『墓地裏の家』
1981年 イタリア
《スタッフ&キャスト》
監督・脚本 ルチオ・フルチ
撮影 セルジオ・サルヴァッティ
音楽 ワルデール・リッツァート
出演 カトリオーナ・マッコール/パオロ・マルコ/アニア・ピエローニ/ジョヴァンニ・フレッツァ/シルヴィア・コラティーナ/ダグマール・ラッサンデール/ダニエラ・ドリア
《解説》
その家には近づいてはいけない、悠久の時を生きるゾンビ博士の恐怖!
「サンゲリア」「地獄の門」「ビヨンド」と、マカロニ・ゾンビ映画の傑作を連打したルチオ・フルチ監督が凄惨な残酷演出をふんだんに散りばめつつ、幻想的な物語を繊細な筆致で紡ぎ、新境地を開いた意欲作
血まみれ三部作に並ぶイタリア残酷映画の帝王ルチオ・フルチの残酷ホラーの代表作、連続殺人事件にこの屋敷の恐怖の真実、残酷シーンのオンパレードの名作ホラー
《物語》
ボストン・ニューイングランド、周囲を荒れ果てた墓地に囲まれた屋敷にニューヨークの歴史学者のノーマンと妻のルーシーが幼い息子のボブを連れて引っ越してくる
謎の自殺を遂げた友人ピーターソンの研究を引き継ぎにノーマンは一家でやって来たのだ、ピーターソンは友人であり師匠でもある、自殺の研究をしていて愛人を虐殺して自らも自殺、理由も分かっていない
夫の友人の自殺にその妻にも挨拶も出来ないルーシーは邸内に漂う異様な雰囲気に少し怯え気味、ボブは突然に現れた不思議な少女メイから謎めいた警告を受ける
ノーマンは屋敷の中で古い書物を発見、そこにはかつての主のフロイトシュタイン博士の記録、1879年にフロイトシュタイン博士は医師会から追放され、医師免許を剥奪されていた
それにピーターソンは診断書に死亡証明書、そして失踪者名簿を取り寄せていた、何故そんな資料が必要だったのかノーマンは不思議に思えた、ピーターソンはフロイトシュタイン博士を調べていたのだ
屋敷の中で開かずの間となっている地下へのドアが騒がしい音を立てるとルーシーが怖がり、ドアを開けて中を調べるがコウモリに邪魔をされて断念
コウモリによってケガをしたノーマンは引っ越しを決意、訪ねて来た不動産業者のローラは何者かに襲われて殺され、地下室に引きずり込まれた
ノーマンはピーターソンの自殺の原因がフロイトシュタイン博士の研究と関係があるのではと考えた、不可解な出来事と共に次第に明らかになっていく秘密
この家には19世紀に禁断の人体実験を繰り返したフロイトシュタイン博士が潜んでおり、屋敷を訪れた者を次々と殺していたのだ、静かな森の屋敷は、血塗られた地獄と化す
《感想》
「ビヨンド」に続いてルチオ・フルチ監督が絶頂期に放った異色のゾンビ映画、これまで怪奇文壇の二大巨頭のH・P・ラヴクラフトやエドガー・アラン・ポーの作品から着想を得ていたが一転、今回はヘンリー・ジェイムズの「ねじの回転」が下敷きとなっています
ルチオ・フルチは常々、子供が持つ独自の宇宙に強く心惹かれていたそうです、子供は魔物だが邪悪ではない、大人とは異なる生き物で、大人は子供を恐れて型にはめようとする
本作で別世界へ導かれたボブは惨殺された人々よりも哀れな結末だったのでは?地獄も同然の現実から逃れる為に、現世と隣り合わせと別世界へと迷い込む、ルチオ・フルチ作品によく見られる展開です
主人公のルーシーを演じるのはルチオ・フルチのミューズと言われるカトリオーナ・マッコール、絶頂期のルチオ・フルチ作品数本に出演しています
ノーマンを演じるのは主に舞台で活躍していたパオロ・マルコ、息子のボブを演じるのはジョヴァンニ・フレッツァで不思議な少女に魅入られたりと子供は大変です
オープニングからこの空き家だった家に入り込んでセックスをしていた若いカップルが無惨に殺されるルチオ・フルチの掴みの演出はさすがです
この邸の地下にはフロイトシュタイン博士が19世紀から生き長らえているのです、禁断の人体実験の末に死体を再利用して永遠の命を持っているのです、なので地下室は死体がぶら下がってます
謎めいたベビーシッターのアンを演じるのは「インフェルノ」のアニア・ピエローニで凄く妖艶な魅力でそれでいて無口なので何かあるのかなと思ったら殺されてました
まあフロイトとフランケンシュタインの名前を合体させたゾンビ博士はずっと地下室に潜んで子供の声で泣いて死体を移植して死を超越した存在となったのです
ゾンビ映画を撮ってきたルチオ・フルチのちょっと異質なゾンビ映画となりましたね、これまでの作品では超えげつない描写でしたが、それと比べると本作は大人しいかもね
マカロニ・スプラッターの帝王ルチオ・フルチが新境地を開いた意欲作! それが『墓地裏の家』です。
そろそろルチオ・フルチのピークから下り坂へと向かっていく途中くらいです、晩年は駄作だらけですからね。



















