死ぬまでにしたい10のこと | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

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『死ぬまでにしたい10のこと』

 

 

 

 

 

2002年 スペイン・カナダ

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督・脚本 イザベル・コイシェ

 

原作 ナンシー・キンケイド

 

撮影 ジャン・クロード・ラリュー

 

音楽 アルフォンソ・デ・ビラロンガ

 

 

 

出演 サラ・ポーリー/マーク・ラファロ/スコット・スピードマン/レオノール・ワトリング/デボラ・ハリー/アマンダ・プラマー/マリア・デ・メディアス/アルフレッド・モリーナ/ジュリアン・リッチングス/ジェシカ・アムリー/ケーニャ・ジョー・ケネディ

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

命の期限がわかった時、初めて人生を愛することを知った女性の感動の物語

 

スペインの女流監督イザベル・コイシェ×主演サラ・ポーリーのコンビ第1作、製作総指揮はたくましく生きる女性を描くことに定評あるスペインの巨匠ペドロ・アルモドバル

 

23歳にして余命2か月と宣告されたアン、死を目前にした彼女は10項目のリストを作る、それから毎日が生き生きと充実した時間に変わっていく、すべての人に感動を与える人間ドラマ

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

清掃の仕事をしている23歳のアンは、失業中の夫ドンと幼い娘2人で母親の家の裏庭にあるトレーラーハウスで慎ましく暮らしている

 

 

ある日、職場の友人ローリーがダイエットの話しををし、そこでアンに先月より痩せていると指摘する、アンは特に何も変わっていない、アイスクリームも1リットル食べると笑った

 

数日後に夫と娘を見送ったアンは突然の腹痛に襲われて倒れた、母親がたまたまやって来てアンは病院に運ばれた、そこで目を覚ましたアンは娘のお迎えが気になった

 

アンは医師から3回検査をしたが両方の卵巣に腫瘍が出来ていて、それが胃に転移して肝臓にも広がり、若いアンの細胞は進行が早く手の施しようがない、余命は2、3か月だと宣告された

 

 

誰にもこの事を告げずに家族には貧血だと嘘を言い、ドンはその日に仕事が決まって喜んだ、給料が入ったら家族でビーチに行こうと約束をする

 

アンは17歳で初めてキスをした男と子供ができた、19歳で次女を出産、母の裏庭でトレーラーハウスで生活、父親は10年も刑務所で考える暇もなかった、1人でカフェに行き、ノートに死ぬまでにしたい10のことを描き出した

 

 

1.娘たちに毎日愛していると言う、2.娘たちの気に入る新しいママを探す、3.娘たちが18歳になるまで誕生日のメッセージを贈る、4.家族でビーチに行く、5.好きなだけお酒とタバコを楽しむ、6.思っている事を話す、7.夫以外の人と付き合ってみる、8.男性を夢中にさせる、9.刑務所のパパに会う、10.爪とヘアスタイルを変える

 

次の日の夜にバーに行き、そこで美容師に会い、音楽について語り合った、コインランドリーで出会ったリーにコーヒーを奢ってもらおうとしたが彼が戻る前に眠ってしまった

 

 

目が覚めたアンはリーが畳んで詰めてくれた洗濯物とコートを借りて帰宅、中には一冊の本が入っていた、本を返すという理由でリーの家を訪ね、2人は車の中で音楽を聴きながらキス

 

アンは隣に引っ越して来た看護師で同じ名前のアンに子供を預け、リーに会いに行くようになる、子供たちは隣人アンに少しずつ懐いていた

 

 

美容院で爪を整え、そして10年も顔を合わせていない父親に面会し、娘たちの写真を見せた、秘密のリストを1つずつ実行していくアンだったがその時は刻一刻と迫っていた

 

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

もし自分が死の宣告をされたらこんなに冷静でいられるのか?、おいらが23歳の時にこんな事になったらどんな事を考えてどんな事をするのか?

 

 

決して死に向かって立ち向かうわけでもなく感動させようとする演出ではなく、今までしてこなかった事をしようと、毎日同じを変えてしまうんです

 

死が迫っている事で今まで我慢して出来なかった事なんて出来るかもね、思いっきり髪形を変えたり色を変えたりするのもそうです

 

17歳で妊娠して2人の娘を持つ23歳の女性はここまでドラッグもせずに慎ましく生きて来たのにこんな事になるなんて神様は不公平です、そんな恨み言も言いたくなりますよね

 

そんなアンを繊細に演じたのはサラ・ポーリーで、おそらく家族の事を一番に考えている優しい女性、妊娠した事で夢はなくなったと嘆きますが決して今の生活が嫌なわけではなさそう

 

 

そんな彼女が死ぬまでにしたい10のことをノートに書き出します、その中で夫以外の男性と付き合う、男性を夢中にさせるというものがあります

 

これはアンは夫しか男を知らないので夫以外の恋人を作りたい、自分に夢中になってくれる男に出会いたい、こういうのは女性にはある感情なのかな?

 

夫のドンを演じるのはスコット・スピードマンで無職なのですが優しくて娘の面倒もしっかりと看てくれます、それにアンを愛しています

 

 

コインランドリーで出会ったアンの最後の恋人のリーを演じるのはマーク・ラファロで、彼女に夢中になりアンもリーに夢中になります、とても切ないです

 

 

アンの仕事仲間のローリーを演じるのが「パルプ・フィクション」のアマンダ・プラマーで、ダイエットの話しばかりして、アンもドンに紹介するも子供たちは嫌いなようです

 

隣に引っ越して来た看護師のアンを演じるのは「トーク・トゥ・ハー」のレオノール・ワトリングで、彼女はすぐに娘たちと仲良くなってアンも託そうと思ったんです

 

アンの母親を演じるのは「ヴィデオドローム」のデボラ・ハリーで、美容師を演じるのは「パルプ・フィクション」のマリア・デ・メディアス

 

 

監督はこの重くなりそうなテーマを繊細に表現したイザベル・コイシェで、スペイン出身の女性監督でアンがベッドに寝て見るキッチンの風景は自分がいなくなった後の風景でそこがグッときますね

 

 

 

 

 

死を前に初めて生きる喜びを知った女性の感動の物語 それが『死ぬまでにしたい10のこと』です。

 

 

 

 

 

サラ・ポーリーもイザベル・コイシェもこの作品で知りました、その後に何本も観る事になるとはね。