『ロスト・イン・トランスレーション』
2003年 アメリカ
《スタッフ&キャスト》
製作総指揮 フランシス・フォード・コッポラ
監督・製作・脚本 ソフィア・コッポラ
撮影 ランス・アコード
音楽 ブライアン・レイツェル/ケヴィン・シールズ
出演 ビル・マーレー/スカーレット・ヨハンソン/ジョバンニ・リビシ/アンナ・ファリス/フランソワ・デュ・ボワ/キャサリン・ランバート/藤井隆/林文浩/DIAMOND☆YUKAI
《解説》
ひとときの恋心、永遠の思い出”トーキョー”であなたに会えてよかった
初監督作「ヴァージン・スーサイズ」で鮮烈なデビューを果たしたソフィア・コッポラ待望の第2作目、彼女自身特別な思い入れのある東京を舞台に、2人の儚くも淡い恋物語を瑞々しく描き上げる、数々の映画賞を受賞、映画史に残る“ラブ・ストーリー”を誕生させた
CM撮影のため来日したハリウッドのベテラン俳優とカメラマンの夫に付き添って来日した若妻、2人のアメリカ人が異国で体験する淡い恋心を描く
「チャーリーズ・エンジェル」のビル・マーレイはこの役でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされる、相手役の若妻には「ゴーストワールド」のスカーレット・ヨハンソン、東京の雑踏がソフィア・コッポラ監督によって、美しく映し出されているのも日本人にとって新たな発見
《物語》
CM撮影のために来日したかつてのハリウッドスターのボブ、意志の疎通さえ不自由な異国の地で、戸惑いながらも仕事をこなすが孤独を感じていた
一方、ビルと同じホテルに滞在する若妻のシャーロットもまた、仕事に追われるカメラマンの夫に取り残されて、ひとり不安と孤独を抱えていた
自分の居場所が見つからず、言いようのない孤独を抱えた2人は、偶然にもホテルのバーで出会い言葉を交わす、2人はお互いの生活や結婚、不眠について話しをし、それからホテル内でも顔を合わせた
2人は自然と一緒に街へ出掛けるようになり、お互いの孤独や悩みを感じ取り、次第に心を通じさせていく、シャーロットの友人のパーティに誘われたボブはカタコトの英語を話す若者たちと会話を楽しみ、カラオケで歌うシャーロットに魅入る
東京に来て初めて開放的な気分を満喫した2人、いつしか2人の間には不思議な絆が芽生え始めた、当初は少しでも早くアメリカに帰りたかったボブだが、CM撮影が終了した後も急遽舞い込んだテレビ出演を了承し、滞在を延ばすことになった
その間、シャーロットとランチを共にし、ホテルで古い映画を観て過ごして絆を深めていった、だがボブの帰国の時が訪れる
その日の朝、2人は渋谷の街中で初めてキスをし、言葉を少し交わしてそのまま別れることに、シャーロットは涙を流して頷き、ボブは笑顔を見せて去って行った
《感想》
2003年最大のダークホース映画といわれ、「ヴァージン・スーサイズ」のソフィア・コッポラは一躍アメリカで最も注目される新鋭若手監督になりました
ソフィア・コッポラが自らの東京滞在経験をもとに撮り上げたユニークな物語、半自伝的と言われ、言葉の問題だけでなく夫と妻、男と女、老人と若者、友人など現代社会の多くの相互理解の難しさをテーマとしています
異国でのカルチャー・ギャップに戸惑う2人の触れ合いをメランコリックなムードで描写、ユーモアと切なさが入り交じる美しい映像世界が絶賛されました、往年のスターのボブを演じるのがビル・マーレイ
オープニングタイトルからスカーレット・ヨハンソンの下着姿のお尻をバックに入るのですが、これがセクシーなんです、目を奪われるとはこの事のようです(笑)
それとホテルの窓際で綺麗な脚を投げ出しているシーンも美しい、佇む彼女の向こうに高層ビルが並ぶ光景は壮観です、この映画を観てスカーレット・ヨハンソンのファンとなりました
大学を卒業して結婚して2年になるシャーロットですが夫は仕事に忙しくほったらかし、映画のプロモーションに来日したアメリカ人女優ケリーとの交流など、シャーロットがヤキモキします
ビル・マーレーを車で成田から新宿へと向かわせ、やがてパークハイアット東京に到着する、東京だけど東京とは違う異空間、そんなふうに見える東京
ソフィアは優秀な写真家で服のデザイナーでもある豊かな感性を駆使して日本人でさえ知らない東京や、外国人の目からみるとかなり奇妙かもしれない状況を洗練されたタッチで映し出しています
ボブとシャーロットの交流が進んだ時に京都に一人旅から戻ったシャーロットがボブの部屋に行くとそこにバーの専属歌手の女性と成り行きで一夜を共にして、それに気付いたシャーロットとボブの気まずい事(笑)
ソフィアの映像は淡い悲しみに包まれた優しさが画面を柔らかく包んでうっとりさせてくれる、それがソフィア・コッポラの映画です、映画作りが家業の家に生まれた血のなせるワザなのか?
それにこの映画ではじめて見たスカーレット・ヨハンソンの美しさ、いろんな彼女の出演作を観ましたが本作が一番です、彼女の魅力に取りつかれてしまいました
ラストシーンの新宿の雑踏の中で抱き合って別れを惜しむ男と女の姿をうつしだすシーンの素晴らしいこと、男が女の耳もとで何かを囁く、すると淋しげな女の表情が嬉しそうに変わった
観客には何も聞こえない、いったい何を囁いたのだろう、観る者に答えを任せ、新宿の雑踏の中での別れを淡い美しさで見せたソフィア、いまどき珍しいプラトニック・ラヴの世界が爽やかです
異国の街“東京”で偶然知り合ったアメリカ人男女の淡い恋心を、繊細な演出で紡ぎ出したロマンティックストーリー それが『ロスト・イン・トランスレーション』です。
きっとソフィアは日本が好きなんだと思いました、きっと好きなはずです 。

























