『ミレニアム・マンボ』
2001年 台湾・フランス
《スタッフ&キャスト》
監督 ホウ・シャオシェン
脚本 チュー・ティエンウェン
撮影 リー・ピンビン
音楽 半野喜弘
出演 スー・チー/トゥアン・ジュンハオ/カオ・ジェ/竹内淳/竹内康/ニョウ・チェンツー/ディン・ジェンチョン/杉本秀/前田洋子/矢野素臣/藤田洋
《解説》
愛される一瞬が彼女のすべてになる
「非情城市」「フラワーズ・オブ・シャンハイ」の世界的巨匠・ホウ・シャオシェン監督作品は、ひとりの女性の愛の喪失と再出発を描いた物語、ヒロインが10年前の自らの恋愛を回想する形で、輝くような映像で詞的に綴っていく
主演に世界で活躍するアジアンビューティーのスー・チーを迎え、心の奥深くで渦巻く激しい感情や欲求を抱いて生きる、ひとりの女性の喪失と再生を台北、東京、北海道を舞台に描いた感動作
《物語》
世界中が21世紀を迎えたミレニアムを祝う台北、ヴィッキーはクラブで知り合ったハオと同棲中、16歳から夜遊びをして電車のトイレでドラッグを吸った
高校を中退して一緒にいたくてアパートを借りた、でも2人は無職、仕事もせずに毎夜クラブ通い、しかもハオは異常に嫉妬深い、ある日にハオのいない時に警察がやって来た、窃盗の容疑で
楽しいはずの生活はどんどん荒んでいき、遂には貯金が底をつき、家賃が払えない、仕方なくヴィッキーはホステスのバイトを始める事になった
仕事中もハオから執拗な電話、それでもハオは働かない、その店にヤクザのガオが客としてやって来る、人望のあるガオに惹かれていくヴィッキー
竹内康・淳の兄弟とはクラブで知り合った、父親が台湾人で母親が日本人、夕張生まれで夕張の祖母の小料理屋は毎年2月の映画祭の季節で忙しい時に日本に手伝いに行く、ヴィッキーも一緒に夕張に付いて行った
外出から戻るとヴィッキーの服を脱がして体をチェックするハオ、そんなハオにヴィッキーはウンザリ、店までやって来たハオ、外で話しと言われてヴィッキーは殴られた
ヴィッキーはガオの部屋へ、優しく接してくれたガオ、ガオは水商売よりもまともになれと言い、ヴィッキーはもう一度人生をやり直す決心をする
ある日、ガオは弟分のドウズの起こした揉め事に巻き込まれる、酔ったヴィッキーを先に帰らせて解決策を模索するが見付からない、ガオは身の危険もあって一人日本へ高飛びしてしまった、ヴィッキーはすぐに彼を追い日本へ
ガオの伝言で新宿のホテルの403号室にいると、もし気晴らしするなら日本においでと、ホテルに着くとフロントでガオは横浜に行ったと伝えられ、その部屋でヴィッキーはガオの帰りを待つ
結局ガオからの連絡は無かった、携帯を片手にウロウロするだけ、その年は東京でも雪が降った、ヴィッキーはガオを見付ける事は出来なかった
この日々の事を10年後のヴィッキーは悲しい記憶として回想する、あの年の夕張は大雪だった…
《感想》
高校時代に出会った男ハオに人生を狂わされてしまったような幸薄いヴィッキー、クラブで知り合った2人はヴィッキーの試験前日もホテルにいて試験に遅刻して中退
働かないハオは嫉妬深くて当時はテレフォンカードがあって使うと穴が開くのですがそれをチェックして執拗に誰と話したかと詰め寄るくらい嫉妬深いんです
ヴィッキーを演じるのはスー・チーで台湾でモデル活動をしていて出版したヌード写真集が注目されて香港へと渡って「SEX&禅」にロレッタ・リーと共に主演します
物怖じしない性格と個性豊かな表現力で評価は高く有名俳優との共演や有名監督の作品に呼ばれるようになります、この頃に日本のCMにも出演しています
ヴィッキーが働かないハオの代わりにホステスとして働いても電話はしょっちゅうで店に来ては殴ったりします、そんな時に店の客で現れたガオと知り合います
ガオはヤクザなのですが子分に慕われていてヴィッキーもそんなガオに惹かれるんです、ガオもヴィッキーをカワイイ妹分として扱うのです、このガオが悪い奴じゃなくてね、ヴィッキーも心許してます
ヴィッキーはクラブで日本人兄弟と知り合います、その兄弟は北海道の夕張出身で映画祭の時期は日本に帰って祖母の小料理屋を手伝うのですがヴィッキーも付いて行くんです
台湾は雪が降らないのかヴィッキーは大きく積もった雪にダイブして楽しむんです、パウダースノーに顔を押し付けてみたりとね、あまり雪の降らない場所の人はやりそうです
ガオを頼ってヴィッキーはハオと別れるんです、ある日にガオの子分がトラブルを起こしてガオも解決策に頭を悩ますのですが良い案が浮かばず、日本に高飛びするんです
ヴィッキーはガオを追って日本の東京へと向かうんです、惚れてしまった事で儚い出来事がその後に待っているのですが、それは10年後に語られるのです
台北から東京そして夕張へ、ホウ・シャオシェン監督によるひとりの女性の愛の喪失と再出発を描いた作品 それが『ミレニアム・マンボ』です。
スー・チーは当初はヌードが売りのセクシーアイドルという扱いでしたが、「トランスポーター」等のヒットでアジアを代表する女優となりました