『ディーバ』
1981年 フランス
《スタッフ&キャスト》
監督・脚本 ジャン・ジャック・ベネックス
原作 デラコルタ
脚本 ジャン・ヴァン・アム
撮影 フィリップ・ルースロ
音楽 ウラジミール・コスマ/アルフレード・カタラーニ
出演 ウィルヘルメニア・ウィンギンス・フェルナンデス/フレデリック・アンドレイ/リシャール・ボーランジェ/チュイ・アン・リュー/ジャック・ファブリ/シャンタル・ドアーズ/アニー・ロマン/ジェラール・ダルモン/ドミニク・ピノン/ジャン・ジャック・モロー/パトリック・フレーシャム/ジャン・リュック・パラーズ
《解説》
あこがれの女神の歌声を盗んだ!
郵便配達員の青年と彼が夢中な女性歌手のロマンティックな関係を、サスペンスの展開とともに描き、今なおカルト的人気が高い、鬼才ジャン・ジャック・ベネックス監督の美しき初長編
歌手シンシアの歌声に加え、映像やセットの美しさも冴え渡り、ジャン・ジャック・ベネックス監督が34歳で長編デビューした本作は、オタク青年の成長物語でありながら、みずみずしさと洗練が同居する独特の世界が魅力
《物語》
ディーバは歌の女神、女神は美しい黒人の歌手シンシア・ホーモンス、シンシアはその美しい歌声を録音させずレコードは発売させない事で有名だ、彼女の歌声はコンサートでしか聴く事が出来ない
18歳の郵便配達員のジュールはシンシアのパリのコンサートへ行き、録音機を持ち込んでシンシアの歌うオペラを録音し、楽屋からはシンシアのローブを盗んだ
倉庫を改造したロフトに住み、そこでシンシアの歌声を聴いている、翌朝サン・ロザール駅に裸足の女が電車から降りた、売春組織から逃げ出したナディア
追手2人に見付かり駅の外に出たナディアはジュールの郵便配達のバイクに組織の秘密を暴いたカセットテープを隠し、その直後に殺されてしまう
ナディアは売春組織カリブ海の黒幕の情報をカセットに収め、モルチエ刑事と女刑事ポーラが重要証拠となるナディアのカセットテープを捜索開始、ポーラは現場を見ていた郵便配達員を捜す
その頃ジュールはレコード店で知り合った万引き常習犯のベトナム人少女のアルバを自分のロフトに誘い、シンシアの録音した歌声を聴かせて悦楽に浸る
ジュールの周りに人影が現れる、ポーラとその部下、ナディアを殺した男たち、更には台湾系のレコード会社、ジュールは自分がナディアの告白テープを持っているとは知らずに追われる身となる
ある夜、娼婦が集まる街でジュールは黒人娼婦カリーナに声を掛けられてカリーナにシンシアのローブを着せて彼女の部屋に泊まった
ロフトに戻ると部屋は荒らされ、カセットテープのコレクションが散乱し、しかしシンシアのカセットテープは幸いにもアルバが持っていた
台湾系レコード会社がシンシアにレコード発売の契約を迫り、契約を結ばなければ海賊版を出すと脅してきた、原因が自分にあるとジュールはシンシアにテープを返そうとするが、殺し屋が彼を狙っていた
《感想》
当初はフランス映画フェスティバルで日本で初公開されたのですが日本配給には結びつかなかったのですが、82年にセザール賞4部門受賞し、アメリカでも公開されて新たなカルト映画誕生として話題を呼び、日本でも公開されました
フランス映画は50~60年代のヌーヴェル・ヴァーグ映画以降はこれと言った話題に乏しかったのですが、本作はエポックメーキングな作品とされ、ジャン・ジャック・ベネックス、リュック・ベッソン、レオン・カラックスら、80年代以降のフランス映画の幕開けとされています
自分の歌声を決して録音させない人気オペラ歌手のシンシアを演じるのはウィルヘルメニア・ウィンギンス・フェルナンデスでその歌声はまさに女神(ディーバ)です
大ファンの郵便配達員のジュール彼女のコンサートで歌声をカセットテープに盗み録りをするんです、それと同時に売春組織からの重要な情報が録音されたカセットテープを彼の知らない間に手にしてしまうのです
このカセットテープを巡るサスペンスと、ジュールがシンシアへの愛が綴られているんです、でもその雰囲気が変化していくんです、この多彩な雰囲気と予測不能なストーリーが痺れるほど魅力的です
でも最近の人はレコードとかカセットテープって分かるのでしょうか?おいらの子供の頃はレコードをカセットテープにダビングして聴いたものです、それはそれは苦労してね
今の録音ってすごく簡単で扱いやすいですもんね、録音時間もあっという間にですし、曲順も変更できますしね、あんなに苦労していた音楽鑑賞は何だったのか(汗)
今はコンサートでもスマホで録画する人が普通にいますよね、昔は録音するのも御法度で、録音してそれをレコードやカセットテープで売ってるのを海賊版と言ったものです、今でも海賊版ってあるのかな?
ジュールはシンシアの歌声を盗み録りするだけでなく衣装まで盗んでしまうんです、ファンとはそういうものなのかもしれませんが、行き過ぎたファンっていますもんね
ジュールを助けるゴロディッシュという男が出てくるのですが彼の部屋がこれまたすごいんです、ガラーンとした空間にバスタブと洗面台が置かれていて、そこに同居するベトナム人の少女アルバがローラースケートで走ってるんです
本作はマニアックな物やサブカルチャーと呼ばれる物が多く登場して、監督も言ってましたが主人公のジュールはオタクだが自分もオタクだとね
それにフランス映画なのに白人は少なくてシンシアと売春婦は黒人、アルバはベトナム人で、レコード会社の男たちは台湾系と非白人率の高い欧米の作品は珍しかったですね
ジュールを演じたフレデリック・ボーランジェはもともとは監督志望だったようで本作の後に短編で監督の経験を積んで長編デビューをするのですが成功とはいかずに映画界から姿を消してしまったそうです
音楽を愛する青年と美しき歌姫のロマンスに、2本のテープを巡るサスペンスが交錯する! それが『ディーバ』です。
自分の歌を聴いた事がないシンシアに録音テープを聴かせるジュール、このラストシーンは美しいですね。














