『処刑軍団ザップ』
１９７０年 アメリカ
《スタッフ＆キャスト》
監督・脚本 デビッド・Ｅ・ダーストン
撮影 ジャック・デマレコーウ
音楽 クレイ・ピッツ
出演 バスカール／ジャディーン・ウォン／ロンダ・ファルツ／ジョージ・パターソン／ライリー・ミルズ／ジョン・デイモン／エリザベス・マールナー・ブルックス／リチャード・ボウラー／タイド・キーニー／アイリス・ブルックス／アレックス・マン／デヴィッド・ダーストン／アーリーン・ファーバー／リン・ローリー
《解説》
殺人、暴行、売春うごめくアメリカから凄い殺人フィルムがやって来た！
日本でも劇場公開時に一般映画制限付きで公開された伝説の一作、ヒッピー・ムーブメントとドラッグ・カルチャーを取り入れた、７０年代ホラーを語る上で外せないカルト・ホラーの傑作！
腕が足が首が、すさまじい悲鳴と血しぶきを上げてブッ飛ぶ！ニュージャージー州の北部で起こった集団殺人事件をナマナマしく再現した戦慄の殺人映画！
《物語》
ホーレス・ボーンが率いるサタンを崇拝するカルト集団のヒッピーたちが儀式を行っている、鶏の首を切りその血を体にかけて生贄とした、その様子を覗いていた地元の少女シルビアが見付かり逃げ出した
森の中を走って逃げるが捕らえられ、彼女はヒッピーの一人アンディに誘われて覗いていたのだ、シルビアはヒッピー集団に暴行をされてしまう
翌朝に体を引きずって帰ってきたシルビアはベーカリーの女性ミルドレッドとシルビアの弟ピートに発見された
車の故障でヒッピーたちはこのバレー・ヒルズに現れた、ベーカリーでミートパイを買いながら泊まれる場所を聞き、ミルドレッドはダム建設の為に空き家ばかりで廃ホテルを教え、彼らはそこへ向かった
シルビアの祖父は人口４０人のこの町ではダム建設が行われており現場の誰かが犯人ではと考えるがミルドレッドの恋人で責任者のロジャーは全員現場にいたという
その後にシルビアが目を覚ましヒッピーらに襲われた事が分かり、祖父は猟銃を持って廃ホテルに向かった、ヒッピーたちは儀式の最中で祖父はあっさりと捕まり倒され、女たちにＬＳＤを飲まされた
後を付けて来たピートが騒ぎ、ホーレス・ボーンはトラブルを避ける為に祖父をピートに渡し２人は帰った、祖父はその後は錯乱状態でシルビアによってベッドへ
ピートは猟銃を持って森へ行き狂犬病の犬を撃ち殺し、その血を採取、翌朝にミルドレッドの作るミートパイに狂犬病の犬の血を混ぜて買いに来たヒッピーたちに売った
しばらくして発症したヒッピーが仲間同士で殺し合いが始まった、ヒッピーたちは殺人鬼と化して町で暴れ回る
《感想》
内容はとにかくゾンビではなくて何かの病原菌が原因で普通の人間が狂人と化す内容は本作が初めてではないでしょうか？最近のゾンビ映画はほとんどがこの病原菌やウイルスが原因ですよね
監督のデビッド・Ｅ・ダーストンは先見の明があったのかも、アングラ映画出身の変わり種で、この撮影に当たって、殺人シーンに使用する血は、本物らしいリアルなものが欲しいと野犬狩りをし、２０数匹の犬の血を使用したらしいです(笑)
ダーストンは低予算ホラー映画の依頼を受けてダーストンはひとつのアイデアを思いつく、イランの山村の事件にまつわる新聞記事、狂犬病の狼の群れが人々を感染させた事件
その時の医師が撮影した８ミリを見て、狂犬病に感染した子供が檻に閉じ込められて口から泡を吹いている姿だったんです、ダーストンは人生でこれほど恐ろしい物は見たことがなかったと言っています
更なる着想にチャールズ・マンソンの事件もあり裁判の報道を基に脚本を書いて、町を恐怖に陥れるカルト集団のアイデアがあり、リーダーのホーレス・ボーンが誕生した
キャストはほとんどは無名俳優で、悪役は白人、黒人、中国人、インド人とマルチなキャストで注目され、解体が予定されていたホテルを撮影に使用していたそうです
後半で狂犬病によってヒッピーたちはおかしくなり、発症する前の女は地元のダム建設の現場の男たちとセックスをして全員に感染、ヒッピーたちだけでなく作業員まで狂人となって襲い掛かってくるんです
本作には劇場公開版とディレクターズカット版があって、劇場公開版は警察が狂人となった人間を射殺してミルドレッドやピートやシルビアを助けて終わりなんです
ディレクターズカット版はそれより５分ほど長くて、その後にミルドレッドが病院に運ばれてから発症、ピートが警察に自首しようとするのですが警察は信用せずに笑い飛ばしてしまうんです
ちなみに狂犬病は毎年世界で５万人の死者を出しているウイルス感染症で発症すると死亡率が１００％の恐ろしいウイルスで、死者の９５％はアフリカとアジア、ワクチンによって予防ができ、人から人へは感染しないので大流行には繋がらないのです
全世界で上映禁止！ それが『処刑軍団ザップ』です。
ザップとは殺人とか殺人行為という意味の隠語らしいです、でもこのタイトルはスゴイね(笑)
