エクスタミネーター | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

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『エクスタミネーター』

 

 

 

 

 

1980年 アメリカ

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督・脚本 ジェームズ・グリッケンハウス

 

撮影 ロバート・M・ボールドウィン

 

音楽 ジョー・レンゼッティ

 

 

 

出演 ロバート・ギンティ/クリストファー・ジョージ/サマンサ・エッガー/スティーヴ・ジェームズ/トニー・ディベネデット/ディック・ボッチェリ

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

地獄の戦場からニューヨークへ凄い奴が帰って来た!

 

ニューヨークを舞台に、ベトナム戦争帰りの若者が、命の恩人である親友をチンピラに襲われた後、復讐の鬼と化し、街のダニどもを抹殺していくというアクション

 

火炎放射器で焼き殺すとか、挽肉器に生きながらかけるとかの残酷シーンが話題となったが、スプラッターの概念すらなかった当時、冒頭の戦場シーンはあまりにもショッキングだった

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

ベトナム戦争中、ベトコンの捕虜となったジョンは拷問の末の処刑される寸前に、同じく捕虜だった仲間のマイケルの決死の反撃で命からがら難を逃れた

 

 

帰国後、2人はニューヨークの同じ倉庫で働き始めるが、商品を盗み出すチンピラをジョンが咎めたところナイフを突き付けられ、それを見たマイケルがチンピラどもを撃退、ジョンはまたもやマイケルに救われた

 

しかしマイケルはチンピラどもから報復を受けて首の骨を折られて一生動けない体にされてしまう、2度も命を救ってくれた恩人マイケルの敵討ちにジョンはチンピラどもへの復讐を決行

 

 

チンピラ1人を捕まえ、火炎放射器で脅して奴らのたまり場へ、自動小銃を持って殴り込み、縛り上げた後で生きたままネズミに食わせてやった

 

 

ジョンは善悪も関係なく人を殺し、まるでベトナム戦争に戻ったようだった、ジョンは精肉業界を牛耳るマフィアのボスのポンティビニを誘拐、搾取してきた金を返すように言う

 

家と倉庫の場所を聞き出して侵入するが番犬によって襲われ殺されそうになるが、逆に殺し、ポンティビニを生きたまま挽き肉に、ジョンは悪党を処刑するエクスタミネーターとなった

 

 

ある日、街を歩いていたら若い娼婦に声を掛けられた、何となく部屋に行くとその娼婦の体は火傷の痕だらけ、わけを聞くとチキンと呼ばれるポン引きの店で変態客にやられたと涙ながらに話す

 

 

同情したジョンはダムダム弾を作り、チキンを焼き殺し、変態客をダムダム弾で射殺、しかし変態客が政治家だった事で、ダルトン刑事が手掛かりを探し、ジョンに近付いていた

 

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

オープニングのベトナム戦争のシーンでは捕虜となったアメリカ兵の中にジョンがいてベトコンは情報を聞き出そうと拷問をするのです

 

もちろん口は割りませんがベトコンはアメリカ兵の首を鉈でスパッと斬るんです、これが喉元だけを斬って皮一枚だけが繋がっている見事な仕事です

 

 

当時はこのシーンだけで1億円掛かっていると聞いて子供だったおいらは驚いたものです、でも1億円をワンシーンに掛ける作品でも低予算なのですね

 

主人公のジョンを演じるのはロバート・ギンティでこの手の処刑人としては迫力がないです、童顔でたれ目なのがその理由なのかも

 

 

80年代はベトナム戦争帰還兵による犯罪などが描かれる作品が多かったです、本作もその一つで、「タクシードライバー」の影響を受けているようです

 

 

それぐらい当時はベトナム戦争帰還兵による問題が多かったのかもしれません、なので映画化にするには持って来いの内容なのかも?

 

ジョンが恩人を再起不能にされた事で復讐をします、それまではチンピラにもやられてしまう男だったのに、復讐心がジョンを強くしたのかも、まあ軍人のスキルがあるわけですけどね

 

 

チンピラどもを処刑したところでそこで歪んだ正義に目覚めたようです、マフィアのボスが精肉業界を牛耳っていていろんなところから金を搾取しているのです、それを狙うジョン

 

それに対してジョンはテレビ局に手紙を送り、悪を滅するとね、これによって悪を裁く処刑人としてジョンは知られる事になるのですが、ダルトン警部が追うのです、演じるのはクリストファー・ジョージ

 

 

このダルトンは真面目な刑事かと思いきや恋人の医師が病院の個室に誘うとそこでセックス、恋人のミーガンを演じるのは「ザ・ブルート/怒りのメタファー」のサマンサ・エッガー

 

 

娼婦に声を掛けられて部屋に行くと娼婦は体中に火傷の痕、変態客にハンダごてでやられたと、ジョンはダムダム弾を作って乗り込むのです、このダムダム弾を作るシーンは好きですね

 

 

世間はこの処刑人をヒーローとして祭り上げて、警察の無力さをアピール、大統領選挙も近付いていてCIAも現れてジョンはCIAとダルトン警部の両方から狙われるのです

 

 

それでいて病院に行き、マイケルの生命維持装置を彼の意志を尊重して外すのです、バイオレンスなシーンばかりの中で悲しいシーンでしたね

 

 

 

 

 

ベトナム戦争から帰還した元兵士が、ニューヨークに巣食う悪を倒そうと立ち上がる それが『エクスタミネーター』です。

 

 

 

 

 

監督のジェームズ・グリッケンハウスは映画監督をしながら自動車収集家でもありました、改造チームを作りワンオフモデルも製作しています。