八つ墓村 | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

タカによるA級からZ級映画まで、榮級は絢爛豪華な超大作、美級は美しい女優や映像美、死級は禍々しい阿鼻叫喚、出級はあのスターの意外な出演作、イイ級は耽美なエロティシズム、Z級は史上最悪なクソ映画、その全てをレビューと少しの競馬予想と日常の出来事

 

 

 

 

 

『八つ墓村』

 

 

 

 

 

1977年 日本

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督 野村芳太郎

 

原作 横溝正史

 

脚本 橋本忍

 

撮影 川又昂

 

音楽 芥川也寸志

 

 

 

出演 萩原健一/小川真由美/山崎努/山本陽子/花澤徳衛/市原悦子/山口仁奈子/中野良子/加藤嘉/井川比佐志/渥美清

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

怨念が生む連続殺人事件!横溝文学の最高峰!

 

平家の落武者の怨念に呪われた村で、奇怪な殺人事件が次々と発生、「犬神家の一族」以後の横溝正史ブームの中、松竹が放ったミステリー大作

 

この呪われた地で、時代を隔てた後もなお陰惨でおどろおどろしい悲劇が繰り返される様子を、「砂の器」の野村芳太郎監督が重厚なタッチで描写

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

1566年・永禄9年、戦国時代のとある小村に尼子氏の家臣だった8人の落武者たちが財宝と共に逃げ延びて来た、村人たちも彼らを歓迎した

 

 

しかし毛利氏による捜索が厳しくなるにつれ、また財宝と褒賞に目がくらみ、落武者たちを皆殺しにしてしまう、落武者の大将の尼子義孝は「この恨みは末代まで祟ってやる」と死んでいった

 

 

寺田辰弥は空港で航空機誘導員をしていたがある日の新聞の尋ね人欄の記述により、大阪の法律事務所を訪ねる事になった、背中にある大きな火傷の痕で尋ね人本人と認められた

 

 

そこで初めて会った母方の祖父の井川丑松はその場で突然苦しみ出して死んでしまった、井川は喘息の持病の薬を持っていたがその中に劇薬が混入していた

 

 

警察で事情聴取をされた辰弥は父方の親戚の未亡人である森美也子の案内で生まれ故郷の岡山の山奥の八つ墓村に向かう事になった、数年前の町村合併で名は変わったが八つ墓村の方が通りが良い

 

 

到着すると出戻りの腹違いの姉の春代が出迎えてくれた、辰弥には腹違いの兄の多治見久弥が病床にあり、子もなく余命幾ばくもなく辰弥が豪家の多治見家の後継者だと聞かされる

 

 

赤ん坊だった辰弥を連れて村を出た母の鶴子は別の地で結婚した後に病死、父親は再婚し、高校を卒業して家を出た、辰弥は自分の出生について今まで何も知らないでいた、井川の葬儀の後に美也子は辰弥に多治見家と八つ墓村にまつわる由来を話した

 

首謀者である多治見家の祖先である庄左衛門は莫大な山林の権利を与えられ、多治見家の礎を築いた、だがある時に庄左衛門は突如発狂して、村人7人を斬殺した後に自殺

 

 

村人たちは落武者の祟りを恐れて8人の屍を改めて掘り返して丁重に葬り祠を建てて祀った事から、この村は八つ墓村と呼ばれるようになった

 

そして久弥が亡くなり、葬儀の最中に警察がやって来た、不審な点があると死体を司法解剖する事になった、多治見家の大伯母の小梅と小竹が夜な夜な出掛けるのを不審に思い、辰弥が後を付けると鍾乳洞へ、そこには辰弥の父の多治見要蔵のミイラがあった

 

 

要蔵は自分の思い通りにならない事を力で捻じ伏せてきた暴君の如き性格で、28年前に妻子がありながら井川鶴子を拉致して妾にし、自宅の離れに軟禁

 

鶴子は生まれたばかりの辰弥を連れて逃げ、その数日後に要蔵は発狂して妻を斬殺、村人32人を日本刀と猟銃で虐殺して失踪していた

 

そして八つ墓村で連続殺人事件が起こり、私立探偵の金田一耕助が村に姿を現した

 

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

何が凄いって山崎努演じる多治見要蔵が発狂して村人32人を斬殺するシーンでしょう、ド派手な音楽と共に日本刀と猟銃を持ち、頭に懐中電灯付けて桜吹雪の中を走るシーンは強烈です

 

 

村人の家に押し入って問答無用に殺します、それが生まれたばかりの赤ん坊でも日本刀を突き刺します、逃げ惑う子供に銃弾を撃ち込んで日本刀で斬り捨てます

 

これは津山30人殺しがモデルとなっていて日本の犯罪史上でも最悪の事件で、世界的に見ても稀な殺人事件です、この事件が横溝正史にインスパイアされたのでしょうね

 

寺田辰弥が八つ墓村にやって来るところから物語は始まります、演じるのは萩原健一で、彼はこの大作に出演するかどうか迷ったそうです

 

 

「タワーリングインフェルノ」でポール・ニューマンが大作に出ているのを見て決めたそうです、それに渥美清との共演も魅力だったそうです、それでも大作の撮影は大変だったようですね

 

金田一耕助を演じるのは渥美清で、本作の金田一耕助は語り部となっていてあまり推理のシーンは少なくて完全に脇役の金田一耕助です

 

 

それでも金田一耕助が事件関係者の血筋を遡って行くと本人も知らない意外な事実が分かります、それは尼子氏や毛利氏にまで遡り末代まで祟るは実行されているんです

 

原作では戦後間もない昭和20年頃なのですが本作は製作当時の1970年代となってます、オープニングでジェット機が映し出されるも辰弥が八つ墓村に行くとのどかな田園風景でコントラストが面白いです

 

なので辰弥を八つ墓村に案内する森美也子も当時のファッションを身に纏った小川真由美で、村を見下ろす丘で辰弥と話すシーンではスカートが捲れそうな風でなんかカッコ良かったです

 

 

辰弥の異母姉で多治見春代を演じるのは山本陽子で、春代は嫁に出たのですが子宮筋腫で子宮を摘出して子供が産めない体となった事で離婚されて出戻ってます

 

 

多治見当主で辰弥の異母兄の久弥を演じるのは山崎努で、余命短いのですが親戚中から財産を狙われるのを嫌って辰弥を捜し出しました、しかし毒薬によって殺されてしまいます

 

 

辰弥の母親の井川鶴子を演じるのは中野良子で、郵便局員だったのですが要蔵に襲われて無理矢理自宅の離れに軟禁されて妾にされてしまいます

 

 

その後に赤ん坊の辰弥を連れて逃げて他の男性と結婚、その後に死亡、鶴子が逃げた事で要蔵は発狂したのか村人32人を殺害しました、これはまともな人間が狂ったのか?それとも祟りなのか?

 

 

本作は1975年に映画化の企画があった際に社長に就任したばかりの角川春樹がプロデュースに名乗りを上げて、松竹と共同製作となったのですが松竹内部で賛否両論となって松竹の自社製作となったんです

 

角川書店の横溝正史フェアを無視したり手数料を要求したりと松竹に不信感を募られた角川春樹は手を引いて、「犬神家の一族」を東宝と共同製作しました

 

 

 

 

 

神秘の鍾乳洞に展開する怪奇ロマンの世界 それが『八つ墓村』です。

 

 

 

 

 

当時は「たたりじゃ~」という宣伝文句が話題となりました、本当にインパクトがありましたよ。