方も感覚も違っていた
ハウンは絵を描く事が好きで、写実的な絵を描くハウンに対して抽象的な絵を描くミソ、高校生になっても抽象的な絵を描くミソ、母親は男を追ってソウルへ行き、ミソはハウンの家族の世話になった
ハウンの耳にピアスの穴を開けた次の日のハウンの誕生日にミソはピアスをプレゼント、そこでハウンはミソに好きな男の子がいると告白
自分の気持ちを確かめる為にその男の子を描いてみたい、そしてハウンはジヌに対して恋をしていると確信して、あなたの事が好きだと告白
ハウンに恋人のジヌが出来た事で少しずつすれ違っていくミソとハウン、そんなミソは済州島を離れてソウルの学校に行く事にする
《感想》
幼なじみと言っても大人になっても付き合いのある事は珍しいのではないでしょうか?おいらも小学校の友人はいますが、今は辛うじて年賀状くらいです
ミソとハウンの幼なじみの女性2人を十数年に渡っての友情の軌跡を繊細なタッチで描いています、監督はこれが長編2作目のミン・ヨングン
自由奔放なミソと真面目に育ったハウンは対照的ですが、そんな2人こそが惹かれ合うものなのでしょうね、お互いに相手が新鮮な印象でもっと知りたくなるのかも
ミソを演じるのは「The Witch 魔女」シリーズのキム・ダミで、個人的には注目している女優で、彼女が出ているから本作を観ましたもん
オープニングすぐにミソの鉛筆で写実的に描かれた絵は素晴らしく完璧で、本編の途中でそのモデルとなった写真が出てくるのですが。素敵な一瞬を切り取った作品ですね
それでもミソは何か隠しているような素振りで、それでいて影もある役どころ、彼女には幼い娘がいてシングルマザー、若い頃は苦労していましたが今は会社のチーム長
ミソの写実的な絵を描いたハウンは行方不明となっています、ミソによる回想で絵を描くために世界中を旅をしていると、それはかつてミソがソウルの学校に行った後の旅のハガキで知った事
でもミソは生活をするのが精一杯で旅をして絵を描く余裕なんてなかったのです、ほとんどをアルバイトに費やしていた事をハウンには隠していたのはミソのプライドか
ハウンを演じるのはチョン・ソニで、ミソとは正反対で見るからに真面目そうなんです、絵を描く事が好きですが画家ではお金は稼げないので教師になるのです、立派だと言われても教師になりたいなんて一度も言ってないんです
ハウンの恋人のジヌを演じるのはピョン・ウソクで、ハウンの告白から付き合っているのですが、山奥に願掛けに行ったときにハウンは足を痛めてミソとジヌでそこに行くと願掛けを終えると自然と2人はキス
ソウルでは恋人が自殺して自暴自棄となっているミソとソウルの医大に行っているジヌが共同生活を送っているんです、ミソの居候なのですが下着や私物があちこちにあって2人の親密な関係をハウンは知ってしまいます
ここで初めてハウンは自身の心の鬱憤を吐き出すのです、ミソにジヌを取られた事への怒りか、それとも自分がミソの事をこんなに思っているのにという怒りか
ミソの派手な下着を手に取ってジヌはこんな下着は趣味じゃない、ジヌの好きな下着はと言ってブラウスお前を開けてこんな地味でダサい下着が好きなのと叫ぶんです
でもミソとハウンにはお互いが必要なのです、象徴的なのはジヌの漕ぐ自転車の後ろに乗るハウンはスクーターで抜いて行くミソの背中を見て感じ取るんです
いつもはミソの後ろに乗っていてくっついていたのに、ミソの背中を見てそれが小さくなっていくのは切ない光景だったはず、ミソの運転するスクーターの後ろにハウンが乗るようにお互いが必要なのです
忽然と姿を消したかつての親友、出会い、想い合い、すれ違った16年、2人だけの秘密が、絶望を希望に変える それが『ソウルメイト』です。
久しぶりにこういう作品を観たような気がします、胸が締め付けられる感じでしたね。

















