紀子の食卓 | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

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『紀子の食卓』

 

 

 

 

 

2005年 日本

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督・原作・脚本 園子温

 

撮影 谷川創平

 

音楽 長谷川智樹

 

 

 

出演 吹石一恵/つぐみ/吉高由里子/光石研/並樹史朗/宮田早苗/三津谷葉子/安藤玉恵/渡辺奈緒子/李鐘浩/古屋兎丸/手塚とおる

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

この世界は虚構の楽園

 

2002年に製作され大きな反響を呼んだ「自殺サークル」の続編、前作に引き続き、海外でも高い評価を得ている鬼才・園子温監督がメガホンを取る

 

生きる実感を求め、レンタル家族にはまる娘たちと、その行方を追う父親の行動を通し家族のあり方や、本当の自分とは?と問いかける、人間の本質を究極的に描く

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

島原紀子は17歳の平凡な女子高生、新聞記者の父・徹三と母・妙子と妹のユカの4人家族、紀子は田舎でくすぶっている自分や家族との人間関係に苛立ちを感じていた

 

 

真面目な父に反発するように学校で広報部で学校に対するアンチテーゼを掲げている、そして遂に学校の情報室のパソコンの時間解放に成功

 

 

紀子にもお気に入りのサイトがあった“廃墟ドットコム”全国の女の子の集まるサイトを見付けた紀子はそこで“ミツコ”と名乗り、“上野駅54”や他の仲間たちと知り合う

 

彼女たちとなら何でも語り合えると感じた紀子は停電の夜に家出、東京へと向かう、東京で紀子は上野駅54を頼って上京、そこで上野駅54ことクミコと知り合った

 

 

半年後5月26日、新宿駅8番線プラットホームから女子高生54人がホームへと一斉に飛び込んだ

 

 

その謎を解く手掛かりを、妹ユカは“廃墟ドットコム”の中に見付けた、女子高生54人が集団自殺した次の日に54の赤い丸が増えていた事から姉の紀子が54人の中にいるのではと

 

ユカはヨーコと名乗り“廃墟ドットコム”で全国の女の子たちと知り合い、部屋の壁に上野駅54とサインを残して東京へと消えた

 

 

紀子はクミコの経営する家族サークルとも言えるレンタル家族の一員となる、そこで紀子はミツコとして娘の役割を演じながら、本物の家族との関係、本当の自分との関係を実感していく

 

ユカの失踪から2カ月後に母の妙子は自殺してしまう、徹三は紀子とユカの消息を追ううちに“廃墟ドットコム”の事を突き止めた、紀子もユカも彼らの組織の家族サークルだと知った徹三は友人に頼んでクミコと接触

 

 

そしてクミコを母親役、紀子とユカをそれぞれミツコとヨーコの名の娘として指名、徹三は実家に似た家を借りて実家から全ての荷物を運びこんだ、紀子とユカの物も全て、徹三はクローゼットの中に隠れて彼女らを見守るのだが…

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

前作の「自殺サークル」を遠い視線から見ているような作品で続編とはちょっと趣きが違うような気がします、新宿で集団自殺が起こるような場所なんですが、紀子の住む田舎は何も刺激がないんです

 

 

父親が新聞記者でその影響で高校では広報部で高校に対して闘う感じで権利を主張して学校新聞を書いているんです、それに忙しいふりをしているんです

 

そんなある日に小学校の幼なじみのみかんちゃんがコスプレ風俗店で働いているのを見て自分は本ばかり読んでいる女子高生、彼女は自分で働いている大人の女性、これだけで紀子はショックだった

 

 

こんな田舎にはいられない紀子は父親に東京の大学に進学したいと言うが父親は反対、親戚の女の子2人が東京の大学に進学したが妊娠して戻ってきた、東京に行けば妊娠させられるだけだとね

 

紀子を演じるのが吹石一恵で田舎で何の刺激もない生活でウンザリしていた時に家の老朽化で停電が多い、その時に紀子は闇にまぎれて家出をするんです

 

 

紀子は上野駅54ことクミコを頼って上京するんです、クミコを演じるのが「贅沢な骨」 のつぐみでミステリアスな女性を演じています、クミコはまったくどんな女性なのかよく分からないんです

 

 

初対面でいきなりレンタル家族の一員にさせられて戸惑う紀子なんですが、自分の家族より家族らしいレンタル家族に違和感がありつつも演じていくんです

 

この吹石一恵とつぐみが薄着で寝転んでいるシーンがあるんですけど、2人ともスタイルが素晴らしくて本作でそんなシーンが登場するとは驚きでしたよ

 

ユカを演じるのが吉高由里子で衝撃のデビュー作です、何の演技の経験もないままに本作のオーディションを受けてデビューとなりました、園子温監督は何か感じるものがあったのでしょう

 

 

みかんちゃんを演じるのが三津谷葉子で地元の風俗店で働いているのですが、それが紀子には大人に見えたんです、処女の紀子には女を売りにしている事が大人に見えたのでしょう

 

 

田舎で東京に憧れる女の子はいっぱいいるでしょう、でも娘が2人も東京に家出してしまうなんて親としたらどん底の気分でしょうね、光石研演じる父親の徹三は必死で手掛かりを見付けて捜すんです

 

 

自殺クラブの自殺の原因は本作にあってそれはレンタル家族が原因だったりするんです、54人もの女子高生を自殺させるなんて凄いです、それをクミコは紀子に見させるんです

 

 

159分の長い作品で、とにかくナレーションの多い作品でずっと説明されているようです、自殺クラブと廃墟ドットコムがごちゃっとなって、レンタル家族で複雑に絡み合っていきます

 

 

 

 

 

一家団欒という日常にひそむ嘘 それが『紀子の食卓』です。

 

 

 

 

 

全然ホラーって感じではないのですが日常に潜む怖さはあります、女の子が行方不明になったり、レンタル家族で満足している人がいたりね