あの夏、いちばん静かな海。 | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

タカによるA級からZ級映画まで、榮級は絢爛豪華な超大作、美級は美しい女優や映像美、死級は禍々しい阿鼻叫喚、出級はあのスターの意外な出演作、イイ級は耽美なエロティシズム、Z級は史上最悪なクソ映画、その全てをレビューと少しの競馬予想と日常の出来事

 

 

 

 

 

『あの夏、いちばん静かな海。』

 

 

 

 

 

1991年 日本

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督・脚本 北野武

 

撮影 柳島克己

 

音楽 久石譲

 

 

 

出演 真木蔵人/大島弘子/藤原稔三/鍵本景子/小磯勝弥/窪田尚美/河原さぶ/芦澤名人/渡辺哲/寺島進/田山涼成

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

一生にいちど、こんな夏がくる

 

北野武監督の長編3作で、サーフィンに熱中する聾啞者の青年とその恋人の姿を静謐なタッチで描いたラブストーリー、キタノブルーと称される透明感のある映像や省略の妙も秀逸

 

北野武作品唯一のラブストーリーであるが、言葉による説明を一切排し、主人公たちを覚めた視点で捉えてなど、既存の恋愛映画とは一線を画した仕上がりになっている

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

生まれつき聴覚障害者の茂はゴミ収集車の助手の仕事をしている、ある日、海岸脇のゴミ収集所に捨てられてあった壊れたサーフボードが気になり、それを持って帰って修理をする

 

 

同じく聴覚障害者の恋人の貴子と一緒に海へと行き、初めてサーフィンに挑戦するが失敗の繰り返し、それでも毎日、海へと行ってサーフィンをする

 

 

常連のサーファーたちと笑われながらも練習する茂、貴子はそれを見て微笑んでいる、しかしサーフボード折れてしまい、元々あったゴミ収集所に捨てた

 

茂と貴子はサーフショップに見に行くと新品は13万円で中古でも8万円と決して安くはない、茂は給料日を待って新品のサーフボードを購入して、海に通い始めた

 

 

ウェットスーツも着けずにひたむきにサーフィンを練習する茂を見て常連のサーファーたちも上手くなったと、それを見たサーフショップの店長の中島は茂にウェットスーツとサーフィン大会の出場申込書を差し出した

 

貴子が出場申込書を書いてサーフィン大会へと出場するのだが茂と貴子はじっと待ったまま大会は終わってしまった、自分の出番のアナウンスが聞こえずに失格になってしまったのだ

 

 

それを知った中島は常連サーファーを叱り、帰り道は茂と貴子を送って帰った、茂のサーフィンへの情熱は強くなりゴミ収集の仕事も疎かにしてしまうほど、中島は身振り手振りで茂にテクニックを伝え茂を絶賛する

 

常連のサーファーたちとも仲良くなりそして二度目のサーフィン大会を迎える、上達した茂は見事に入賞し、仲間たちから祝福を受ける、大会から数日後、一人で荒波に向かう茂

 

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

北野武作品って観るのですが、そんなに何回も観る作品はないのです、本作以外はね、それほど最初に観た印象は素晴らしかったです、久石譲の音楽が流れる中で展開する物語

 

 

主人公の茂と貴子は聾啞なんです、なのでセリフは一切ありません、彼らの周りの者もセリフは最小限なんです、なのでとても静かな作品で染み込んできましたよ

 

 

その茂はゴミ収集車の仕事をしているのですがゴミ捨て場で折れたサーフボードを見付けて、それが気になって後から取りに来る程にね、それを自分で修理してウェットスーツもなしで海に入るんです

 

 

見よう見まねでサーフィンをするのですがそんな簡単ではなくて地元のサーファーも馬鹿にして見ているんです、やはりサーフボードは折れてしまうんです

 

茂は給料でサーフショップに貴子と2人で行くんです、そこの店長に色々とサービスをしてもらって12万くらいのサーフボードを購入するのですが、他の店では10万以下だったりね

 

 

買った帰りにバスに乗ろうとすると混雑時はサーフボードは禁止と言われて貴子だけが乗って茂は走って帰るのですが、しばらく走った所で貴子はバスを降りて走って戻るんです、そして茂と会って一緒に歩いて帰るのですがこのシーンは美しかったですね

 

いつも茂が先に海に行って後から来た貴子が茂の脱ぎ捨てた服を畳むの事になっているのですが、ある日貴子が畳むと少し離れた所に茂がいたりしてね(笑)、他人の服まで畳んでるんです

 

 

サーフショップの店長が海を見に来たら常連サーファーに茂は毎日見掛け、上手くなってるがウェットスーツがないから寒いかもと言うと、店長はウェットスーツを渡してサーフィン大会の申込書も渡すんです

 

でも耳が聞こえないので呼び出されても分からないんです、それに店長は激怒して常連サーファーたちに面倒を見てやれと、サーフィンを通して茂と貴子は仲間が出来ていくんです

 

 

店長は茂に身振り手振りでテクニックを教えて茂の面倒を見るんです、そんな茂にヤキモチを焼いたのか貴子は海に来なくなるんです、でも貴子の家に行って仲直りするんです、言葉がないのですが笑顔で

 

 

ごみ収集の先輩のおじさんも茂を大会に出す為に一人で仕事をしたりといろんな人に助けられて茂は成長していくんです、演じる真木蔵人は元々サーファーなのでお手の物だったでしょうね

 

 

貴子を演じた大島弘子は本作で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞するも本作で芸能活動は引退となりました、意欲は見せていたのですけどね

 

 

 

 

 

 

聾啞の青年とその恋人との淡い恋を描いた北野武作品 それが『あの夏、いちばん静かな海。』です。

 

 

 

 

 

大会後に仲間と写真を撮るシーンで茂と貴子だけで撮るシーンもなんだか良かったです。