『回転』
1961年 アメリカ
《スタッフ&キャスト》
監督 ジャック・クレイトン
原作 ヘンリー・ジェームズ
脚本 ウィリアム・アーチボルト/トールマン・カポーティ
撮影 フレディ・フランシス
音楽 ジョルジュ・オーリック
出演 デボラ・カー/マイケル・レッドグレーブ/メグス・ジェンキンズ/マーティン・スティーブンス/パメラ・フランクリン/ピーター・ウィンガード
《解説》
ヘンリー・ジェームズのホラー映画「ねじの回転」を映像化
死と生の境界を映画技術の可能性の中で追求しようとする作品、ヘンリー・ジェームズの原作「ねじの回転」を「ティファニーで朝食を」のトールマン・カポーティとウィリアム・アーチボルトが脚色
「年上の女」のジャック・クレイトンが監督・製作、撮影は「息子と恋人」のフレディ・フランシス、音楽は「ノートルダムのせむし男」のジョルジュ・オーリック、主演は「地上より永遠に」「王様と私」のデボラ・カー
《物語》
ロンドンで暮らす大富豪の男から、郊外の屋敷で暮らす甥と姪の家庭教師として採用されたミス・デギンスは田舎町を訪れ、広大で寂しい場所のブライハウスという古い屋敷に向かう
屋敷を訪れた彼女を待っていたのは幼いフローラと古くからのメイドのグロース夫人、この仕事を引き受けたが不安いっぱいだったがフローラの明るくて天使のような容姿に不安も消えた
次の日には寄宿学校を退学になったフローラの兄のマイルスが戻る、フローラ同様に活発で元気なマイルスを見て、この子とも上手くやっていけそうだと思った
そんなある日にギデンスが庭にいると鳥たちの鳴き声が止まり、その静寂を不気味に思い見上げると、庭の塔から彼女を見降ろす男の影を見た
恐ろしさを感じたギデンスは塔に駆け上がったが塔の上にはマイルスがいるだけで男の姿はなかった、男の特徴をグロース夫人に話すとその男は従者のクイントですでに亡くなっていると言う
しかしマイルスはクイントの死について何か知っているようだった、そしてギデンスは前任者のミス・ジェセルは若く聡明で美しかったがクイントと関係があり、クイントが亡くなった後に自殺した
ギデンスがマイルスとフローラを連れて庭の池にいると、池の畔でたたずんでいると黒衣の女性を見た、彼女はミス・ジェセルのよう
目的は分からないが何かが起こっている、秘密めいていて悪賢くてとても淫ら、子供たちに危険が迫っていると感じたギデンスは兄妹の行動におかしさを感じた、2人の霊が兄妹の体を通じて愛を語っているように
《感想》
子供の頃に観た時はピンとこなかったのですが、大人になって観るとジワジワと迫る幽霊の姿や決して派手ではない演出とその時代には素晴らしい音響効果と恐怖を呷ります
さすがにゴシックホラーの傑作と言われるだけの事はあると思いました、幽霊がインパクトある登場をするわけではないのです、池の畔に静かに立っているだけとかね
でも窓の外に現れたシーンはギョッとなりましたよ、しっかりと見せているのですがギデンスの恐怖の表情が余計に盛り上げてくれます、ただのゴシックホラーではなくて心理サスペンスでもあります
幽霊のクイントが魅力的な男だったようでマイルスはすっかり彼に魅了されていたようです、それに前任者のジェセルも彼と関係があったようで魅せられたようです
主人公のデギンスを演じるのがデボラ・カー、知的な表情でそれでいて美しい彼女はフローラとマイルスにすぐに気に入られて、当初は不安だったのですがそんな不安も消えてしまいます
依頼主の男が大金持ちで、甥と姪を引き取る事になったが独身貴族なので子供が煩わしいので郊外の屋敷で世話をしてくれ、それに自分に手を掛けないでくれと勝手な申し出なんです
昨今のホラー映画で幽霊の出方はジワジワではなくいきなりの登場と効果音でビビらしてくれますが、そんな安っぽい演出ではなくて芸術性のある見せ方だと思います
Jホラーと言われるジャンルでも本作を手本にしているのではないかな?、それに幽霊だけではなくて可憐だと思った子供たちなんですけど、後半には不気味で邪悪な雰囲気を醸し出します
これを演じきったマーティン・スティーブンスとパメラ・フランクリンの子役2人は素晴らしかったで大人びた表情だったり、絶叫したりと神経を逆なでされるようです
ラストに向かって本当に幽霊はいるのか?見ているのはギデンスだけ、正義感と使命感に駆られるギデンスのストレスによる妄想なのか?段々と疑惑となっていきます、曖昧なところが心理サスペンスの傑作と言われる所以でしょうか
この世には触れてはならない存在がある それが『回転』です。
トールマン・カポーティが脚本に名を連ねているとなんか観たくなります












