仕立て屋の恋 | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

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『仕立て屋の恋』

 

 

 

 

 

1989年 フランス

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督・脚本 パトリス・ルコント

 

原作 ジョルジュ・シムノン

 

脚本 パトリック・ドゥボルフ

 

撮影 ドニ・ルノワール

 

音楽 マイケル・ナイマン

 

 

 

出演 ミシェル・ブラン/サンドリーヌ・ボネール/リュック・テュイリエ/アンドレ・ウィルム

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

僕は君を憎んでないよ、死ぬほどせつないだけだ

 

孤独で無口な仕立屋のイールは、向かいの部屋に住む魅力的なアリスの姿を1人覗き見しながら彼女への想いを募らせてゆく、監督はフランス映画界の巨匠パトリス・ルコント

 

ジョルジュ・シムノンの同名の原作が持つサスペンス性に加え、「究極の愛こそ悲劇的」というテーマにも挑み、心の奥底にずっしり響く作品に仕上がっている

 

 

 

 

《物語》

 

 

ある公園でピエレットという22歳の女性が殺された、捜査を担当した刑事は仕立て屋のイールの犯行ではないかと疑い、彼を訪ねて色々と質問

 

 

極端に綺麗好きのイールは社交的ではない変わり者で近所の連中から嫌われている、イールも近所の連中が嫌いだ、被害者のピエレットも同じ

 

 

イールの密かな楽しみは中庭を挟んだ向かいの部屋に住む美しい女性アリスの生活を覗き見る事、毎夜電気もつけずにただ眺めているだけ

 

 

アリスの部屋には時々、恋人のエミールが訪ねて来るのも知っていた、アリスはエミールとの結婚を望んでいるが、エミールはいつも返事をはぐらかしている

 

 

そんなある日、いつものようにアリスの部屋を覗き見ていたイールだったが、その夜の雷で自分の部屋を覗き見るイールの存在に気付き、驚いて身を隠したアリス

 

イールは得意のボーリングを披露し、ストライク連発で後ろ向きや目隠しでもストライクでお客から喝采を浴びていた、それを見ていた刑事はイールが過去にわいせつ罪で懲役を受けていた事を知り、ますますイールを疑う

 

 

ある日仕事から帰宅するとイールの部屋の前でアリスがトマトを落とし転がしていた、挑発的で刺激的な仕草でトマトを拾うアリスに動揺するイール、部屋ではイールが覗いている事を知りながらエミールとベッドへ

 

 

そして遂にアリスがイールの部屋を訪ねてきた、アリスは少し前までこの部屋は無人だと思っていたようだ、だがイールはアリスを追い出してしまう

 

アリスはイールに接触してきたのだ、アリスはイールがピエレット殺人事件をどこまで知っているのか、それはエミールがピエレットを殺し、アリスに死体の処理を手伝わせていたのをイールが目撃していたのだ

 

 

だがイールはアリスを愛するあまり警察には黙っていた、始めはエミールを守る為にイールの接触したアリスだったが、徐々に彼の愛に心が揺れていく

 

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

「メグレ警視」シリーズなどで知られるジョルジュ・シムノンの小説を基に、フランスの名匠パトリス・ルコント監督が緻密な演出で官能と裏切りのドラマを作り上げた

 

オープニングで女性の死体が発見されて刑事が捜査を開始するのです、捜査線上に浮かび上がったのはこの集合住宅に住むイールという仕立て屋、演じるのはミシェル・ブラン

 

 

彼は変わり者で社交的ではない事で周りから嫌われている、敷地を歩いているだけで上から何か落とされたり、陰口を叩かれたり、じっと見られたり

 

刑事は彼が犯人と決め付けて色々と質問をします、それに何回も彼を走らせて目撃者のタクシーの運転手に犯人なのか質問するも似ているくらいの返事、警察はここまでやっていいの?

 

 

イールの密かな楽しみは向かいの部屋に住むアリスの生活を覗き見る事、着替えを覗いたり、下着姿で部屋をウロウロしたり髪の毛を乾かしたりね

 

 

恋人のエミールが訪ねて来る事も見ていて、だからと言って嫉妬するわけではなく淡々とアリスの生活を覗き見るのですが、ある日それがアリスにバレてしまいます

 

 

雷の夜にイールの窓が照らされて覗いている顔を見てしまったんです、これはなかなかの恐怖ですよ、女性だったら凍り付いてしまうほど恐ろしいでしょう

 

イールは部屋の電気を付けない主義のようでアリスも空き部屋だと思っていたんです、しかしアリスはイールに接触をしてくるんです、これは覗き男がどんな奴なのか確認に来たのかも

 

覗いている事を知ってわざと覗かせたりしてね、この辺は女の怖さやしたたかさが見えてきます、警察に届けるわけでもなく恋人に言うでもない、演じるのはサンドリーヌ・ボネール

 

 

アリスはイールにピエレット殺人事件についてどれぐらい知っているか確認しに来たんです、エミールがピエレットを殺し、死体処理を手伝わされたアリス、全てを見ていたと告白するイール

 

 

イールとアリスは一緒に外で会うようになり、エミールとのデート中にもイールは同行してこんなスリリングな事までするアリス、すぐにでも一線を越えそうなのです

 

 

イールはアリスに一緒に逃げようと誘うのですが約束の日に彼女は来なかったのです、それどころかですよ、ここまで中年男の純愛は悲劇とならないとダメなのでしょうか?

 

 

 

 

 

 

それは叶うはずのない想い それが『仕立て屋の恋』です。

 

 

 

 

 

もし目の前の部屋の女性が無防備で覗き放題だったら、好奇心がくすぐられてしまいます。