『クレオパトラ』
1963年 アメリカ
《スタッフ&キャスト》
監督 ジョセフ・L・マンキウィッツ
脚本 シドニー・バックマン/ロナルド・マクドゥガル
撮影 レオン・シャムロイ
音楽 アレックス・ノース
出演 エリザベス・テイラー/リチャード・バートン/レックス・ハリソン/パメラ・ブラウン/ジョージ・コール/ヒューム・クローニン/チェザーレ・ダノーバ/ケネス・ヘイ/アンドリュー・キア/ロディ・マクドウォール/グレゴワール・アスラン/クウェン・ワトフォード
《解説》
黄金の輝きと共に甦る世紀の大スペクタクル・ロマン!
プルタークの英雄伝、スプトニアス、アピンそのほかC・M・フランツェロの小説「クレオパトラの生涯とその時代」から、ジョセフ・L・マンキウィッツ、ロナルド・マクドゥガル、シドニー・バックマンら3人が脚本を書き、ジョセフ・L・マンキウィッツが監督した
公開当時、巨額な製作費を投じた事で有名な、その圧倒的な重厚感と豪華絢爛なセットに思わず驚嘆させられる歴史スペクタクル大作、エリザベス・テイラーが世界三大美女の一人クレオパトラを気高く演じる
《物語》
紀元前48年、シーザーはポンペイウスを倒したが心は晴れなかった、しかしポンペイウスは行商に化けてエジプトへと逃げ、それを追ってシーザーは地中海を渡った
その頃、エジプトでは内紛を重ねローマの勢いに圧されていた、幼いプトレマイオス14世を王に立てる一派は反乱軍のクレオパトラを王宮から追放、それにエジプトはポンペイウスを斬首してシーザーに見せた
シーザーはスフィンクスに滞在するが、そこに絨毯商人が現れて絨毯を広げると中からクレオパトラが現れた、シーザーは知性と教養があり、目的の為には手段を選ばず、性技にも優れているクレオパトラに一目を置く
クレオパトラはエジプトの王座を要求、シーザーはアレキサンドリアに侵攻し、勝利を収めた、そしてプトレマイオスらを追放とし、クレオパトラは王に即位し、そしてシーザーの息子を産んだ
アメリカとアジアで2年間戦ったシーザーはローマに凱旋し、ローマの独裁官となった、クレオパトラはそのシーザーを追ってローマに渡り盛大な催しで迎えられた
ローマ市民はクレオパトラに魅了された、しかし元老院たちはクレオパトラが気に入らずにシーザーと対立、ローマの名誉を担ったブルータスは元老院らとシーザーを暗殺、その生涯を閉じた
ローマにいる理由のなくなったクレオパトラはエジプトに帰還、アントニウスはシーザー暗殺者を見つけ出して処刑、2年間の戦いでローマの権力者となった
しかしローマの財政は窮乏し、エジプトに活路を求めた、ローマを去って3年、クレオパトラは再びローマに赴いた、アントニウスは胸の内を吐露し、2人はたちまちに恋に落ちた
アントニウスはエジプトに留まりローマは混乱、ローマに戻りオクタビアヌスと和解し、エジプトも同盟国となるがアントニウスが彼の姉と結婚となる
アントニウスはエジプトに大使を送るがことごとく追い返され、アントニウスが直々にエジプトに出向くがひざを付いて詫びるもクレオパトラは許さない、協定にローマの領土の三分の一を渡せと
アントニウスはエジプトに残りクレオパトラと結婚、これに怒ったオクタビアヌスは元老院を煽り、エジプトとの戦争に突入、アントニウス軍とエジプト軍はローマ軍との戦いに敗れた
ローマ軍はアントニウスをよこせと、それに対してクレオパトラは自分の首も渡すと、オクタビアヌスは2人をローマの町を引き回すつもりだ、アントニウスは自決し、クレオパトラは捕虜となる
しかしクレオパトラはシーザリオによって逃がされ、シーザリオも殺されてしまい、生への執着のないクレオパトラはアントニウスの傍に葬ってと遺書を認め、果物籠に隠してあった毒蛇の牙を胸にあてた
