『欲望の翼』
1990年 香港
《スタッフ&キャスト》
監督・脚本 ウォン・カーウァイ
撮影 クリストファー・ドイル
音楽 ザビア・クガート/ロス・インディオス・タバハラス
出演 レスリー・チャン/マギー・チャン/カリーナ・ラウ/ジャッキー・チュン/アンディ・ラウ/レベッカ・パン/トニー・レオン
《解説》
1960年4月16日3時1分前、君は僕といた、この1分を忘れない
ウォン・カーウァイ監督が1990年に手掛けた長編第2作で、1960年代の香港で若者たちが織り成す恋愛模様を疾走感あふれる映像美で描き、ウォン・カーウァイ監督の名を一躍世界に知らしめた青春群像劇
今は亡きレスリー・チャンら、当時人気絶頂の香港のトップスターたちがきら星のごとく顔を揃えて各自の魅力を存分に発揮、ウォン・カーウァイ監督の異才ぶりをより広く知らしめ、世界中でそれにしびれる熱狂的ファンが続出することとなった
《物語》
1960年の香港、サッカー場の売店で働く女性を口説こうとヨディは名前を尋ねた、拒んだ女性だったがヨディは名前を知っている、スー・リーチェンだと答え、夢で会おうと去って行った
翌日、寝不足気味のスーが売店にいるとエディが現れた、夢で会えなかったと言うとヨディはスーは眠っていない、眠れば会えると言い、うたた寝するスーは笑顔だった
次の日もヨディが現れ、スーに綺麗だと言い、戸惑うスーに友達になろうと言うが、スーは断りヨディは腕時計を1分だけ見るように言い
針が3時を指し、スーが1分経ったと言うと、1960年4月16日3時1分前、君は俺をいた、この1分を忘れない、そして1分間の友達になったと言って去った
翌日からヨディは毎日やって来て1分から2分の友達になり、そして1時間の友達になった、スーはヨディの部屋でベッドを共にするようになった
そんなある日、従姉が嫁ぐ事になり、部屋を間借りしていたスーは部屋を出る事になり、一緒に住みたいと言うとヨディは快諾、しかしスーが父に関係を話すと言うとどんな関係だと眉をひそめた
結婚を意識していたスーだったがヨディにはその気はまったくなく、傷付いたスーは怒りもう来ないと言い残して部屋を出て行った
ヨディが実家に行くと家政婦が母親が浴室で酔いつぶれていると教え、彼は母親をベッドに運び、家政婦に今の男は誰かと聞き、ナイトクラブで若い男を母親のイヤリングを盗んだと因縁を付けて殴る蹴るの暴行を加えて脅した
それを見ていた店のダンサーのミミにイヤリングを渡して誘い出し、部屋に連れ込んでミミと一夜を過ごす、雨の夜にヨディの部屋に荷物を取りに来たスーが現れ、ミミと部屋で会い傷心のまま立ち去った
ヨディの親友のサブは密かにミミに想いを寄せていた、放心状態で夜の街を彷徨っていたスーは巡回中の若い警官タイドに保護される、タイドはスーに恋をするが、スーは今でもヨディに想いを残したままだ
《感想》
1980年代の香港映画は東洋のハリウッドと言われ、ジャッキー・チェンのアクション映画やチョウ・ユンファの香港ノワールなどの娯楽大作で香港映画ここにありって感じでした
1990年に突然にそれまでの香港映画の概念になかったアートな恋愛映画が誕生、しかも上映期間はたった13日間、興行成績も振るわなかったが影響力は強かった
第10回香港電影金像奨において、作品賞、監督賞、主演男優賞の3部門を独占、これがウォン・カーウァイ監督の2作目となる本作です
主人公のヨディを演じるのはレスリー・チャンで彼は義母の金で仕事もせずに良い部屋に住んでいます、スーやミミといった女性と付き合うのですが彼には常に実の母親への思いがあるようです
義母と実の母親を巡る関係性は1997年にイギリスから中国に香港が返還される事も関係しているようです、香港人はイギリスと中国の間で揺れているようだと
スー・リーチェンを演じるのはマギー・チャンでサッカー場の売店で働くのですがそこに現れたヨディと恋の駆け引きをしているようでスーは恋に落ちてしまいます
最初は突き放していたのにいつの間にかヨディの部屋でベッドを共にするようになるなんてね、結婚を意識するもヨディはその気はなしで、スーは部屋を出て行ってしまいます
ミミを演じるのはカリーナ・ラウで義母の経営するナイトクラブのダンサーでイヤリングで口説かれてのこのことヨディの部屋に行ってしまい、ヨディの虜となってしまいます
スーがヨディの部屋に荷物を取りに来た時にもミミは部屋にいて2人は鉢合わせ、スーはまだヨディに未練があったのですがミミは勝ち誇った顔をするわけでもなく、ヨディに対して嫉妬するように怒るんです、女性は難しいですね
そんなミミに片想いしているのがヨディの親友のサブを演じるのはジャッキー・チュンで、最初に知った時はジャッキー・チェンかと思いましたもん、なんとなく顔を似てるように見えてしまいました(笑)
ヨディとの別れで街を彷徨っていたスーを保護したのが警官のタイドで演じるのはアンディ・ラウで、彼女に恋心を覚えるのですがスーはヨディを忘れる事は出来てないんです
こんなにモテるヨディですが生みの母を訪ねてフィリピンへと行ってしまうんです、スーとミミはそこでも鉢合わせして一触即発となるんです、女同士のバチバチが冷や冷やです
当初の予定では前後編だったのですが前編だけで予算とスケジュールを使いきってしまった為に前編だけが完成、なのでラストに唐突に登場するトニー・レオンは後編の主人公の予定だったものの製作はされず、「花様年華」では設定が一部受け継がれていて、続編であって続編ではないのです
若者たちの屈折した恋愛模様をスタイリッシュに描く それが『欲望の翼』です。
まさかのラストに意外な感じがしましたね、そしてスーもミミもね。

















