恋の罪 | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

タカによるA級からZ級映画まで、榮級は絢爛豪華な超大作、美級は美しい女優や映像美、死級は禍々しい阿鼻叫喚、出級はあのスターの意外な出演作、イイ級は耽美なエロティシズム、Z級は史上最悪なクソ映画、その全てをレビューと少しの競馬予想と日常の出来事

 

 

 

 

 

『恋の罪』

 

 

 

 

 

2011年 日本

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督・脚本 園子温

 

撮影 谷川創平

 

音楽 森永泰弘

 

 

 

出演 水野美紀/神楽坂恵/富樫真/児嶋一哉/二階堂智/小林竜樹/五辻真吾/深水元基/内田慈/町田マリー/岩松了/陰山泰/大方緋紗子/津田寛治

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

水野美紀×富樫真×神楽坂恵、3人の女優が魅せる、身も心もむきだしの演技バトル!

 

「愛のむきだし」「冷たい熱帯魚」の鬼才・園子温監督が、実在の事件をもとに描く愛の物語、東京・渋谷区円山町のラブホテル街で1人の女性が死亡した事件を軸に、3人の女の生き様を描く

 

体当たりの演技を見せるのは「踊る大捜査線」シリーズの水野美紀、「凍える鏡」の富樫真、園子温作品常連の神楽坂恵、1つの殺人事件をめぐって浮かび上がってくる人間の心の闇を激しい官能描写で描く究極のリアルファンタジー!

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

ラブホテルとは、セックスするためのホテルである、ラブホテル街とは、人々がセックスするために集う街である、90年代、渋谷区円山町などラブホテル街にはデリヘル嬢、立ちんぼが大勢いた、これは21世紀直前に起きた東京渋谷の事件である

 

ラブホテルでのセックスの最中に電話で呼び出された女刑事の吉田和子、土砂降りの雨の中、現場となった円山町のラブホテル街のアパートで女の死体が発見された

 

 

被害者の女性の死体は切断され、2つのマネキンと接合された異様なものだった、壁には赤い塗料で文字が書かれており、そこには血文字もあった

 

 

人気作家の妻として夫に従順に生きてきた菊池いずみはこの狭い日常から飛び出そうと夫の許しを得て、スーパーマーケットでのパートに出る事にした

 

 

職場の客だった土居エリにモデルにスカウトされる、最初は普通のモデルだったが徐々に服を脱がされてAVの撮影へと変わった、数万円のギャラを手にした

 

 

撮影後に男優で愛撫をされて身も心も堕としていくのだが、その刺激によって性的にも精神的にも開放されていくいずみ、表情も柔らかくなり色っぽくなっていく

 

 

殺人事件の現場の廃アパートは差し詰めカップルのセックスの場となっており、コンドームも無数に捨てられていてDNAによる解析は無意味だ

 

頭部と手足のない胴体の死体の情報は20代後半から30代後半の女性というだけ、ここ半年の該当する行方不明者の数は150人以上

 

 

事件を追う和子は夫と子供との安定した家庭を築いているが、夫の後輩と不倫関係を続けている、夜に呼び出されれば家族を騙して会いに行く和子

 

 

行方不明者リストの中で大学のエリート教授の尾沢美津子が浮かび上がってきた、美津子は昼は大学で文学を教え、夜はラブホテル街で立ちんぼをする

 

 

いずみと美津子は出会い、いずみは美津子によって売春に導かれ、和子も捜査を通じて売春をする女性に興味を抱き始める

 

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

オープニングから水野美紀のセックスシーンから始まります、シャワールームでガラスの壁に手を付いて後ろから激しく責められています、電話が鳴って全裸のままシャワールームから出てきます

 

 

水野美紀が演じるのは女刑事の吉田和子、夫と娘に囲まれて幸せそうな人妻、それに刑事の仕事もしっかりとこなす、しかし夫の後輩と不倫関係なんです

 

 

美貌でスタイルも抜群の和子なのですが、後輩には屈辱的なセックスをされてその背徳の快楽に溺れてサディスティックな調教を受けているのです

 

この後輩を演じるのがアンジャッシュの児嶋一哉で、物凄く嫌な役なのですが、和子を侮辱するようなセリフを次々と吐いて和子を興奮させます

 

 

和子が殺人事件の現場に行くとそこにはマネキンと合体させられた切断された死体が2体、でも死体は1体でバラバラにされているんです

 

 

本作は未解決事件の東電OL殺人事件をモチーフにしています、1997年に東京電力の管理職の女性が殺された事件、エリートOLが退社後に円山町付近の路上で立ちんぼをして売春していたのです

 

当時は昼間は大企業の社員で夜は娼婦というまったく違う顔を持っていた事でマスコミが飛びつき、被害者と家族のプライバシーを巡って議論が起こりました

 

菊池いずみを演じるのは「冷たい熱帯魚」の神楽坂恵で、ベストセラー作家の夫を持つのですがまるで夫に従って奴隷のような生活に耐えられずパートに出るんです

 

 

そこで騙されてAVへと出演させられて、最初こそ抵抗していたもののセックスによって身も心も解き放たれたような快楽を得るのです、夫を送り出した後は派手なメイクをして露出度の高い服を着て行きずりのセックスをするまでに

 

 

いずみが出会ったのは娼婦の尾沢美津子で演じるのは富樫真、昼間は大学教授で夜は立ちんぼで売春しているんです、廃アパートで売春し、いずみを娼婦の世界へと誘います

 

 

やっぱ衝撃的なのはいずみがAVに出た後に家で全裸で「いらっしゃいませ、いかがですか」と実演販売の声を出すんです、パートでもそれ以前より声が出るようになるんです

 

美津子と出会った後からはいずみはセックスをお金でする事にします、そうする事でセックスの価値が明確になるんです、男はタダでさせる女よりもお金を取る女を蔑むのです、要するにタダでしたいんです男は

 

いずみをスカウトする土居エリを演じるのは内田慈で、最初は嫌々な感じでAV撮影していたいずみなのですが美津子と出会ってからは積極的で驚かれます

 

 

監督は園子温でこの作品がきっかけで神楽坂恵と結婚しました、女優に手を出すなんて監督にありがちですね

 

 

 

 

 

かつてない美しき究極作、誕生 それが『恋の罪』です。

 

 

 

 

 

実際の事件も憶えてますし、裁判での逆転無罪も、もし実際にこんなだったら恐ろしや。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

更に過激な続・裏237号室の『恋の罪』のレビューはこちらです。