『死亡遊戯』
1978年 香港
《スタッフ&キャスト》
監督 ロバート・クローズ
脚本 ジャン・スピアーズ
撮影 ゴッドフリー・ゴダー/西本正
音楽 ジョン・バリー
出演 ブルース・リー/ギグ・ヤング/ディーン・ジャガー/コリーン・キャンプ/ヒュー・オブライエン/ボブ・ウォール/メル・ノヴァク/カリーム・アブドゥル・ジャバール/ダニー・イノサント/チイ・ハンサイ/サモ・ハン・キンポー
《解説》
華麗!壮絶!全世界をゆるがす雄叫びをあげて、最後のブルース・リーが翔ぶ! 極限に挑む男の闘いがはじまった、いま世界は一瞬息を止める!
72年初夏、ブルース・リー監督、主演、西本正撮影で開始された「死亡遊戯」は、念願のハリウッドとの合作「燃えよドラゴン」の撮影のために中断され、ブルース・リーの急死によって未完となってしまう、それから約5年「燃えよドラゴン」のロバート・クローズ監督をはじめ、最高のスタッフが集結し、遂に幻の遺作は完成した
クライマックスのダニー・イノサント、チイ・ハンサイ、カリーム・アブドゥル・ジャバールとの死闘の連続はブルース・リーが辿り着いたアクション哲学の到達点でもある、リーが着た黄色いトラックスーツは有終の美のシンボルとなり、今なお影響が世界中で見られる
《物語》
人気絶頂の世界的なアクションスターのビリー・ローは熱狂的なファンの注目を集めていたが、それと同時に国際的犯罪シンジケートの目も向けられていた
ボスのドクター・ランドは冷酷非情な男で芸能・スポーツ界に幅広く手を伸ばし、片っ端から食い物にしている、契約を拒む者には制裁を加えていた
ランドの右腕のスタイナーは撮影所でビリーに契約を結ばせようと圧力を掛けていた、そんな脅しに怯むビリーではないが、恋人で歌手のアンにも奴らの手が迫っていた
しかし契約を結ばないビリーに苛立ちを隠せないランドは手下のスタイナーに命じてビリーの楽屋に現れた、それはランドの最後通告だ
そしてビリーが映画のクライマックスを撮影中にそれは起こった、ビリーがカメラに向かって宙を舞った時に6発の銃声が響き、その内の1発が実弾だったのだ、ランドが雇った殺し屋に頬を撃ち抜かれたのだ
医師の診断では一命を取りとめた、ビリーはこの事件を逆に利用する事にし、担当医師に頼んで死んだ事にし、盛大に葬儀をし、それはアンにも秘密だ
ビリーは影の存在となり変装をしてランド一味の動きを探る、ランドの魔の手はアンに迫り誘拐、捕らえられたアンを救出し、ランドのいるシンジケートの本部であるレッドペッパータワーに向かう
《感想》
おいらはこの本作の音楽が一番テンションが上がります、「007」シリーズのジョン・バリーによる音楽とオープニングは最高に素晴らしくてね
「ドラゴンへの道」の大ヒットで次回作に本作に取り掛かり、まずクライマックスシーンの撮影を開始、それはレッドペッパータワーの3階から5階にいる用心棒たち
3階にいるのはダニー・イノサント演じるフィリピン人武道家で、棒術カリの使い手でビリーとヌンチャク対決が迫力満点です、ダニー・イノサントはブルース・リーのジークンドーの指導者でブルース・リーにヌンチャクを教えた人物なんです
4階にいるのはハン・チンサイ演じる韓国合気道ハプキドーの達人、打撃だけではなく投げや関節技も披露、ブルース・リーも何回も投げられてます
5階にいるのは2メートルを優に超えるカリーム・アブドゥル・ジャバール、出てきた時のインパクトは強烈です、最初にブルース・リーの胸に蹴りを入れるのですが、ブルース・リーの胸にでかい足跡が付いてるんです
カリーム・アブドゥル・ジャバールは当時はNBAの選手でアメリカ時代のブルース・リーの弟子なのです、なので構え方や蹴り方はよく似てます
このクライマックスシーンを撮影したところでブルース・リーにハリウッドから出演依頼が舞い込むんです、それが「燃えよドラゴン」で念願だったブルース・リーは本作の撮影を中断して「燃えよドラゴン」の撮影に入ります
その後に本作の撮影再開の準備中にブルース・リーは急逝してしまいます、それも共演予定だった台湾女優ベティ・ティンペイの部屋で倒れたのです
ブルース・リーの死後にその遺志を受け継いだ関係者が完成させようと奔走、監督には「燃えよドラゴン」のロバート・クローズで、ブルース・リーの代役を指導したのがサモ・ハン・キンポー、彼と試合をしているのはボブ・ウォール
ハリウッドからドクター・ランドを演じるのはディーン・ジャガー、ランドの右腕のスタイナーを演じるのはヒュー・オブライエン、殺し屋にメル・ノヴァク、ビリーの友人の新聞記者マーシャルにギグ・ヤングとアメリカ人がズラリ
ビリーの恋人のアンを演じるのは当時新人女優だったコリーン・キャンプで本作のエンディング曲も歌ってます、こちらもアメリカ人でブルース・リーの奥さまリンダ・リーがアメリカ人でそこら辺を彷彿とさせます
とにかく主役が亡くなっているので撮影は大変だったでしょうね、ブルース・リーのこれまでの主演作品を使ってなんとかごまかしている感じです、オープニングは「ドラゴンへの道」のクライマックスでチャック・ノリスの名前もクレジットされてます
ビリーが撃たれて大ケガを負うシーンは「ドラゴン怒りの鉄拳」のラストシーンですしね、ビリーの葬儀のシーンはブルース・リーの本当の葬儀、あの手この手で何とか完成までこぎ着けたのですが、ラストのブルース・リーの本物のアクションはやはり別格です
その後にブルース・リーのクライマックスシーンの全編が一時は紛失されたらしいのですが発見され、2000年にフルサイズで魅せる「G.O.D. 死亡的遊戯」が公開されました
黄色のトラックスーツはブルース・リーのデザインですが、今だにこのデザインのジャージなんか見たらブルース・リーだって思ってしまいます(笑)