『2000人の狂人』
1964年 アメリカ
《スタッフ&キャスト》
監督・脚本・撮影 ハーシェル・ゴードン・ルイス
音楽 ラリー・ウェリントン
出演 ウィリアム・カーウィン/コニー・メイソン/ジェフリー・アレン/ジェローム・イーデン/シェルビー・リヴィングストン/マイケル・コープ/イヴォンヌ・ギルバート
《解説》
ホラー映画史において欠かす事のできないハーシェル・ゴードン・ルイスの代表作
スプラッター映画の先駆者ハーシェル・ゴードン・ルイス監督が、南北戦争で虐殺されて怨霊となった村人たちに惨殺される旅行者の恐怖を描いたスプラッターホラー
「血の祝祭日」に続くハーシェル・ゴードン・ルイスの第二弾、バイオレンスへの転換にかなりムチャクチャな所があるが、そこがルイスの面目躍如たる所で、病的で狂気に満ちた恐怖を漂わせている
《物語》
アメリカ南部の田舎道で男たちが望遠鏡を覗きながら標識を変えて誘導している、そこに北部からやって来た3組のカップルがその標識に誘導されてプレザント・ヴァレーという田舎町にやって来た
ここでは百年祭が行われており賑わっており、大勢の人たちと町長のバックマンが彼らを大歓迎、町人はみんな陽気で楽しそうな表情で彼らを主賓として迎えた
気を良くした彼らはこの町で一泊する事にした、バックマンは最高のホテルに最高の食事、最高の余興を用意してあると案内をした
町の女のベッツィーがジョンを誘い出し、妻のビーはハーバーが誘い人気のない所を散歩、いきなりナイフで指を切り落とされ、バックマンの家へと連れて行かれてそこで斧で腕を切り落とされて殺されてしまう
トムとテリーは1965年の100年前は南北戦争が終わった年で北軍が勝った、なのに北部の人間を主賓とはおかしい、この町は怪しい
その夜のバーベキューでは串に刺されたビーの腕が焼かれている、バーベキューに参加していたジョンは酒を飲んで泥酔、気が付くと4頭の馬に四肢を繋がれ八つ裂きにされた
翌朝、デヴィッドは百年祭を不審に思いながらも会場の丘へと向かう、そこで樽回しに参加させられ無理やり樽に入れられ、大きな釘を打ち込まれ丘から転がされ体中を貫かれたデヴィッドは死亡
ベヴァリーは塔の下に縛り付けられ、大きな岩が落ちて来て下敷きとなり潰された、トムとテリーは他の4人と連絡が取れず、異変に気付きプレザント・ヴァレーを脱出する事にするが…
《感想》
ハーシェル・ゴードン・ルイス監督の最高傑作と言われる本作です、若かりし頃に初めて観た時には何だかよく分からなかったのですが、大人になって分かったような気がします
アメリカには暗い歴史の南北戦争があります、それを踏まえて本作を観れば、このプレザント・ヴァレーでの惨劇を納得といったところでしょうか
北部からの旅行者をプレザント・ヴァレーに誘い込んでおもてなしをするのです、誘い込まれた教師のトムとトムをヒッチハイクで拾ったテリー
ジョンとビーの夫婦とデヴィッドとベヴァリーの夫婦、この4人は同じ車に乗ってやって来たのでトムとテリーとは別グループなのです
プレザント・ヴァレーの町長のバックマンはトムとテリーをカップルとして受け入れるんです、2人はたまたま一緒にいるだけと説明するのですが、徐々に2人の仲は親しくなっていくのです
このプレザント・ヴァレーの賑わいはちょっと異常なほどで招かれた6人も戸惑うほどです、そこにはやはり裏があってこのプレザント・ヴァレーは呪われた町なのです
南北戦争の最中にこの町にやって来た北軍の兵士が町人を皆殺しにした過去があったんです、その事件から100年が経って町人の呪いがこの町を復活させたのです
北部の人間を殺して復讐しているのです、それも残酷にいたぶるように楽し気に殺すのです、このみんな笑いながらの殺人に恐ろしさが見えてきます
トムとテリーは命からがら町を脱出するのです、警察に言って全てを話しても信じてもらえずアルコール検査や薬物検査までされてしまいます、そして現場ではプレザント・ヴァレーへの道は無くなっているんです
アメリカ合衆国と分離したアメリカ連合国との内戦で起こった南北戦争、その事実を知ると余計に作品の重みを感じます
スプラッター・ムービーの生みの親ハーシェル・ゴードン・ルイス それが『2000人の狂人』です。
いつからか「マニアック2000」のタイトルに変更されました、狂人がダメになったようです。