『悪魔の植物人間』
1973年 イギリス
《スタッフ&キャスト》
監督 ジャック・カーディフ
脚本 ロバート・D・ウェインバッハ
撮影 ポール・ビーソン
音楽 ベイジル・カーチン
出演 ドナルド・プレザンス/トム・ベイカー/スコット・アントニー/ブラッド・ハリス/ジュリー・エーゲ/ジル・ハワース/オルガ・アンソニー
《解説》
悪魔が造った植物人間!美女が!青年が!次々に襲われ、身の毛もよだつ地獄の怪物に変わる!
現代科学の進歩をベースに、人間と植物を合成した怪奇な植物人間を創り上げるというホラー映画、絵に書いたようにマッドサイエンティスト物の定石を踏んだ作品
実験に失敗し醜悪な怪物と化した犠牲者を見世物小屋に売るなど悪趣味な描写が目立つ、あまりにチープさゆえに逆に不気味な、植物人間の造形は印象に残る
《物語》
ノルター教授は理論的には新しい変種を作り出せる、新しい生命形態を、または死滅した声明形態も再生し得るという独自の理論を信じていた
恐らく10年以内には我々は再生に成功する、太古のアミノ酸から恐竜が生き返り、クローン技術により人間から細胞を一個取り出し、100人を作り出す日も近い
そこで人間と植物を隔てているものを科学の力で取り除き、新しい生命体を創造する事が出来るという信念にノルターは憑りつかれていた
ノルターにはリンチという助手がいた、リンチは先天性の病気でその容貌は醜く恐ろしい、ノルターの実験が成功すれば醜い姿も治ると信じ、ノルターの実験に必要な人間を探して拉致していた
最初の犠牲者となったのはノルターの講義を受けていた女子学生のブリジェットだった、しかし実験は失敗し、生まれたのは化け物、彼女はトカゲ女としてリンチの見世物小屋に送られてしまう
ブリジェットの友人のトニーとその恋人のローレン、友人のヘディとアメリカからやって来た科学者のブライアンも行方不明となったブリジェットを心配していた
まさか自分たちが見ている見世物小屋にブリジェットがトカゲ女としているとは夢にも思わない、しかしトニーはこの見世物小屋に違和感を覚えた
真夜中に忍び込むがリンチに捕まり、ハエ取り草との実験に使われ、人間と植物の融合変異となる、トニーは実験室から逃げ出してローレンの元へ、その恐ろしい姿を見たローレンはショック状態に
ヘディの部屋にトニーが現れ、姿を隠したままノルターが人体実験をしている事をメモさせるがその後もヘディがリンチに拉致されてしまう
メモを見たブライアンがノルターの屋敷に潜入したがリンチに見つかってしまい殺されそうになるが、見世物小屋の人間に助けられ、リンチは彼らに殺されてしまう
ヘディに人体実験をしようとしていたノルターだったが怪物となったトニーがノルターをハエ取り草のように取り込んで殺してしまう
実験室から出火し、トニーとノルターは火の海に飲み込まれてしまうが、ブライアンがヘディを救い出した、しかしヘディの体には異変が
《感想》
初めて観たのはテレビで深夜に放送された時です、その時の解説者は浜村淳で流暢な喋りで本作を観る前に観た気分になったもんです、それほど浜村淳の話術は素晴らしかった
今では絶対にテレビでは放送出来ないほどの作品です、大学のノルター教授は動物と植物の融合を目指しているんです、食虫植物は動物のような動きをすると、演じるのはドナルド・プレザンス
クローン技術の話しでは一人の人間の一個の細胞から100人の人間が誕生する、アインシュタインが100人生まれると言うと、生徒はヒトラーが100人生まれると言います
ノルターは実験を重ねて、ウサギを食べる植物を完成させています、見世物小屋を経営するリンチは醜い容姿を治してほしくてノルターに協力して人間を拉致しているんです、演じるのはトム・ベイカー
その人間でノルターは実験を繰り返し、自分の理想とする動き考える植物を作り出そうとしているんです、なぜか彼はそれが人類の進む方向だと信じています
その見世物小屋に実験に失敗した人間を送ってしまいます、そこで見世物になっている人たちがまあ本物の人たちなんです、昔はこんな見世物があったんです、人と変わっている事をショーとして見せているんです
髭の生えている女、足がグニャグニャな男、体が鱗みたいな女、目玉の飛び出る男、ダイエットのし過ぎで拒食症となったガリガリの女、そんな中に拉致されたブリジェットが実験失敗によってトカゲ女として見世物にされているんです
おいらが子供の頃は奇人変人ショーなんかがテレビでも放送されていて、いつの間にか人権団体が彼らの人権を主張してなくなってしまいました、彼らは彼らで自ら仕事として収入を得ていたのにその場所を奪われたわけです
見世物小屋に違和感を抱いたトニーなんですが、彼もリンチに捕まりノルターの実験に使われてハエ取り草と合体した植物人間とされてしまうんです、演じるのはスコット・アントニー
この姿が強烈で見るも無残な植物人間なんです、恋人のローレンの部屋に行くとその姿を見て絶叫してショック状態となってしまいます、ローレンを演じるのはジル・ハワース
そして次はヘディの部屋に行きます、ヘディはバスタブで入浴中なんですけどそこに姿を隠したトニーが現れるのですが、ヘディはバスタオルだけで対応、演じるのはジュリー・エーゲ
いろんな作品でマッドサイエンティストは見てきましたがその中でもヤバさは上位ですね(笑)、やはりそれは時代もありますね、今の時代では作れませんでしょうね
監督は撮影監督として1947年に「黒水仙」でアカデミー撮影賞を受賞したジャック・カーディフで、よくこんなカルトホラーを撮りましたね
「フリークス」の再来といわれた禁断のカルトホラー! それが『悪魔の植物人間』です。
女優さんたちはサービスカットがあってこの時代のホラーはこうであると言う事ですね、まさにエログロナンセンスと呼ばれるものですね。
更に過激な続・裏237号室の『悪魔の植物人間』のレビューはこちらです。