《感想》
最終的には製作費が4400万ドル(原価換算で3億ドル以上)と巨額となり製作会社の20世紀フォックスの経営が危機的状況にまでになりました
ハリウッドの映画会社は観客を劇場に取り戻す為に大作映画を作り続けたその中の1本です、当時は破格の100万ドルで契約した主演のエリザベス・テイラー、しかし撮影の遅れや、テイラーは病気療養などに支払われた保険、権利の一部などでテイラーのギャラは約700万ドル(原価換算で4700万ドル)と言われています
撮影が始まってすぐにテイラーはジフテリアを発症、呼吸困難となり気管切開をして気道確保となりました、本作でクレオパトラが派手な首飾りをつけているシーンは傷を隠す為のものです
撮影は監督の交代や重要な配役の変更などでその度に撮影し直すという不手際で、それにエリザベス・テイラーとアントニウス役のリチャード・バートンの不倫騒ぎで大スキャンダルとなりました
元々は「シーザーとクレオパトラ」と「アントニウスとクレオパトラ」の前後編の2本立ての予定で合計6時間だったのですが、長過ぎるとの事で1本にまとめられて、製作開始から4年が経ち、4時間5分となりました
それでも公開された年の世界興行収入は1位となったものの20世紀フォックスの製作費の半分ほどで事業的には大失敗となったのです、マスコミには「映画史上空前の失敗作」と言われました
それでもエキストラは20万人以上で絢爛豪華なセットに衣装とハリウッドの黄金時代の超大作なだけあって見応えはあります、評価の分かれる作品ではありますがインパクトは凄いです
エリザベス・テイラー演じるクレオパトラの初登場シーンは絨毯に包まれたクレオパトラが現れる瞬間は息を飲みます、遂にクレオパトラの登場かとね
クレオパトラが18歳の時に父親が死に、クレオパトラと弟のプトレマイオスが姉弟婚を行って共同で王位に就いたんです、姉弟婚などは当時のエジプトでは慣例だったようです
プトレマイオスはローマからの独立を考えていたのですがクレオパトラは元老院を支持していたので不信に思いクーデターを起こされて、クレオパトラは国境へと追いやられてしまいます
そこでエジプト入りしたシーザーにクレオパトラは絨毯に包まれて自らの体を贈り物として届けさせたのです、当時のエジプトは贈り物や賄賂や宝物は絨毯に包んで渡す習慣があったとか
シーザーはクレオパトラを一目見て気に入りエジプトを手中に収めてプトレマイオスらを追放、クレオパトラをエジプトの王とするんです、やはり実際のクレオパトラはどれだけ美しかったのか気になります
ローマにいるシーザーに会いに息子と向かうのですが、この凱旋がまた凄くてダンスや演奏でまるでディズニー作品のようです、なかなか現れないのですが、いざ現れるとスフィンクスに乗っての登場です
シーザーは暗殺されてクレオパトラはエジプトに戻るのです、それから3年が経ってローマも窮乏してシーザーを暗殺した者を処刑したアントニウスはエジプトに活路を見出すも、クレオパトラと恋に落ちるのです
しかしアントニウスは政略結婚の為にオクタビアヌスの姉と結婚、アントニウスはエジプトに戻りクレオパトラに詫びるも許さずにアントニウスはエジプトに残るのです
これでオクタビアヌスは怒りクレオパトラも戦争を受けて立つも敗れるのです、捕虜となったクレオパトラはオクタビアヌスに屈する事を拒んで自殺、毒蛇に乳房を噛ませたと伝えられている
クレオパトラはアントニウスと葬って欲しいとの願いをオクタビアヌスはその遺言を聞き入れたそうです
壮大な歴史絵巻が黄金の輝きと共に甦る史上空前の大スペクタクル それが『クレオパトラ』です。
とにかくスケールがでかい、CGなんてない時代ですから、ある意味全て本物です