フルメタル・ジャケット | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

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『フルメタル・ジャケット』

 

 

 

 

 

1987年 アメリカ・イギリス

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督・脚本 スタンリー・キューブリック

 

原作 グスタフ・ハスフォード

 

脚本 マイケル・ハー/グスタフ・ハスフォード

 

撮影 ダグラス・ミルサム

 

音楽 アビゲイル・ミード

 

 

 

出演 マシュー・モディーン/アダム・ボールドウィン/ビンセント・ドノフリオ/R・リー・アーメイ/ドリアン・ヘアウッド/アーリス・ハワード/ケビン・メイジャー・ハワード/エド・オロス/ジョン・テリー/キーロン・ジェッキニス/ブルース・ボア/カーク・テイラー/ジョン・スタフォード/ティム・コルチェリ/イアン・タイラー/ゲイリー・ロンドン・ミルズ/サル・ロペス

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

“映画史上最高の戦争映画”と全世界の評論家が絶賛

 

スタンリー・キューブリックが「シャイニング」以来、久々にメガホンを取った作品で、グスタフ・ハスフォードの原作を基にベトナム戦争の狂気を描く、徴兵された若者が、次第に戦闘マシーンとして人間性を失っていく様を冷徹な視点で追っている

 

ベトナム戦争ブームに沸いた80年代に、スタンリー・キューブリック監督が戦争の無意味さを描写、海兵隊訓練キャンプで隊員の人間性が崩壊していく前半と、壮絶な戦場描写が続く後半の2部構成が圧巻

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

バリカンで髪の毛を刈られる若者たち、南カロライナ州のアメリカ合衆国海兵隊新兵訓練基地、ベトナム戦争の最中、彼らは8週間の地獄の訓練を受ける新兵たちだ

 

 

整列させられて、鬼のような訓練教官ハートマンから厳しい訓示を受ける、彼らはジョーカー、レナード、カウボーイといった面々だ、ハートマンの訓練は厳しく過酷であり、更に蛆虫呼ばわりし、容赦なく彼らをしごく

 

 

特にノロマで不器用なデブのレナードはハートマンのしごきの対象とされる、班長となったジョーカーはレナードの世話係となり、そのかいあってレナードは上達していく

 

 

ある日、レナードがドーナツを隠していた事がハートマンにバレてレナードが罰を受けるのではなく、小隊全員が罰を受けて腕立て伏せ、レナードはドーナツを食べさせられる

 

 

挙句にレナードは深夜に仲間全員からリンチに遭う、その日を境にレナードは徐々に精神に異常をきたして目付きも変わってくる、レナードは銃の腕前は良かった、それはハートマンも認めるところ

 

銃の手入れを優しく話しかけながらするレナードを見て、ジョーカーは限界なのではと感じた、遂に卒業前夜にトイレで爆発、ハートマンを撃ち殺して自らも銃を咥えて自殺

 

 

時が過ぎて新兵たちも一人前の海兵隊員としてそれぞれの部隊に配属されており、ジョーカーはダナン基地において報道隊員として比較的のんびりとした生活を送っていた

 

 

だが北ベトナム軍の熾烈なテト攻撃が始まり、ジョーカーはカメラマンのラフターマンと共に最前線のフエ市へ向かう

 

 

そこではタッチダウン軍曹の指揮の下、自ら殺人機械と自負するアニマル・マザーや黒人のエイトボールやクレイジー・アールといった兵隊たちが集まっていたがそこでジョーカーはカウボーイと再会する、それも束の間、彼らは銃火の真っ只中に

 

 

前線を偵察中、対面の廃ビルに潜む凄腕の狙撃兵にやられ、エイトボールらが撃たれ、カウボーイも撃ち殺される、復讐を誓ったアニマル・マザーやジョーカーは廃ビルに侵入

 

 

狙撃兵を撃って瀕死の重傷を負わせるが狙撃兵の正体がまだ年端もいかない少女であることを知って呆然とする

 

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

スタンリー・キューブリック監督が「シャイニング」以来、久々にメガホンを取った作品で、グスタフ・ハスフォードの原作を基にベトナム戦争の狂気を描いています

 

この80年代は「プラトーン」から始まるベトナム戦争映画ブームがありまして、その真打ちとも言える本命作品です、しかも「プラトーン」のオリバー・ストーン監督はスタンリー・キューブリック監督がベトナム戦争を撮ると聞いて先に撮ったそうです

 

 

スタンリー・キューブリック監督は作品の企画から撮影まで数年掛ける監督なので、ハリウッドで噂だけが流れるのでしょうね、「シャイニング」の時もモダンホラーが流行りましたもんね

 

それに本作は軍事訓練における歌や台詞がとにかく汚いのです、そんな汚い言葉は日本語にはないので翻訳を担当した戸田奈津子が柔らかめの表現にしたがスタンリー・キューブリックは汚さが出ていないと拒否

 

 

急遽、ハリウッド在住の原田眞人がスタンリー・キューブリックと直接連絡を取りつつ翻訳をしたのです、翻訳した日本語を更に英語に翻訳して拒否したりOKしたりと完璧主義な監督ですね

 

主人公はジョーカーで演じるのはマシュー・モディーンで、役名はジェイムズ・T・デイヴィスですが皮肉屋なところからジョーカーと呼ばれています

 

 

レナードを演じるのはビンセント・ドノフリオでデブを意味するパイルとも呼ばれています、基本的に全てがダメで厳しい指導を受け、次第に連帯責任となり本人以外が罰を受けるのです

 

 

その結果、真夜中にリンチを受けて世話係のジョーカーは複雑な心境なのです、やがて射撃の才能を開花させますが、精神に異常をきたして奇行が目立ちハートマンを射殺して、自殺、ある意味、前半の主役です

 

ハートマン軍曹を演じるのはR・リー・アーメイで、アメリカ海兵隊の訓練教官の経験があり、その訓練教官役への演技指導の為に呼ばれたのですが、その迫力が圧倒的だった為にそのまま訓練教官を演じる事になりました

 

 

本当にこのハートマン軍曹が強烈なキャラクターでとにかく台詞の半分は下品で猥褻な言葉で、本人や家族や出身地まで罵詈雑言で、キャストとケンカになる事もあったそうです

 

後半は戦場が舞台となるのですが、これまでのベトナム戦争を描いた作品とは一味違って、都市部での戦闘を中心に描いています、市街戦は数少ないのではないかな?

 

 

やはり戦争は恐ろしいです、徴兵された若者が厳しい訓練を受けて、そこでは人間の尊厳を失うくらいの環境で、次第に人間が戦闘マシーンとして理性を失っていく姿を冷徹に描いています

 

 

人と人とは殺し合わなくても対話出来るはずです、なのにそれすらも出来ていない時があります、戦争はすぐに終わらずに泥沼化していき、アメリカもベトナム戦争では負けました、なのに繰り返す戦争、人間は愚かです

 

 

 

 

 

鬼才スタンリー・キューブリック監督が戦争の無意味さを冷笑する それが『フルメタル・ジャケット』です。

 

 

 

 

 

戦争映画ってどんなに滑稽に描いていても、それは実際にあった悲劇なのであまり戦争映画は観ないのですが、本作はそんな中でも1番好きかも。