『空の大怪獣 ラドン』
1956年 日本
《スタッフ&キャスト》
監督 本多猪四郎
原作 黒沼健
脚本 村田武雄/馬淵薫
撮影 芦田勇
音楽 伊福部昭
特技監督 円谷英二
出演 佐原健二/平田昭彦/田島義文/草間璋夫/山田巳之助/小堀明男/村上冬樹/高木清/三原秀夫/津田光男/千葉一郎/向井淳一郎/熊谷二良/今泉簾/門脇三郎/須田準之助/松本光男/白川由美/水の也清美
《解説》
空飛ぶ戦艦か!火口より生まれ地球を蹂躙する紅蓮の怪鳥ラドン
発端の奇怪な事件から、巨大な怪獣の予兆、都市の崩壊と、ストーリーもサスペンスとスピード感に富み、第一級の娯楽作品に仕上がっている
東宝が「ゴジラ」を凌ぐ2億円の巨費を投じて製作した日本初のカラー怪獣映画の力作、ラドンと登場シーン、ジェット戦闘機隊との大空中戦、福岡市内の破壊シーン、そしてラストの阿蘇山噴火によるラドンの最期と、円谷英二の大空への憧れが十二分に発揮されている
《物語》
阿蘇山の麓の炭鉱に勤務していた河村繁はある日、炭鉱内で原因不明の出水事故が発生、河村らが現場に向かうと水面に炭鉱夫が鋭利な切り傷が原因で死亡していた
当初は行方不明の炭鉱夫の五郎が犯人ではないかと思われていたがその鋭利な傷痕に警察や監察医も悩むばかり、次々と犠牲者が出る中、姿を現した真犯人は体長を2メートルを超える古代トンボの幼虫メガヌロンだった
警察官では歯が立たず、河村は要請した自衛隊と共にメガヌロンの逃げ込んだ炭鉱に入るが機関銃によって追い詰めるも落盤が発生し、河村は巻き込まれてしまう
その後、地殻変動によって地震が発生し、崩壊が起きて河村が偶然にも助け出された、衝撃で記憶喪失となり、この落盤事故により阿蘇山噴火の予兆が現れる
その頃、自衛隊機が音速で飛ぶ飛行物体を追うも撃墜されてしまう、北京やフィリピンにも現れた飛行物体は一体ではないと発表
立ち入り禁止の阿蘇山付近に入った新婚夫婦が死体で見つかった、2人のカメラには空飛ぶ恐竜プテラノドンが映っていた
河村は五郎の妹で恋人のキヨの家で療養するがキヨの飼う小鳥の卵から生まれるのを見て記憶が蘇った、洞窟の中にメガヌロンの幼虫がいて大きな卵から生まれた鳥獣がメガヌロンを食べて巨大化
その事を柏木博士に話すと、プテラノドンが変異して巨大化したものだと言い、ラドンと名付けられた、巣を探しに行くとラドンが地底から現れて飛び出した
《感想》
本作が日本初のカラー作品の怪獣映画なんです、製作費2億円でそのうち特撮費は1億2千万円の巨費を投じて作られた東宝の超大作です
ラドンが飛ぶだけで強風が起こり町は崩壊してしまいます、このミニチュアによる撮影は当時としては最高のクオリティだと思います、それほど細かいビジュアルです
最初はラドンの登場ではなくてラドンの餌のメガヌロンの登場で炭鉱夫が原因不明に殺害される事件がミステリアスに展開されていきます、その炭鉱夫と仲が悪かった五郎が犯人ではと疑われます
五郎には妹のキヨがいて炭鉱夫の家族はみんな長屋に住んでいるのですが、夫を亡くした妻がキヨに暴言を吐いたりするんです、キヨは兄を信じるも心神喪失となるんです
キヨを演じるのが白川由美でさすがに清楚で整った顔立ちで、知的な美貌ですが幸薄いキヨを健気に演じています、白川由美は特撮作品にも多く出演し、小津安二郎作品にも出演しています
あくまでラドンが主役ではありますが、ヒロインらによる人間ドラマも作品を盛り上げて質を高めてくれています、サスペンスが盛り上がってラドンの登場となるんです
原作者の黒沼健はオカルトライターで、自衛隊機が未確認飛行物体を追うシーンはアメリカの有名なUFO事件がヒントとされています、目撃者の河村が記憶喪失となるのも一酸化炭素中毒を思わせています
本作でラドンが観光名所を破壊する事で阿蘇山などに観光客が増加、その後の怪獣映画で観光名所を破壊する事で有名となってしまう町興し的な事になった最初の作品です
ラドンは阿蘇山に落ちてしまうのですが、加熱したピアノ線が切れたことで偶然の演出となっているようです、阿蘇山から誕生したのに阿蘇山に沈められるなんて皮肉ですね
ラストの溶岩の流れ方などは本当にリアルで見事でしたね、しかしラドンはこれで終わりではありません、「三大怪獣 地球最大の決戦」ではゴジラと戦います。
飛行機を捲き原子怪鳥ラドン猛襲!天然色で彩る地上最大の攻防戦! それが『空の大怪獣 ラドン』です。
今回初めて観た作品でした、さすがに古さは拭えませんが当時の映画関係者の努力が垣間見えました、今ならCGで出来ても当時は手作りですからね












